岩に立つ (講談社文庫)

  • 講談社 (1984年10月8日発売)
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感想 : 11
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  • 本 ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061833562

作品紹介・あらすじ

お袋の貧乏と苦労を見て育ちましたでしょう。女郎さんたちは叩き売られた可哀そうな女たちだ。とても遊ぶ気にはなれませんでしたよ。……一本気で、無法者にも膝を屈しない。信念と信仰にささえられた腕で建てる家は、誰もが褒める。人間らしく生きる1人の棟梁、その逞しい半生を、感動をこめてつづる長編。

感想・レビュー・書評

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  • 回想風に話は進む。まるで、浅田次郎だ。いや、浅田次郎の方が時代は新しいから間違った表現だけど。

    一本気の棟梁が子供の頃からおとなになり、戦場に行っても、自分の三年を曲げず生きたって話だ。著者の主題にいつもある許しというのは本書にはない。ただ、弱いものを助けるというのがあるのかな。

  • 塩狩峠記念館の受付の方にすすめられて読みました。同じ著者の作品で「母」という作品もあるのですが、この「岩に立つ」と同様に、主人公本人に語らせるような表現がとても読みやすく、作品に入り込めるような印象でした。

  • がりっと言う。

  • 実在の大工の棟梁、鈴本新吉(本名鈴木新吉)の一代記。
    次々と訪れる不幸と貧困の中に育つ。ヤクザ相手にも引かず、軍隊に入っても自分が正しいと信じるならば上官にも引かず。
    決して強いばかりでなく、弱い者への慈悲の心を持つ。強い男が悲しんだのは、自分の誠心誠意が通じない相手がいることを知った時。
    過酷な生い立ちは、何かの罰が当たってるんじゃないかと自身も他者も疑うほど。キリスト教と出会い、キリスト教の神は罰を与えない神で、イエスの職業が同じ大工だったことを気に入り洗礼を受ける。
    本文前の「身を殺して 霊魂をころし得ぬ者どもを 懼るな」(新約聖書 マタイ伝 第10章 28節)が、新吉の生き様そのもの。

  • 久々の三浦綾子、いい意味で『らしい』作品。実在する一般の人物をモデルにしているので大きな出来事があるような筋書きではないのだけれど、彼女の文章の根底に一貫して通じる、人間の在り方・生き方というテーマがしっかりと盛り込まれていて、胸を打つ台詞もいくつかあった。三浦綾子の他の作品と比べるとどうしても地味ではあるけれど、読んでよかった。20140224

  • ここまで奔放で弱い者の味方で信念を持った人の話を読むのは感動的。
    人間の価値は金や生まれや強さだけじゃないんだと思う。

  • 著者が自身の家を建ててもらった大工の棟梁をモデルに書いた本。貧しさや誘惑に屈せずにまっすぐ生きた棟梁。「あっしは…」と人間味あふれる口調で半生を語る。

  • (メモ:高等部1年のときに読了。
     その後、購入し、数回読みました。)

  • 独特の語り口で綴られる一人の棟梁の生涯。
    まさに竹を割ったような主人公の破天荒な人生を見守っているうちに、笑いも涙も自然と出てきた。
    豊かな生活を送る現代の日本では、此処まで信念を持って強く真剣に生きる人は少ないだろうと思った。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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