最期のメッセージ (講談社文庫 あ 4-8)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061834330

感想・レビュー・書評

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  • コロナのせいで図書館が閉まってしまったので、積読消化。いつ買ったんだろうなぁと思いつつ読んだら、毒強めの星新一という感じでとても面白い!読んでよかった。
    収録作の中でのお気に入りは「金魚を飼う男」オチが良い。
    他の作品も読みたい。

  • ブラックな星新一、と言うイメージ。

    辛辣で大人向けな表現も多いけど、星新一みたいに一話一話に「おお」と思わせる黒さがある。

  • 阿刀田高氏の第2ショート・ショート集。全42作品収録。単行本刊行は1982年。

    ひとつひとつのアイディアに感心させられますが、作品の出来としては全体的に玉石混交。傑作だと思える作品もあれば、しょうもない作品もあります。
    基本的には、ブラックなオチや皮肉っぽいオチが待っているのですが、傑作だと思える作品は、極端にブラックなオチか、ブラックな中にも哀しさや優しさがあるものです。

    以下は作品ごとに簡単な感想を↓

    四角い檻
    まあ、例え話しですね。最後まで読んで、なあんだ、という気持ちと、うまい、という気持ちと、半々。ブラック度は薄め。△

    酔中タバコ
    夢のような一瞬を描いた1編。ブラックな味わいは無し。△

    似たもの夫婦
    ブラックではあるけれども、それ以上に切なさが勝る1編。◎

    あらすじ
    発表誌は大学受験雑誌『蛍雪時代』。それなのに、受験勉強を皮肉たっぷりに描いていますが、阿刀田高先生の若者を応援する気持ちも熱く感じさせる1編。◎

    七日夜物語
    七夕がテーマのメルヘン。全くブラックさがありません。△

    ジプシー占い
    オチは察しがつきましたが、期待通りのブラックさ。〇

    すてきな甘味料
    ちょっとした悪意を描いたちょっとだけブラックな話。△

    命日の天和
    昭和天皇の発言を麻雀の役満に例えた1編。ちょっと自分には、この例え話はよくわかりません。×

    放心
    ほんのちょっとした勘違いを描いた1編。ひねりも何もない。×

    シャボン玉
    他愛ないともいえる夢のような一瞬を描いた1編。ブラックな味わいは無し。×

    再会
    友情と受験を描いた1編。容赦ないブラックなオチが素晴らしい。◎

    夫婦学校
    タイトルの意味が自分には理解できませんが、夫婦問題を扱った1編。ブラックなオチへの急降下が素晴らしい。〇

    設計図
    ちょっと不思議な1編。気のせいとも思えるような不思議さがありますが、ブラックさが足りません。△

    電話友だち
    寂しい物語ですが、オチがわかると絶望的に寂しくなる1編。昭和の物語ですが、この寂しさ現代にも通じます。◎

    金魚を飼う女
    ブラックな話ですが、哀しい話でもあります。ただ、あまりひねりがないですね。△

    干し首製造法
    タイトルのままの1編で、特にひねりもなし。×

    木の実を待ちながら
    痛快なくらいに急降下するブラックなオチ。ヒドイ話だけどそこが素晴らしいです。◎

    ホーム・ゴルフ
    ブラックなというより怪談的なオチの1編。〇

    時計台
    これは、ホラー、というかホラーな出来事が起こりそう、というところで終わる1編。〇

    一瞬の顔
    ブラック・ユーモア感あるオチが素晴らしい1編。〇

    すばらしい養老院
    高齢化社会と仮想空間という、この作品が書かれた当時では未来の出来事に、現実世界が追いついてきている、という点で恐ろしさを感じる1編。◎

    高所恐怖症
    ブラックではありますが、後味の苦さを感じる味わいでした。〇

    暗い日曜日
    ゴルフ中毒者の一瞬の夢想を描いた1編。割と取るに足らない連想がオチ。△

    すてきな美容院
    短いストーリーの中に壮大なスケールを感じさせる1編。あまりブラックではありません。△

    理想的な環境
    皮肉に満ちた1編。オチはブラックかつ悲劇的。〇

    宝くじを買う男
    確率の問題を物語化するとこうなる、という皮肉っぽい1編。△

    菜食主義者
    SFこれぞブラック・ユーモアという感じ。ワン・アイディアのストーリーなので、短いストーリーですがもっと短くても成り立ちそう。△

    十八歳
    自分が昔に書いた古い日記を読んでいく、というちょっと珍しいスタイル。ちょっとブラックでちょっと不思議な物語。〇

    幸福番号
    ブラックなオチがあるだろうと待ち構えていると、単なる皮肉っぽいオチでちょっと残念。でもまあ、いい話ではあります。〇

    邪馬台国異聞
    たった3ページで、邪馬台国論争の謎解きをしてしまっているという、ユーモアのある素晴らしい1編。◎

    誘拐術入門
    タイトル通り、誘拐方法について描いた1編。ミステリー要素はありますが、ブラックな要素が少ないです。△

    兄弟
    これも、うまい例え話。うまさはあるものの、ブラックさは薄いです。△

    金魚を飼う男
    正統派のサイコ・スリラーだと思っていたら、オチはあまりうまくない例え話。△

    悪いとき保険
    酒場でちょっと不思議な男と出会いちょっと不思議な体験をする不思議な話。あまりブラックさはありません。〇

    サラリーマンの死
    ちょっとした勘違いでした、というオチは、ブラック・ユーモアはありますが、割と取るに足らないものでした。△

    ピコピコ・ユートピア
    皮肉に満ちた話なのに、読み終わると心が軽くなる、という不思議な1編。◎

    さむらいの末裔
    皮肉に満ちているのに、妙に勇気を貰える、たった4ページながらも深い1編。◎

    おばあちゃんのお守り
    温かい物語のように始まり、ブラックなオチが待っているだろうと予測していると、そのまま温かい雰囲気で終わるという、異色の1編。〇

    醜い芸能界
    なんとなくいい事を言っているような気もしますけど、割と他愛ない笑い話の1編。△

    簡易金儲け法
    金儲けの方法のネタ自体は悪くないですが、とってつけたような社会風刺的なオチが弱いですね。△

    地震対策
    危機意識の低さを皮肉っぽく描いた、社会風刺的な1編。問題提起しただけなので、問題提起の先を物語として読みたかったですね。△

    最期のメッセージ
    ダイイング・メッセージがテーマのミステリー。よく思いついたな、というトリックではありますが、割と他愛ない物語ではあります。△

  • この黄色い表紙の阿刀田高さんのショートショート集シリーズ。
    今までどれだけ読んだことか。
    でも、今日改めて読み返したら、見事に1話も覚えてない!
    42話収録されているどの話も・・・。
    読んだら忘れ、読んだら忘れ、でも面白いから読んでしまう、そういう本なんだと思います。

    この本、3つの章に分かれています。
    1章は「四角い檻」
    2章は「金魚を飼う女」
    3章は「幸福番号」
    でも別にそれに意味はないような気がします。
    特にくくりがあって分かれてる感じでなし、1つ1つのくくりに入ってる話にそれほど共通点もない感じ。
    全体的に、奇妙で皮肉、ブラックユーモアを感じる話ばかりです。

    最初の「四角い檻」は、エレベーターに閉じ込められた男女の話。
    男と女はそのまま恋に落ち、結婚する事になる。
    そして、そのエレベーターの中で生活をする。
    仕事に行く際など、外に出たい時はエレベーターの横壁に手を入れるとドアが出てくる。
    新婚夫婦には手狭と思いきや、別の部屋も出現する。
    やがて、二人の間には子供が二人産まれ、成長し、そのエレベーターの部屋から巣立っていった。

    結婚は人生の墓場。
    それをエレベーターという狭い空間に例えたブラックユーモア。

    私が面白いと思ったのは、3話目の「似たもの夫婦」という話。
    幼い兄と妹は夜中になっても帰ってこない両親を待っている。
    兄妹の親は仲が悪い。
    それなのに何故か全く同じことを考え、同時に実行する事がある。
    -という何ともシニカルな話。

    また、「さむらいの末裔」という話も面白かった。
    士族の出身の男が主人公。
    彼はギャンブルにはまり、金が無く、競馬場に落ちている馬券や車券を拾っていた。
    どこかに穴馬券でも落ちてないかと思いながら・・・。
    そんな男がある夜、突然見知らぬ男に声をかけられ、タイムマシンに乗り、ご先祖様に会う事となるが-。
    これは「そうきますか~」という話だった。

    結構、残酷な結末のものもあれば、バカバカしいシャレをきかせたような話もあり、どれも大人のブラックユーモアがきいてます。
    いかにも阿刀田高さんのショートショートという本です。

  • 阿刀田高のショートショート42編。
    『邪馬台国異聞』が面白かった。

  • 07096
    04/21

  • 四角い檻
    『四角い檻』

    『酔中タバコ』

    『似た者夫婦』

    『あらすじ』

    『七日夜物語』

    『女占い師』

    『すてきな甘味料』

    『命日の天話』

    『放心』

    『シャボン玉』

    『再会』

    『夫婦学校』

    『設計図』

    『電話友達』

    金魚を飼う女
    『金魚を飼う女』

    『干し首製造法』

    『木の実を待ちながら』

    『ホーム・ゴルフ』

    『時計台』

    『一瞬の顔』

    『すばらしい養老院』

    『高所恐怖症』

    『暗い日曜日』

    『すてきな美容院』

    『理想的な環境』

    『宝くじを買う男』

    『菜食主義者』

    『十八歳』

    幸福番号
    『幸福番号』

    『邪馬台国異聞』

    『誘拐入門』

    『兄弟』

    『金魚を飼う男』

    『悪いとき保険』

    『サラリーマンの死』

    『ピコピコ・ユートピア』

    『さむらいの末裔』

    『おばあちゃんのお守り』

    『醜い芸能界』

    『簡易金儲け法』

    『地震対策』

    『最期のメッセージ』

     2003年7月2日再読

    削除

  • ショートショート42編。

    また×2全ておもしろかったんだけど、あえて一つあげるなら、表題作の『最期のメッセージ』かなぁ。ちょっとしたトリックみたいのがあったんだけど、なるほど!!っていうおもしろいしかけになっておりました♪これは読んでのお楽しみです(笑)

    しかし、ネタ切れとかしないんかな?ってくらい毎回秀逸な作品ばかり。阿刀田さんの創作の泉は湧き出てくるばっかりで、枯渇することなんてないんだろうな〜。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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