- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061835498
感想・レビュー・書評
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戦前、戦時中、戦後を生きてきた著者が、戦後30年を振り返る本。内容は治安維持法から大学教育から天皇論から様々。
著者の視点を通して新たな考え方に触れることができた点は興味深かったが、様々な話題に少しずつ触れているだけだったので、何かまとまった知識を得た、という感覚はない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後35年を一つの節目として、とくに進歩派のイデオロギー的な欺瞞を暴いたエッセイを収録しています。かつて「岩波文化人」の代表であった著者が、「常識」の復権を説く保守の立場に移ったことが、鮮明に示されています。
とくに、遠山茂樹らの『昭和史』(岩波新書)などの近代史が、戦前を暗黒時代のように規定していて、戦前から戦後に至る歴史のつながりをまったく見ようとしていないことに対する批判は、耳を傾けるべきものがあるように思います。こうした著者の態度は、戦後における進歩派の言説を改めて検証しなおすことの必要性を示していると同時に、「戦後レジームからの脱却」というスローガンのもとで、70年に及ぶ「戦後」という時代を見ようとしない現在の政治状況、思想状況への反省のきっかけを与えてくれているようにも思います。
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