- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061836068
感想・レビュー・書評
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初期の作品は、"僕"とは、"時間"とは、"現実"とは、みたいな哲学的な問いとか、昭和の雰囲気とか、jazzのこととか、割と計画性もなく好き放題に書かれてるような感じがして、その尖ってるところが好き
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なんかすらすら頭に入ってくるなあて思ったら2回目やった こういうこと多いな
来年社会人になったらこんな本読む時間がないんだろうなあて思ったらかなしくなってきた -
1978年、1948年12月24日生まれの「僕」は、今年30歳になる。
大学を出て、翻訳を請け負う事務所を相棒と共同経営している。
その相棒は最近、酒を飲みすぎる。
「僕」は、昔の彼女の葬式に出たり、妻と離婚したり。
苦いことをいくつも経験した。
もう、大人なんだ。
そこへ、急に飛び込んできた圧力により、ある「羊」を探す使命を帯びる。
原因は、古い友人「鼠」が送って来た写真。
「僕」は大学を出て、つまらないことに心折れそうになりながらもなんとか社会生活を営んで生きてきた。
一方「鼠」は・・・本人はこれだけは他人に言ってほしくないだろうけど、高等遊民みたいな暮らしをしてきた?そしてそれを負い目に思っている様がうかがえる。鼠が、僕と鼠の故郷の街を出てから5年。
「冒険」は何かの比喩なのかと思っていたが、本当に冒険だった。
世知辛い日常を生きている「僕」が、一転して使命を帯びる。
・・・巻き込まれ型の主人公なんだなあ〜
でもこれ、素質がない人は巻き込まれないもの。 -
冒頭だけ読み、中々手を出せずにいたが"鼠の手紙"から話が一気に展開し、読み切ってしまった。
鼠と羊、男がどう関わってくるのか?
散りばめられたヒントが繋がった時には、
やれやれ、いつも僕はずっと後になってから大事なことを思い出す。と思わずにはいられない。
内容も然ることながら、描写の緻密さや登場人物の何か意味ありげな言動などどうしようもなく心を動かされてしまう。 -
10数年振りに再読。一時、村上春樹を避けたが、やはり、良いものは良い。巧みな比喩表現や気障な言い回し。男目線で作り上げられる、女性パートナー像、自由な設定。一歩目線を変えればいい加減なシナリオを、センスでカバーしている。この小説に閉じ込めた自らの過去の想起のために。巧みなセンスを錆びつきを解く一つのきっかけとして。
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下巻が楽しみ。
シェアフラットを出てボーイフレンドと二人暮らしがしたくなった。 -
混沌とした会話がたくさんありますが、物語という一つのルールの下に道筋となり規則性の無い言葉同士が綺麗に並べられているような気がします。
それと、何も守るべきものが無い主人公に憧れる一方、寂しさを感じます。
『風の歌を聴け』がシリーズ化されている事とは知らずに読んでしまい、ジェイや鼠の登場にワクワクさせられました。本作を読む前にピンボールを読んでおけば良かったなと少し後悔しております。
さて、物語は妻と離婚した主人公が耳の綺麗なガールフレンドと付き合って彼女から『羊』についての啓示を受ける。主人公が職場に行ってみると手掛けた仕事でトラブルが!?勿論『羊』が関係しております。
あらすじを書いていてカオスだなぁと思いますが、主人公達の羊をめぐる旅が今始まります。 -
美深が舞台となっていると知って読んだ。
そこまで好きな内容じゃなかった -
美深に行く前に読むつもりだったけど、行ってみて、なおさら読み返したくなり、本当に久しぶりに読み返した。やっぱり、いいなぁ。初めて読んでから、30年。随分と時間がたったなぁ。
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「個」が徹底している、そんな主人公が、「社会全体の意志」の存在に引きずり込まれる。
そこには「個」はない。
あるのはカオスであり、コミュニケーションによって存在たり得るのだ、と。
自分と他者とをドライに切り分けて、関係をそぎ落とした生き方をしてきた主人公が、他者とのつながりの世界に少しずつ踏み込んでいく。
まずは、「名前」の媒介から始まる。
ネコに名前を与えることによって、それは、取り換えのきかない存在となるのだ。
上巻は、その入り口。
2015.12.29
主人公の虚無感というか、喪失感というか、
そういったものには共感ができる。
賢いけれど、少し面倒くさい人物だと思う。
昔、読んだ時と少し印象が変わった。
それは、私が年をとってしまったからだ。
しかし、主人公は29歳とは思えない。
ゆうに10年分はくたびれている。