執念の家譜 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061836228

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  • 「執念の家譜」「裾野」「信貴山落日」「群猿図」「裏切りしは誰ぞ」「関ヶ原別記」「刺客」鎌倉時代2作、戦国時代5作の短編集。

  • 「執念の家譜」…鎌倉時代・三浦光村目線による三浦氏の話
    「裾野」…曽我兄弟の話
    「信貴山落日」…松永久秀の話
    「群猿図」…長谷川等伯の話
    「裏切りしは誰ぞ」…小早川秀秋の話
    「関ヶ原別記」…宮部長煕と田中吉政の話
    「刺客」…山口重信の話

    「執念の家譜」では、三浦光村の妹・時子(という名で登場する)が、大江季光に嫁いでいるので、台詞はないものの大江季光の名前が登場する。

  •  表題作は、裏切りと執念の家系を生きた三浦一族が、勝つためでも生きるためでもなく、戦うためだけの戦いに身を投じてゆく様から、凄愴ながらも目を背けられない。
     宝治の乱――三浦の叛乱において、故頼朝公法華堂にて、直属の家人としての自負を歴史に刻みつけ、一門は果てる。
     首を分からせないために、自ら顔を切り刻んでの、自刃。
     そして迎えた戦国時代、生き延びた後裔が、宿縁の如く再び北条と対峙する終章では、日本戦史上稀に見る、凄惨な籠城戦が描かれる。
     “降伏よりも抵抗を、いさぎよさよりも執念を”――。
     身内から裏切りを出さなかったが故に滅亡した三浦の最期には、狂おしい静寂感に胸が詰まる。
     また、上記とは別の空しき執念を、関ヶ原合戦前後の秘話として掬い上げた「関ヶ原別記」。
     同合戦にて寝返った小早川秀秋の、幼少以来の心理的経過を描いた「裏切りしは誰ぞ」。
     他、曾我兄弟の仇討ちの真相を抉る「裾野」等、歴史の通説の裏面や隙間に埋もれた人間模様を、人物の感情に寄り添って綴る、辛味の効いた秀逸な短編集。

  • 小早川秀秋が題材の「裏切りしは誰ぞ」が気になったので読んでみた。ひねた甘ったれという秀秋像は普通かなと思いつつ、ラストは良かった。
    他に「関ヶ原別記」、「刺客」、表題の「執念の家譜」が面白い。前二作は裏側の悲哀、後者は愛憎入り乱れ三浦一族の滅亡。

  • 三浦光村中心及び一族の話
    こいつはかの公暁とvな関係だったのでそんな話もちらほらり
    感情が思わず入るお話です

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著者プロフィール

永井路子
一九二五(大正十四)年、東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業後、小学館勤務を経て文筆業に入る。六四(昭和三十九)年『炎環』で直木賞、八二年『氷輪』で女流文学賞、八四年菊池寛賞、八八年『雲と風と』ほか一連の歴史小説で吉川英治文学賞、二〇〇九(平成二十一)年『岩倉具視』で毎日芸術賞を受賞。著書に『絵巻』『北条政子』『つわものの賦』『この世をば』『茜さす』『山霧』『元就、そして女たち』などのほか、『永井路子歴史小説全集』(全十七巻)がある。

「2022年 『悪霊列伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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