人外境通信 (講談社文庫 な 3-5 とらんぷ譚)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061836792

感想・レビュー・書評

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  • 「人外境通信」は13の短編からなる。冒頭の「薔薇の縛め」が良い。久しぶりの中井英夫ワールドが楽しめた。

    中世の荘園らしき場所で、顔を見せない領主に依頼されたのは贄の男を預かって過酷な訓練を施してほしいということ。そしてその内容は…。両性具有的な、同性愛的な魅力、そしてマゾヒズム。倒錯した魅力。そしてそこに気を取られていると、最後にひっくり返されるというものだ。もちろんどんでん返しが売りではなく、流れるような文章とこの世界観を楽しめるか否かなので、当たり外れも多いし、前述のように波に乗れないと溺れてもがくうちに意味もわからず話が終わってしまうようなことはよくある。

    そこに見える世界は現在の場所と狂気の間であり、異世界との間であり、事実なのか幻なのか。そもそもの世界をあまり日常的に描かず、両性具有や同性愛、マゾヒズムといった不思議な魅力を薔薇の香りにまとわせる。



  • これまた何度読んだかわかりゃしませんが。
    「人外」は「じんがい」ではなく「にんがい」と読みます、
    念のため。
    『幻想博物館』『悪夢の骨牌』に比べると、
    うっとりするような耽美趣味ではないので、
    ちょっと肩透かしを食った気分になります。
    いや、一見、地に足のついたお話っぽいのが、
    却ってきぼぢわるかったりして(笑)。
    後からじわじわ気色悪くなってきますね。

  • 320
    地上の一隅にたしかに存在する影の王国、つまり人外境。そこへの扉は容易に開かれないし、かりに扉から偶然入りこめて、彼ら人外の宴にまぎれこんだとしても、人は気づかず通り去るのだ。これから著者が招待するのは、その秘められた宴……。イマージュに光沢と飾りつけを与え、短篇の至芸を示す作品集。連作「とらんぷ譚」第三集の文庫化!

  • 地上の一隅にたしかに存在する影の王国、つまり人外境。そこへの扉は容易に開かれないし、かりに扉から偶然入りこめて、彼ら人外の宴にまぎれこんだとしても、人は気づかず通り去るのだ。これから著者が招待するのは、その秘められた宴…。イマージュに光沢と飾りつけを与え、短編の至芸を示す作品集。連作「とらんぷ譚」第3集

  • 人外(にんがい)
    それは私である。

    とはじめられる中井英夫の世界。

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著者プロフィール

中井英夫(なかい ひでお)
1922~1993年。小説家。また短歌雑誌の編集者として寺山修司、塚本邦雄らを見出した。代表作は日本推理小説の三大奇書の一つとも称される『虚無への供物』、ほかに『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』など。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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