写楽殺人事件 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.54
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本棚登録 : 790
感想 : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061837805

作品紹介・あらすじ

謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉迫する。そして或る結論にたどりつくのだが、現実の世界では彼の周辺に連続殺人が起きていて-。浮世絵への見識を豊富に盛りこんだ、第29回江戸川乱歩賞受賞の本格推理作。

感想・レビュー・書評

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  • ミステリー作品を読みたくて手にしたが、前半大部分を占める写楽の謎解きがかなり興味深い内容だった。
    原田マハさん作品で印象派に興味を持った方は本作品で浮世絵にもハマるかも知れない。

  • 終盤まで、「ミステリー?」と、いう位事件よりも写楽の正体にせまる内容。この説が本当に浮世絵の世界で論じられている説なのか、そうでないのかわからないがこれまで読んだ写楽絡みの話のような華やかさが感じられなかった。
    それから、中心にいる登場人物以外のキャラクター設定が薄いので記憶に残りづらく少々読みづらいかも。

  • ラスト、ある人物の独白気持ちいー

  • 高橋先生の浮世絵への造詣の深さが存分に感じられる作品。

    前半は写楽=昌栄説の立証のための証拠集めであるが、少しずつ足りないピースが埋まっていくのが非常に楽しいシーン。良平と冴子の仲睦まじいやり取りもあり非常に軽快に読み進みられる。ここはザ高橋作品といった感じで理詰め理詰めで可能性を削っていくのが面白い。正直、馴染みのない人名が多く、振り返りながら読むことになったが、1つの学問書を読んだ気になれるのでこれはこれであり。

    後半以降で、2つの死をめぐり、事件が発展していく。利権の塊であり、とても醜い学閥の世界。嵯峨と西島、どちらかは良い人かと思っていたが、どちらもかなりの悪人で逆に衝撃。スッキリとした終わり方ではないが、写楽=昌栄説が捏造にもかかわらず実は真実に迫っていた可能性があるというのは非常に皮肉的で、必死にこの偽説を追っていた良平目線としては少し溜飲が下りる思い。

    …オレ達は浮世絵から見れば、通りすがりの人間でしかないんですよ-放っておいても、浮世絵は自分だけの力で遺り続けていったのに(348p)

  • 浮世絵シリーズ第1弾のテーマは写楽。
    何かで読んだ北森鴻氏の蓮杖那智シリーズと共通点があるという意見には確かに頷ける。
    膨大な調査の元に書かれているので興味深い内容なのだけれど、馴染みがない固有名詞が多すぎて作品の世界に入り込めなかったかな。

  • NO.1401

  • かなり本格的な歴史ミステリー。現実の事件との融合もなかなか巧み。

  • わずか10ヶ月の活動で忽然と姿を消した写楽。 一人の研究員が彼の正体に近づくも、現実の世界では浮世絵界を揺るがす殺人事件が起き始めていた・・・。 

    希代の絵師東洲斎写楽をテーマにした歴史美術ミステリ。流石は作者が元研究者なだけあって浮世絵部分は相当緻密、美術好きなら読む価値はあるかもしれないです。

  • 浮世絵ミステリー

    歴史は証拠がないからな〜

  • 3.3

    浮世絵や日本美術史の知識が浅すぎて、人物が登場するたびにGoogleを頼るしかなく勉強のようだった。写楽の謎と事件の謎、2つのミステリが含まれていて面白い。特に、写楽の謎に夢中になりすぎて通常のミステリ部分を忘れてしまう。楽園のカンヴァスを読んだ後だから特に、美術作品の謎にだけ集中していたので殺人が起きた時に「そういえばそうだった笑」となった。

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著者プロフィール

1947年、岩手県生まれ。早稲田大学卒。83年に『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞、86年に『総門谷』で吉川英治文学新人賞、87年に『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、92年に『緋い記憶』で直木賞、2000年に『火怨』で吉川英治文学賞を受賞。
本作『水壁 アテルイを継ぐ男』は、著者のライフワークである東北を舞台とした歴史大河小説シリーズの一作で、時代の順では『風の陣』(全五巻)、『火怨 北の燿星アテルイ』(上下巻)に次ぐ作品となる。以降、『炎立つ』(全五巻)、『天を衝く』(全三巻)と続く。

「2020年 『水壁 アテルイを継ぐ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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