- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061838093
作品紹介・あらすじ
競馬界を舞台にしたミステリーの最高傑作。北海道で3億2千万円のサラブレッド「セシア」が盗まれた。脅迫状が届き、「我々はセシアを誘拐した」で始まる文面は、身代金として2億円を要求してきていた。衆人環視のなかで、思いもかけぬ見事な方法で大金が奪われる。鮮やかなトリックが冴える長編会心作。
感想・レビュー・書評
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とてつもなく高価なサラブレッドを輸送中に起きた、アクシデント。
事故を隠蔽すべく、ある計画を実行したところ、謎の脅迫者があらわれる。
江戸川乱歩賞最終候補作を修正した作品。
完璧だったはずの狂言誘拐が、さまざまな要因で、歯車を狂わせていく。
秘密の計画は、なぜばれたのか。
脅迫者は、誰なのか。
そして、もっとも難易度の高い身代金の受け渡しは成功するのか。
不可解で、はらはらさせる展開が、おもしろかった。
競馬の知識がなくてもたのしめるけれど、知っているともっとおもしろいんだろうな、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほのぼのした雰囲気ではあるけれど
立派なミステリーです。
人が死なないミステリー。
素敵です。 -
本作は競馬場と北海道の牧場が舞台背景です。北海道の牧場で起きたほんの小さな事故が発端になり東京~北海道でエリートサラブレッドの行方を廻って馬主・警察が犯人を追う物語です。
まず、感心するのは今回誘拐?盗難?された素材が「馬」である事、普通?(犯罪に普通も常識もないでしょうが)盗むなら現金や換金性の高い物を選びますが犯人が盗んだのは転売も出来ない登録が必要な馬主となってレース出場も叶わない事がはっきりしている素材を扱った小説であると事です。
著者は競馬好きとの事で本ミステリーを執筆したとの事ですが盗難に至る真の理由や2重に張られた犯罪トリックと身代金の行方等が新鮮な上に本ミステリーは他とは違い人が殺されないので陰湿な感じが無いのも1つの特徴です。
競馬場や競走馬が舞台ではありますが、競馬素人でも全く問題なく楽しめる内容で一風変わったプロットに衝撃と感動を受けること間違いありません。。。 -
岡嶋二人、2冊目。前に読んだかどうかも忘れているが、多分これは初読み。
3億2千万円の2歳馬(今でいう1歳)が輸送中の事故で骨折し、共有する他の馬主にそれを隠すために、馬の誘拐事件をでっちあげる。
20世紀にセリで3億円以上した高馬というとサンゼウス(3億6050万円)を思い出すが、サンゼウスは1988年生まれなのでこの本が書かれたよりもずっと後。
時代的にイメージに近い馬というと1979年生まれのハギノカムイオーだけども、カムイオーは1億8500万円だもんな。まあ、いいけど。
どんな計画かも知らされていないながら、こちらも主人公になった感じで読み進め、警察の捜査に加えて謎のスカGの女が絡んで、結構キリキリする展開。
馬の誘拐というとシャーガー事件(1983年2月)を思い出すが、馬を誘拐してもレースに出したり種付けしたり出来るわけでもないし、飼っておくだけでも大変だし、あまりメリットはなさそうな。
まあ、本作は狂言だからあまり関係ないけど。
それにしてもこの本が書かれた頃は丁度私が本格的に馬券を買い始めた頃だが、青色のゲートなんて懐かしいね。東京に右回りのレースがあったことは知らなかった。
ユニット馬券やオッズ表示のことなど今から考えると隔世の感だが、それをうまいことトリックに利用していて、、、このトリックを見て、この本を読んだことあるのに気がついた…。
私の記憶には、このトリックと該当のレースが終わった後の寒々しい競馬場の風景しか残っていなかったのだが、一頭の馬に対する多くの人の思惑が二重三重に蠢いて事件を形作っていたことが明らかになる作りこそが、本作の値打ちだったのを改めて思い知った。 -
「焦茶色のパステル」に勝るとも劣らない傑作。別の作品にあるのかもしれないが、オッズの仕組みを利用した身代金の受け取りなどは本当に鮮やかで、何か爽快な気分になった。終わり方が少し気に入らないが、そんなことは些末に思える素晴らしい快作。
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この作家さんは誘拐ものが得意なのだろうか。
99パーセントの誘拐も興味深かったが
意表をつくトリックでひきつけて次々と巻き起こっていく事態に目が離せない。
伏線の回収が少し曖昧だったのか、読後感がすっきりしないのが☆みっつ。 -
身代金奪取の鮮やかさと、先の読めないスリリングな展開でぐいぐい読ませるが、最後にほんの少しだけ息切れしてしまったかな。
著者プロフィール
岡嶋二人の作品





