カンガルー日和 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 佐々木 マキ 
  • 講談社
3.52
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本棚登録 : 5412
レビュー : 498
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061838581

作品紹介・あらすじ

時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで村上春樹作品に対しては苦手意識があったけど、この本には佐々木マキ氏の絵がついていたので頑張って読んでみるか…と思って手に取った。

    思った以上に面白かった。退屈だな〜と思う話がひとつもなかった!「眠い」「タクシーに乗った吸血鬼」「鏡」「バート・バカラックはお好き?」が特に好きだった。自分が生まれる前の1980年代の作品で、当時の空気に思いを馳せながら読むと、タイムトリップしたみたいで楽しい。

    それから、ハンバーグやドーナツ、とんがり焼など、出てくる食べ物が魅力的だった。お腹すいた。

    友達から借りた本だけど、自分でも買おうかな。かなり気に入った。

  • 大学生の頃の動物園でのデートを思い出す。

    若い日の日常が素敵な言葉で綴られた、素敵な短編集ですね。

  • パン屋再襲撃やTVピープルと比べ、
    作品数が多めの短編集。

    4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会う事については、

    短編の中でも一番心に残る秀逸な作品でした。
    「昔々」からはじまり「悲しい話だと思いませんか」で終わる話は、
    グッっときてしまいます。
    自分にとっての100パーセントはきっとそんなことなのでしょうね。
    この短編は華丸星5個

    眠い、あしか祭りも印象に残る作品でした。

    鏡は話し手に関するお話の様で少し怖い感じ、
    イパネマ娘、駄目になった王国、デイトリッパーは自分のに投影してみて、
    色々とかんがえさせられました。

    とんがり焼きの説明会は怖くていけませんね

    図書館奇譚は1~6の連載物でしたが、
    ライトスポーツな感じで読めました。

    総合的に時に関する内容が多い気がしたのですが、
    それが僕個人としてはフィットしていたように思えます。

  • こんな短編書きたい

    • かなりワルイネコさん
      分かる、わたしも書きたい
      分かる、わたしも書きたい
      2019/05/15
  • スパゲティを茹で続ける男が出てくるよ、とひとに勧められて読みはじめた短編集。ぜんぶ違ってぜんぶ面白かった。相変わらず捉えどころはないけれど、肩の力を抜いて楽しめた。

  • 2016.10記。

    「君の名は。」は「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」の物語である。
    (ネタバレあり。観たいけど観ていない人はスルーしてください)

    娘に請われるまま「君の名は。」をつごう3回も観てしまった。ネットのレビューのうち感心したのは、三葉が妹と踊る舞踊が「災厄の伝承」なのでは、という指摘。要するに巨大災害で最初の「ご神体」ができて以来、「入れ替わり」は宮水家に代々継承されていた、と。

    この説に従うと、三葉の入れ替わり相手が瀧であることは恋愛とは関係ない、ということになる。しかし、天災が終わり、入れ替わりが不要となったあとでも三葉と瀧は、今や名前すら憶えていない「誰か」と再会する必要を感じている。

    ここでふと思うのは、本作の下敷きとして、村上の短編小説「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」(「カンガルー日和」所収)があるのでは、ということだ。

    少し長いが冒頭の引用(新潮文庫、P.19)。
    「四月のある晴れた朝、原宿の裏通りで僕は100パーセントの女の子とすれ違う。
    たいして綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。髪の後ろの方には寝ぐせがついたままだし、歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。彼女は僕にとっての100パーセントの女の子なのだ。」
    100パーセントの女の子、つまりは理想の相手。がしかし主人公の「僕」は結局話しかけることができないまま見失う。

    「・・・もちろん今では、その時彼女に向かってどんな風に話しかけるべきであったのか、僕にはちゃんとわかっている」。
    そして、「その科白は『昔々』で始まり、『悲しい話だと思いませんか』で終わる」(P.23)。

    まあ短編のすじを語るというのも野暮なわけだが、つまりは決して忘れたくないはずの相手の記憶もやはり損なわれ、そして二人の再会は・・・という話。

    「君の名は。」で三葉と瀧は二度「かたわれ時(たそがれ時)」に邂逅する。そして、本当の「再会」は朝に訪れる。今度こそ「たそがれ時」でないことはもちろん重要だ。だが、それが「朝」でかつ(私が何か見落としていなければ)季節が春、たぶん4月であることは、私の妄想の中では決して偶然ではない。新海誠監督が村上春樹への敬愛について言及していることももちろん偶然ではない。奥寺先輩の最後のセリフが「ノルウェイの森」なのもこうなると偶然ではない。

    つまりだ。「君の名は。」は、なんの必然もなく出会った相手が「100パーセント」の存在で、でもそれを忘れてしまう、そしてその後に。といういわば「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」のオマージュ的な話なのだった。やれやれ。

  • 「駄目になった王国」を読んで大好きだった先輩のこと思い出した。王国が色あせるのはすごく物哀しいこと、その通りだと思う。

    村上春樹の小説って読んでて安心する。安心して読めるって意味ではない。

  • 18のショートストーリーで構成された一冊です。シンプルなものからオチで黒笑いしてしまうもの等、短いながらも多彩な村上春樹を味わえます。なんと言っても最後に「図書館奇譚」は最も不気味で強烈なインパクトを残して嵐のように去って行きました。逃げ切るまでは誰を信じるべきなのかもわからない。夢か現実か。老人に羊男に謎の美少女、彼等は皆存在したのか。そして私自身は存在するのか。時が止まっていたように感じたのは、長い悪夢を見ていたのかもしれません。それでもまた図書館の前を通ると、置き残してきた靴音が聞こえてくるような気がするのです。

  • 愛すべき意味のない物語

  • 羊男に!また会えた!それがかなり嬉しい。
    短編集も、やっぱりおもしろいなぁ。
    村上春樹の文章の書き方や会話文がとにかく好き。思わずフフッて笑っちゃうくらい可愛いキャラにも会えたりするし。羊男もその中の一人。かわいい。羊男が揚げたドーナツ私も食べたい。
    最初から最後まで読んでいてずっと楽しかったです!素敵!村上春樹!好きが止まらない。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月7日発売の『文学界』で短編小説を2作掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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