最後の伊賀者 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 264
感想 : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061838659

作品紹介・あらすじ

驚異的技能と凄じい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方攪乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思義な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる7編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 本書に編まれた「下請忍者」と「外仏法」わ、過日読了した文庫『ペルシャの幻術士』にも収録されていて、先にそちらで読みました。
    もっともその『ペルシャの幻術士』の方が後から編まれた文庫なので、この『最後の伊賀者』の方が本家?なのでしょう。
    『ペルシャの幻術士』わ、同題目の短編作品が、著者が司馬遼太郎と云う筆名で初めて世に小説を出したその作品だ、ということで近年むりくり文庫を編んだものだろうと、僕わ勝手に解釈しています。
    なんだか『ペルシャ・・』の感想になってしまってますが、一つだけ、この『最後の伊賀者』収められた一話「けろりの道頓」はとても秀逸な作品だと思いました。これを読むだけでも価値わ充分にあります。

  •  忍者にまつわる短編集、忍者とは人間を魔物に変える修法である。物心もつかぬ3歳で忍者の里へ買われていく、修行は10歳で完了する。当然、修行は厳しく生き残るものは少ない。出来なければ捨てるが殺すか、非情な世界であった。

     アニメのタイガーマスク「虎の穴」の厳しさをイメージできればそれに限りなく近いのではないだろうか、人間技とはおもえないところが忍者の凄さなのだ。

  • 下忍、上忍の意味が全然ナルトと違うじゃないか笑

    忍者ものより絵師もの2作品が秀逸。
    呉春、蕪村、応挙、芦雪の作品を調べてしまう私がいた。

  • 忍者小説かとおもったら、短篇集で忍者は初めの2つに出ただけ。
    道頓堀の話しは面白かったな

  • 久しぶりに司馬遼太郎作品を手に取ってみた。ひとこと。やっぱり面白い。吉川英治よりも、北方謙三よりも。今回は短編集である。それぞれ、書評を書いておこう。

    「下請忍者」
    今まで忍者について深く調べたことはなかったが、この作品ではその内情が詳しく語られている。忍者の世界にも武士等の他階層と同様、支配者階級の上忍と被支配者階級の下忍があり、搾取によって成立しているとは真新しい知識である。伊賀喰代の郷士百地小左衛門配下の下忍:猪ノ与次郎が主人公。時代は徳川家康が桶狭間の戦い後に今川の支配を離れた頃。

    「伊賀者」
    河内国弓削村出身の梅ノ源蔵が主人公。時代は本能寺の変前後。源蔵が師の杉ノ坊の仇を撃つべく兄弟子抹殺を諮る途中、筒井順慶の身代わりアングルに巻き込まれる話である。それよりも、盲人:黙阿弥が筒井順慶の父筒井順昭の身代わりをした後で故郷に戻ったという話「もとの黙阿弥」という有名な故事になったとは初めて知った。

    「最後の伊賀者」
    有名な服部半蔵の子:服部石見守正就が主人公である伊賀同心のヒダリ(野島平内)から報復を受け、服部家が廃絶されるという物語。その背景には、上に挙げた上忍と下忍という構造にある。任務を終えると報酬の半分を上忍に持って行かれ、老い朽ちると寝酒にも事欠きつつ死んでいく。他で士官しようにも、横のつながりにより殺される。そんな厳しい境遇に置かれた下忍。なので、服部半蔵の跡を継いだ実子に対しても、素直に心服出来ないのである。

    「外法仏」
    平安時代前期が舞台。文徳天皇の皇太子の座を争う藤原良房と紀ノ名虎。藤原良房に護摩を依頼した僧都恵亮が主人公。謎の巫女:青女と関係を持ち、パワーを貰った恵亮が最終的には勝利し、藤原良房が推す惟仁親王、後の清和天皇が立太子。まぁ、分かったような分からないような話。

    「天明の絵師」
    与謝蕪村の弟子:松村呉春の半生を描いたもの。蕪村に可愛がられ、蕪村娘のお絹とは微妙な関係、上田秋成にはこき下ろされ、円山応挙には認められる。そんな江戸時代の文化人に囲まれた半生を客観的に楽しむことが出来た。

    「蘆雪を殺す」
    円山応挙の弟子:長沢蘆雪が主人公。型破りなキャラクターであり、応挙にも逆らう問題児が、多くの人の恨みを買い、暗殺の危険性を予知。最後は食あたりで死ぬが、本人は毒を盛られたと思い込んで最期をとげた、というもの。単純に面白かった。

    「けろりの道頓」
    豊臣秀吉に女を差し出した安井道頓が、水運のため大坂の街に堀を掘るという話。それが現在の道頓堀。本人は豊臣家に恩義があるとして、武士でなく商人なのに大坂冬の陣にて城方に加わり生涯を終える。こんな一市井の人の話も面白いものだ。改めて、司馬遼太郎の話の作り方に魅了された。

  • 旦那さんが忍者のゲームで遊んでいたので、
    なんとなく忍者の話でも読んでみようかなーと思って読みました。
    短編集になっているので
    1つの話は短く、司馬遼太郎さんの作品の中では
    読み易い方だと思います。


    戦国時代に主に活躍した伊賀の忍者の話や、
    円山応挙やその弟子(蘆雪)など、有名な日本の絵師の話、
    道頓堀を作った安井道頓の話など……

    忍者に限らず色んな話が載っています。


    よく、外国に行って日本のイメージをインタビューする番組なんかで、
    「日本=忍者」みたいなイメージで思ってる人が結構いたりするのに
    私は今まで、「忍者」って
    具体的にどんな事をする職業なのかもよく知りませんでした。

    読み終わった今は、

    こういう「忍者」っていう職業が、
    どんな仕事をしていたのか分かりましたし、

    しっかり組織化されて
    日本の歴史上に実在したんだなあ…と

    不思議なような、感心するような気持ちになりました。

    ここまで超人的なことが出来たのかはちょっと怪しい気もしますが…(-_-;)

    伊賀忍者のことを知るのに
    ちょうど良い感じの短編集だと思います。

  • 短篇集。絵師を描いた2作(「天明の絵師」「蘆雪を殺す」の2作が面白かった!

  • 「最後の伊賀者」はもちろん、どの短編も面白かったです。
    「けろりの道頓」は大阪の道頓堀を作った安井道頓さんのお話で、
    一番印象に残りました。
    司馬さんの秀作短編が揃っています。

  • 図書館にて
    3/31読了

  • 「下請忍者」「伊賀者」「最後の伊賀者」「外法仏」「天明の絵師」「芦雪を殺す」「けろりの道頓」の短編7本立て。

    久々に司馬センセイ!やっぱ面白い!ガンガン読んでしまうね。
    この人の話は登場人物がどうにも魅力的で素晴らしい。本当にそういう人物だったんだろうとついつい思ってしまうリアリティがありますね。史実と創作の境目が分からないんだよね。
    そして、どうにも知識欲が刺激される。


    前3話は、下忍の悲哀がなんとも切ないお話でした。
    戦国無双(ゲーム)で下忍を雑魚とザクザク斬ってたのを反省しちゃったよ(笑)
    「伊賀者」はちょっとサスペンスっぽくて面白かった。

    外法は知らなかったなぁ…
    「天明の絵師」は松村呉春は与謝蕪村の弟子だったとか、上田秋成が与謝蕪村の友人だったとか豆知識面白い。
    芦雪!豪快な人だったんだろうと…想像。ある種、狂人だったのかもねぇ。
    道頓は可愛らしい人だったようで、いいお話だ。

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著者プロフィール

大正十二年(一九二三年)、大阪市に生まれる。大阪外国語学校蒙古語部(現大阪大学外国語学部)卒業。産経新聞文化部に勤務していた昭和三十五年(一九六〇年)、『梟の城』で第四十二回直木賞を受賞する。昭和四十一年(一九六六年)、『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞。その後多くの賞を受賞。『坂の上の雲』『翔ぶが如く』『花神』『菜の花の沖』などの歴史時代小説、『街道をゆく』『この国のかたち』などの紀行、エッセイなどの作品が多数ある。平成五年(一九九三年)には文化勲章を受章。平成八年(一九九六年)死去。

「2022年 『花咲ける上方武士道 上巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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