- Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061839861
作品紹介・あらすじ
小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。ところが、作家の欲望の影が、しだいに彼女を追いつめ、さらに、愛する2人の男性との間で苦悩する美也子の、破滅への道が始まる。美貌の女社長をめぐって展開するサスペンス長編小説。
感想・レビュー・書評
-
ラストがちょっと…
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美貌と色気を兼ね備えた美也子は、自らが立ち上げた出版社を大きくする野望を持つ。それも愛する夫(詩人でヒモ同然)の本を出版してあげたいが故。その為には、女の武器を使い、愛人のパトロンもいる。その後、男を手玉にとったしっぺ返しを喰らうが、それはあまりにも代償として大きかった...。始めは『黒革の手帳』ばりの悪女話かと思ったが、どうもそうではないらしい。美也子の切なさ・脆さはぐっとくる。下手したら昼メロのような雰囲気になるところ、そうはならないのはやはり松本清張だからか。隣人房子のキーパーソンぶりは凄い。
-
清張作品の中では駄作の部類に入るのではないか。清張独特のスリル感がなく、特に前半は冗長な部分が多かった。最後になってようやく少し面白くはなってきたが…
-
流れるように進む。内容が薄いわけではなく、物語に入りやすいという感覚。
-
【立ち上がるための脚は、ついているか】
久しぶりに松本清張を読んだ。不甲斐ない自分への戒めのつもりだった。流れない時間を無理やり動かすための歯車でもあった。読み終わりに感じたものは、読み始める前となんら変わりなかったが、時間だけは動いている。
自分には出来ないことがある。出来ることもある。できたことが出来なくなる時もある。僕には自信が無さ過ぎた。
会って話してみたくても、嫌わるのが怖いのだ。見知らぬ人でいたい。出会いは別れ。ファンでありたい。読みたいから。認識し合えば、何かの拍子で僕がなにかをやらかして、本が読めなくなる。そんなことになったら。常識がないのです。だから、怖くなって。心から懺悔しても、自分は許してくれないのに。渡そうと思った本カバーと栞はもうごみ箱に入れた。書いた手紙はやぶってもやした。馬鹿なんだよね。僕は昔から馬鹿だ。 -
小さな出版社を経営する紺野美也子は、経営安定のため大流行作家に近づき、色仕掛けで書下ろし小説を依頼する。
作家の欲望がしだいに彼女を追いつめ、破滅の道に・・・。
愛する夫のためとはいえ、美也子のやり方も流行作家の欲望もどっちもどっちという気がする。
(図書館) -
塗られた本 松本清張(著)
松本清張を読み返して、ずいぶん私の中の価値観が、
変わっていたことに気がついた。
松本清張を社会派と呼ばれていたことの意味が、
やっと分かったような気がした。
ピュアーな気持ち、純粋な気持ちを大切にするものを、
主人公に据えることで、社会の汚濁、人物の低俗さを、
浮かび上がらせることに、主題をおいた。
多分、若かりし頃の社会と大人というものに対する
私の見方もそんな風だったのだろう。
松本清張は、ピュアーで、ロマンチストだった。
今読むと、松本清張の手法であり、何と無く、
胡散臭さを感じるのである。
小さな出版会社を立ち上げた 美也子。
水商売から、純粋な気持ちで、詩人を好きになり、
詩集を出したいばかりに、出版社をつくる。
その資金は、どこから出ているのか?という疑惑があるが、
エロティックな本をだす、流行作家に、色仕掛けで、
原稿依頼する。露骨すぎても、美貌のために、流行作家も心が動く。
据え膳 食わぬは、男の恥ということだ。
流行作家は、人参ぶら下げられて、原稿を書き上げる。
房子は、新劇の女優で、バーで働く。
美也子の旦那、伸一をよく知っていた。
美也子のやり方に、反発しながら、伸一に同情する。
流行作家の狙いも、房子にわかる。
そして、房子は、流行作家の作品の主役となる。
劇は、そこから始まるのであるが。
頭取のワンマンさ。そして、事故によって、没落。
寂しい人生がはじまる。美也子の支援者だった。
ピュアーないきかたをしている伸一は、
生活無能者として、自覚する。
その結末は?
著者プロフィール
松本清張の作品





