開けっぱなしの密室 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061840164

作品紹介・あらすじ

ユーモアと恐怖が交錯するミステリー傑作集。親友の夏美が引越したばかりのアパートで殺されてしまった。前夜泊まり込んでいた悦子は、警察の鈍い捜査にいらだち、自分で犯人捜しに乗り出した。なぜ犯人は密室の鍵を開けていったのか。表題作など、軽やかな都会派ミステリーの魅力があふれる6編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 今読むとさすがに古臭さを感じるけど十分楽しめる

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701933

    タイプの違うミステリをいくつも短時間で堪能できる。
    試しに最初の「罠の中の七面鳥」を読んでみてください。引き込まれたらもう岡嶋二人の虜。

  • 短編ミステリー面白かったー!時代が昭和の終わり?平成の初め?ぐらいでまたそれも良かった。


    経理課の宮本は会社の金を横領していた。少しずつ抜いていた金額は総額600万。返すあてなどない。同じく経理課の佐々木は昼間は地味な事務員、夜は派手な化粧をして水商売をしていた。そんな佐々木のところに宮本が客として現れ…「罠の中の七面鳥」

    カメラマンの若槻は、仕事の仲間のところへ向かう途中に前の晩その仲間と一緒にいた若い女を目撃した。しかし、その女のハンドバックがひったくりにあい、犯人を捕らえるとその女は消えていた。そして、そのハンドバックの中には仲間の男の遺書があり、自宅で死んでいた。遺書にはひき逃げをしたことが書いてあり、そのひき逃げ事件を洗っていくと…「サイドシートに赤いリボン」

    ある廃墟となった工場で映画を作っていた大学生が転落死した。顔にはレモンパイのクリームが付いていた。仲間に話を聞くと、転落間際に少し不審な行動があり…「危険がレモンパイ」

    姉に借金を申し込みに行った和彦が見たものは、姉の自殺遺体だった。姉は薬を飲みガス栓を開けて死んでいた。すぐに110番をしようと思った和彦は手を止めた。以前に姉は死亡保険に入り受取人を夫ではなく和彦にしたのだ。姉が死んだ場合に入るお金は1千万円だ。しかし、入ってすぐの自殺ではそのお金は入ってこない。和彦は金に困っていて…「がんじがらめ」

    最近、この辺で放火が連続して起きている。「僕」は、叔父家からの帰りにその犯人を見かけ、家まで後をつけた。部屋番号と名前を確認するとある計画を立てた。「火をつけて、気をつけて」

    友人の夏美が引越した先で、どうやら大家が勝手に家の中に入っている気配がするという。悦子は夏美に頼まれ、夏美のフリをして出勤をし、とうの夏美は侵入してくる大家を迎え撃つという作戦を実行。しかし、夏美の部屋へ帰ると夏美が殺されていて…「開けっ放しの密室」


    どれも面白かったー!なるほどねぇとも思ったし、ツメが甘かったなぁ犯人とも思った。勝手に部屋の中に入ってくる大家(おじいちゃん)とか本当に無理!って夏美と同じように思ったし、馬鹿だなぁ宮本さんってとも思った。


    昔特有の個人情報ベラベラ喋っちゃう会社の人とかいて、今だとコンプライアンスがー!!!ってなるの本当に好き。こういう30年ぐらい前の小説ってこういうところあるから好きなんだよなぁ。


    2020.8.10 読了

  • 2017年4冊目。
    岡嶋二人コンプリート計画続行中w
    今までの経験上、岡嶋二人は短編も面白いと分かってはいたけど、今回も面白かった。
    まずタイトルが凝っていてやや意味不明なところが惹きつけられる。6作品の中では「罠の中の七面鳥」「がんじがらめ」が好き。「罠の中の・・」は井上夢人の「もつれっぱなし」みたいな運び方。初めて岡嶋二人を読む人には読みやすくていいかも。


    2022年6月再読。
    短編集、どれも作り方が異なってて面白い。
    岡嶋二人作品に出てくる女性キャラクターは、どの人も快活でイキイキしてて魅力的。

  • 六編収録の短編集。タイトルの付け方が面白いですね。どんな話だろうかと興味を惹かれます。どの作品も読みやすい上に、捻りを効かせた短編ばかりで初期作品だとは思えませんでした。独白と会話のみという構成が面白い「罠の中の七面鳥」や、20ページ足らずの作品ながらも充実した内容の「火をつけて、気をつけて」等、短編ならではの楽しさに満ちた作品でした。

  • 突っ込みどころは色々あるが、本格物としてはまあまあの短編集。

  • 6つの短編集
    「罠の中の七面鳥」
    「サイドシートに赤いリボン」
    「危険がレモンパイ」
    「がんじがらめ」
    「火をつけて、気をつけて」
    「開けっ放しの密室」

    程よい長さの短編集だった。
    設定がどれもおもしろいし
    本当によく構成されているミステリー
    文体が様々で、どんな話も飽きさせない

    6つの中では、私は一番初めの
    罠の中の七面鳥」がいちばんすきだった。
    どんな結末になるのかが、全く分からない。興奮した。

    あと「危険がレモンパイ」というタイトルがすごい好き。
    「危険がいっぱい」とかけてるのかな
    そういうのけっこう好き

    最後の最後まで、犯人の候補者すら思い浮かばない話が多い

    読みながら疑いをもってしまう人はどれも結局犯人じゃなかったり、
    読者心理の裏の裏や裏の裏の裏をかく感じが
    やっぱすごいなあと思う。

  • 短編ミステリ六話収録。短編としてどれも読みやすくキリの良いサイズ感。表題作と『サイドシートに赤いリボン』は徐々に事件の関係者の相関図が見えてくる展開の素人探偵パターン。『がんじがらめ』と『火をつけて、気をつけて』は犯行手口の描写で「え、でもこれだと…になっちゃうんじゃね?」と思った部分がやっぱり犯行の破綻箇所になるウッカリドジパターン。『罠の中の七面鳥』『危険がレモンパイ』は食材タイトルモノ。…っていう、カテゴライズがされた読了印象であります。

  • あとがきにもあったけど、短編それぞれのタイトルがホントしゃれてる。センスがよすぎ。“危険がレモンパイ”てなんのこっちゃ?!って考えながら読むのも楽しかった。タイトルだけじゃ、どんな事件が起こるのか分からないから、何が起こるんやろ~?!っていうドキドキワクワク感も楽しめた。
    情景描写が巧いので、場面場面が頭にすぐ浮かぶから、サクサク読める。

  • 短編集「罠の中の七面鳥」「サイドシートに赤いリボン」「危険がレモンパイ」「がんじがらめ」「火をつけて気をつけて」「あけっぱなしの密室」の6編。短編ながら安定したしっかりとしたストーリ展開。楽しめる。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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