回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫 む 6-7)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1163
感想 : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061843196

感想・レビュー・書評

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  • 2002/09/18

    また村上春樹の本の話になっちゃったけど、これも短い文章を集めたものです。村上氏の前書きによると、小説でもなくノンフィクションでもなく、「人から聞いた話」を文章型の「スケッチ」として書き留めたものを集めて文庫本型の「スケッチ・ブック」として出版した様です。「本当にこれ、実際あった話なのかなぁ」と思わず怪しんでしまうところもありますが、「本当に誰かから聞いた話」ということを信じて読むと関心してしまいます。実際に聞いた話を上手く文章に直すのって、かなり難しいことですよ。やってみるとよく分かるけど。村上氏の本って大抵内容よりも「表現法」等の「文章を書く上手さ」がミソだと私は思ってるんですけど、これもまた彼の「文章を書く上手さ」のショーケースですね。

    「本当に誰かから聞いた話」という事実(設定?)があるので、『夢で会いましょう』とはまた違う感じです。「本当にこんなことあったんだろうか」「それにしても上手く書き留めてるなぁ」とか思いながら、ちょっと不思議な気持ちで読みました。でも「まろやかな面白味」という共通点はあります。基本的に村上春樹の本ではそういうのが多いのかな。それほどトゲがなくて、どことなく落ち着いた感じがする。でもそれは私が読んだだけの範囲で言えることであって、彼の文章について全般的に言えることかどうかは知りません。

  • 素敵な短編集

  • (~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 今年2度目。レーダーホーゼン、今は亡き王女のための、野球場など印象深く覚えている作品もあれば、ほとんど覚えていなかったものも。はじめにで著者が書いているようにこれは小説ではなく、<スケッチ>!いろんな人の話を聞いてメモッたものだそうで、実話とのこと。そしてそれが「話してもらいたがっている」ためにこの本になったとのこと。著者らしい表現だが、「わかるような気がする」!この書の題名の意味合いがこの中で書かれている。いろんな人たちの人生が回転木馬のように巡回し、通り過ぎていっているということなのだ!

  • 以前も何度か読んだ作品。
    特に「プールサイド」には影響を受けて、人生の折り返しポイントをしっかりと意識しながら、今も生きている。
    私の生き方を変えた本だ。
    どの話に描かれた「心」も、じわじわと私にしみ込んでいくような思いがする。
    昔よりも理解ができる気がする。
    「理解」というより、私の中にも同じようなものがある、という感覚かもしれない。
    捨てられない本だ。


    2002.7.11
    現実におこった、とは、やや信じがたいような話もいくつかあった。
    みんな、何かしらをかかえて生きているのだなぁ、と思う。
    回転木馬。
    まさしく、そうかもしれない。
    己がつくり出した敵と、必死になってたたかっている。
    たいてい、そういったことなのかもしれない。
    ひとつ、今の私の心に残った言葉がある。
    「今は亡き女王のための」のスポイルされた彼女を妻とした男の言葉。
    「とにかく、僕は彼女を愛していました。たとえ彼女が彼女自身や僕やまわりの何もかもを傷つけまわったとしても、僕は彼女を手放す気はありませんでした。夫婦というのは、そういうものです」
    正直、私はそんな女を妻とした男をバカなだけだ、と思っていた。
    今でも、完全に疑問が払しょくされたわけではない。
    でも、彼は、この美人の自己中女を本当に愛していることだけはわかる。
    すごいなぁ、と思う。
    私はどうだろう。
    苦しい時、ちゃんと一緒にふんばろうと努力できるだろうか?
    きっとそうしよう、と思う。

  • 人から聞いた話を大筋に
    なるべく雰囲気を壊さないように
    文章にうつしたそうだが、
    それでも溢れる村上春樹感が凄い

  • 作者が人から聞いた事実の(ような?)話の短編集。面白かったが中にはありそうな話(レーダーホーゼン)もあるが、ほとんどが現実味に欠ける話(嘔吐1979とか)だったように思う。「事実は小説より奇なり」(バイロンの"Truth is stranger than fiction."の和訳らしい)と言う言葉もあるくらいだしそこは問題ではない。また作者の周りの環境は自分よりも確実に変わった話を持った人が集まってくるような気がするし。しかし他人から聞いた話を第三者にその面白さを損なうことなく話すことは自分にとってとても難しく(たとえ脚色したとしても)、それを考えると作者の技術は読んでいて感嘆をせざるを得なかった。

  • 村上さんが出会った人から聞いた話をまとめたもの。

    セックスが関連する話が多くてちょっと気が滅入りました。
    前読んだ時はそんなことなかった気がしたのに。

    ちょっと不思議というか変わった話なんだけど、「レーダーホーゼン」とかなんとなく分かる気がする話もありました。
    レーダーホーゼンだからじゃないんだけど、なぜかレーダーホーゼンを買う時に夫や今までの生活が全て嫌になってしまったことにハタと気付く感じがなんとなく共感出来ました。
    そう気付くともう元の感覚には戻れない感じとかが思い出されて、この話が一番印象に残りました。

  • 事実を基にした短編が8本入ってる
    つかみどころのない話や感情を上手く形にしている
    読みやすくて黙々と作業読んでしまった

  • 2017年01月24日読了。

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著者プロフィール

1949年 京都府生まれ。著述業。
『ねじまき鳥クロニクル』新潮社,1994。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』新潮社,1985。『羊をめぐる冒険』講談社,1982。『ノルウェイの森』講談社,1987。ほか海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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