回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 976
レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061843196

感想・レビュー・書評

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  • 2002/09/18

    また村上春樹の本の話になっちゃったけど、これも短い文章を集めたものです。村上氏の前書きによると、小説でもなくノンフィクションでもなく、「人から聞いた話」を文章型の「スケッチ」として書き留めたものを集めて文庫本型の「スケッチ・ブック」として出版した様です。「本当にこれ、実際あった話なのかなぁ」と思わず怪しんでしまうところもありますが、「本当に誰かから聞いた話」ということを信じて読むと関心してしまいます。実際に聞いた話を上手く文章に直すのって、かなり難しいことですよ。やってみるとよく分かるけど。村上氏の本って大抵内容よりも「表現法」等の「文章を書く上手さ」がミソだと私は思ってるんですけど、これもまた彼の「文章を書く上手さ」のショーケースですね。

    「本当に誰かから聞いた話」という事実(設定?)があるので、『夢で会いましょう』とはまた違う感じです。「本当にこんなことあったんだろうか」「それにしても上手く書き留めてるなぁ」とか思いながら、ちょっと不思議な気持ちで読みました。でも「まろやかな面白味」という共通点はあります。基本的に村上春樹の本ではそういうのが多いのかな。それほどトゲがなくて、どことなく落ち着いた感じがする。でもそれは私が読んだだけの範囲で言えることであって、彼の文章について全般的に言えることかどうかは知りません。

  • 村上さんが出会った人から聞いた話をまとめたもの。

    セックスが関連する話が多くてちょっと気が滅入りました。
    前読んだ時はそんなことなかった気がしたのに。

    ちょっと不思議というか変わった話なんだけど、「レーダーホーゼン」とかなんとなく分かる気がする話もありました。
    レーダーホーゼンだからじゃないんだけど、なぜかレーダーホーゼンを買う時に夫や今までの生活が全て嫌になってしまったことにハタと気付く感じがなんとなく共感出来ました。
    そう気付くともう元の感覚には戻れない感じとかが思い出されて、この話が一番印象に残りました。

  • 事実を基にした短編が8本入ってる
    つかみどころのない話や感情を上手く形にしている
    読みやすくて黙々と作業読んでしまった

  • 2017年01月24日読了。

  • 2016/07/24 読了

  • 「はじめに」で先制パンチ的に純な小説でなく、事実に基づくなんて言ってるが、実のところは闇の中?若しかしてシンプルに作家の言葉を信じれば良いのかもしれんが、それには歳を取りすぎたかな?当方は。
    まぁ確かに練られた風もなく、偶然の契機で世に現れた感じ。でも確かに村上春樹の手になるものという気はするところ、当たり前だがプロの仕事かな。
    個人的には『野球場』が好きかな。野球好きとは無関係に何だか普通の人間の壊れる様を見せられているようで。他作品もまぁいけると思います。

  • 現代の奇妙な空間――都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それらはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人……、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。

  • 高校時代の同級生と飲んだ時に、読み返すと面白かったと薦められたので本棚から取り出して、おそらく20数年ぶりの再読。
    作者も登場人物も30代で、読み返している僕が一気にその年齢を越えてしまったことに躊躇う。村上春樹は高田馬場のジャズ喫茶で『羊をめぐる冒険』を読み耽った20代の僕が向かい合う小説家なのだ。もうじき50になる物語の主人公にも脇役にもなれそうにない冴えない男が辛うじて80年代の風俗に懐かしさを感じながら、ページを捲るべき本ではないのかもしれない。
    この中の『雨やどり』から引用すれば、自然発火のごとくセックスが生じなくなってしまった中年男ということになる。その点では、元編集者を買う中年男という脇役にはなれるのだろうか。いや、財布の中身が心許ないので、それさえも叶わないのだろう。

  • 昔一度読んで、内容を忘れたのでもう一度読み返した。ムラカミさんが観察者のように登場するのが、新鮮だった。全然古さを感じさせない、面白い話ばかり。

  • 好き

  • 再読。
    1993年に発刊された文庫が手元にあるから、ちょうど20年ぶりに再読したことになる。

    全編にわたって漂う、独特の「さみしさ」のようなものが、なんとも味わい深い短編集。

  • 今回も9編の短篇集ではあるものの、作中の「僕」はご本人という設定。当人などから聞いた話をスケッチのような小説のようなスタイルで書いている、としている。ドイツの半ズボンの話や画廊の女が買った絵の話、出版社が潰れた女編集者の話、望遠カメラの話など。あと雑魚寝でHしかけた話など。

    今まで読んだ短篇集の空気は統一感があり、スラスラ読めて何も残らないというのが印象。否定しているわけではなく、ストーリー性なく淡々と進んでいく。前書きでご本人が言うように小説でもなくエッセイでもない、またノンフィクションでもない。不思議だ。

  • 実話の短編集だったが

    何も面白くなかった

    特に気になる文章も無かった

  • 購入者:宇都宮
    村上春樹の短編小説です。レーダーホーゼンという1発目の物語が個人的には好きです。長い年月を経て生まれた奥さんのだんなに対する嫌悪感を淡々と綺麗に表現しています。普通ならドロドロした感じになりそうなのも村上春樹が書くと綺麗になるのかもしれません。
    貸出:油谷
    短編小説だったのでとても読みやすかったです。
    久しぶりに村上春樹を読みましたがやっぱり好きだなーっというのが率直な感想です。私も宇都宮サンと一緒で最初のレーダーホーゼンが村上春樹の世界観がなんとなく出てて好きです。

  • 羽田への飛行機の中でさくっと読んだ。
    どこにでもいるような人の中にあるどこにもないようなことを拾い出してきて、わかるように書く。そして、どれもインタビューに近い形の、聞き書きのようなスタイルなので、なんだか会話をしている二人の隣にいるような感じ。村上作品の原点が垣間見え、彼の創作のエッセンスが詰まった一冊。

  • どれも読んだことはあるが記憶がないことが続いていた村上本で、唯一内容に覚えのある一冊。とりわけ、人生の折り返しを意識した話は身につまされる。本当に他人から聞いた話で構成されているのか。そこの自分はどれくらい関わっているのか。自分の世界の小ささ、あるいは偏りを再認識する。

  • 久しぶりに村上春樹を読んだ。驚くべきことに、以前よりもかなり面白く村上春樹を読んだ気がする。年の変化か何かだろうか?あと、本著のような短篇集は一気にがーっと読むよりも、一話一話ある程度感覚を開けて読んだほうが、全体的な面白さというか、印象がくっきりとするな、と改めて思う。

  • 春樹さんの作品で一番好き。

  • 学生時代(1988)に買って読んだ文庫本。
    なんと定価280円(税なし)。
    短編集で、その中の「プールサイド」という話が好きで何度か読み見なおしていた。
    35歳を人生のターニング・ポイントとする話。
    昨日、私もその歳になり、もう一度読みたくなって読んだという訳です。
    人は確実に老いていく。さあ、残り半分がんばろう。(01.02.11)

  •  初出は1985年10月の単行本。「はじめに」によれば筆者はこの作品を「正確な意味での小説ではない」としている。他人から聞いた実話を文章化したというのだ。それを<スケッチ>と呼んでいる。しかし、これが方便であることは明らかだ。たとえ自分の実人生を書いたとしても、ストーリーのある文章にまとめた時点で小説であある。まして本書の短編小説群は完全な小説の形をとっており、内容も小説以外の何ものでもない。
     筆者がかような前置きを置いたのは、描かれている人間模様を読者にリアルに感じさせるための仕掛けである。回転木馬は筆者に言わせれば人生のあり方そのものらしい。人は自分の人生を持っているが、それはメリー・ゴーランドを走る木馬そのもの。決まった経路を同じ速度で回り続けるだけ、決して装置の外に出ることはないのだ。それなのに人間はあたかも誰かと競争をしているかのように毎日を送る。これが書名の由来なのである。他人の人生を知ることは自分が生きられない別の人生を知ることだというのだ。そこにあるのは断絶である。これは筆者のその後の作品に一貫して流れる考え方のようだ。
     小説は、筆者によれば<スケッチ>は8編あり、中では「プールサイド」に注目した。「プールサイド」は35を迎えた男が人生の折り返しを意識して生き方を変えていくとないようだが、話題となる男は自分の人生そのものを2つに切り離し、別の人生を送ろうとしているのだ。新たな人生をやり直そうとしているともいえる。しかし、実際には当然ながらそれは不可能だし、どんなにシェイプアップしても体も心も確実に老いてゆく。そして他人はそれを傍観者としてみるしかない。そしてそれは自分の話でもある。そういう話になっているのだ。
     私は村上春樹はやはり短編作家なのではないかと思っている。まだ読み込めていないからもしれないが、氏のドライな作風は短編にこそ相応しいと思うのである。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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