卒業 (講談社文庫)

  • 講談社 (1989年5月8日発売)
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本 ・本 (372ページ) / ISBN・EAN: 9784061844407

作品紹介・あらすじ

7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
加賀恭一郎シリーズ

感想・レビュー・書評

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  • 最近は感覚で考える方のフーダニットばかりで脳みそ労わってばかりだったので、トリックに悩まされたくなりハウダニットを手に取ろうと。と、言う事で久々の東野圭吾。

    物語のテンポが良く挫折を許さないリズミカルな展開はストレスフリー、忙しい中でもスムーズに読み進めることが出来た。狙い通り、「誰が」よりも「どうやって」な本作品。茶道の心得など微塵もない私だが、丁寧な説明とそれに沿ったキャラ達の行動はとてもわかりやすく、展開につまずく事はありませんでした。「へぇ!!」「ほぅ!!」「ソウナンダ!!」ばかりではありましたが。

    と言えど、やはり知識をその場で吸収した所で解明されるトリックは「だってそーゆールールだから」の前提が成り立っており、新しい知識で謎が解けると言うのはなるほどスッキリ感は薄めだ。
    密室といえば の、ー針と糸ートリックのような、未更新の脳味噌でも納得出来る様なものを求めていた。つまり、鎖にまみれた謎が解き放たれる開放感はあまり感じられなかった。
    ーーー
    読み進めるにつれ、「誰が」の部分に少し期待はしていたもののここはセオリー通り、大きな驚きは無かった。結局この作品を読んで自分が最後のページをめくるまでに求める真実は、
    『何故』 つまり動機になってしまい、「結局そうなるのか自分よ...」と本来の目的は果たせなかった模様。と言えど、手に取った目的と作品内容がミスマッチしてしまっただけで、大変面白かった。
    キャラクターはシリーズ1作目という事もありやや薄めな印象だったが、読み終えた今となっては不思議と愛着が湧いており早く続編を読みたいと思っている。そんな彼 彼女らの魅力的な存在感が加賀恭一郎初めこの作品の素敵な所の1つなのでしょう。

    我ながら他人事感満載のレビューだなと思うが、これからの続編に期待です!

    • NORAxxさん
      yyさん、こんばんは^ ^
      いつも素敵なレビューと今回のコメント、ありがとうございます...♪*゚

      今更ながら加賀恭一郎シリーズ読み始めて...
      yyさん、こんばんは^ ^
      いつも素敵なレビューと今回のコメント、ありがとうございます...♪*゚

      今更ながら加賀恭一郎シリーズ読み始めてしまいました...なるほどやはりここがワクワクの始まりであり、私はこれからそれを体験できるのですね\✡/
      yyさんのお陰で、これからこのシリーズが追えることが大変楽しみになりました///
      祈りの幕が下りる時 までの道程はひたすら長いですが
      ゆっくりまったり追わせていただきますね(。ᵕᴗᵕ。)
      いつもありがとうございます☆*°
      2021/06/16
    • yyさん
      NORAさん、ありがとうございます。

      お節介だったかなぁと、ちょっと反省してました。
      NORAさんのレビューに 大好きな加賀恭一郎が...
      NORAさん、ありがとうございます。

      お節介だったかなぁと、ちょっと反省してました。
      NORAさんのレビューに 大好きな加賀恭一郎が出てきて、ついテンションがあがってしまったのです。
      ふんわり スルー してくださって大丈夫です。

      それで、さらにお節介というのも矛盾してますが (^^)「新参者」のドラマも面白かったので紹介させてください。
      ご存知かもしれないけど、阿部寛さんと溝端淳平さんのコンビで 10話まであります。
      Paraviで、2週間無料体験で観られると思います。

      あ、これも適当にスルーしてくださって結構です。
      100%、私の自己満足。
      お付き合いいただいて、ありがとうございます☆彡
      2021/06/17
    • NORAxxさん
      yyさん、こんにちは^ ^

      いえ、とんでもございません!!むしろyyさんのメモリーを刺激する事が出来たようで嬉しく思います(*´ω`*)
      ...
      yyさん、こんにちは^ ^

      いえ、とんでもございません!!むしろyyさんのメモリーを刺激する事が出来たようで嬉しく思います(*´ω`*)

      紹介嬉しいです。
      とりあえずは原作を堪能してからドラマの方も楽しんで行けたらと思います。
      ふふ、本当に加賀恭一郎シリーズがお好きなのですね...♪*゚
      愛が伝わりました。
      そこまで刺激してくれる作品に偶然ながらも触れられた事、幸せに思います。

      とんでもない、こちらこそ素敵な情報提供をありがとうございます\★/
      2021/06/17
  • 加賀シリーズの第1作目

    今まで手にしてきた加賀シリーズは
    どれも面白かったので
    他のものも読んでみようと
    まずは1作品目から手に取りました


    なんと30年以上前の作品
    それを感じさせないところがすごいですね。


    加賀恭一郎はまだ学生!!
    それもとても新鮮でした
    あと今まで読んだものは
    加賀目線の話はなかった(たぶん)ので
    加賀の人となりがわかって面白かったです


    トリックについては正直よくわからず笑
    雪月花のあたりは図があっても理解しきれず
    読解力がなくて申し訳ない。


    でも犯人や、動機の方面で
    楽しませてもらいました。

    東野圭吾さんは
    あれがああ繋がるのか!というのが
    いくつもあるのがすごいところ
    何度も驚かせてもらいました


    次作も今から楽しみです(^^)

  • 爽やかさを感じない青春学園ミステリー笑
    友情とは?仲間とは?
    そんなものは人としての尊厳を奪う事で簡単に崩壊するものだと受けとりました。
    文庫で1989年刊行というバイアスのせいか、全体的に古さを感じたけど、それがまたこの物語の魅力ですね。喫煙、喫茶店等々。
    同時期に学生だった方達が読んだらエモさ爆発ではないでしょうか。
    加賀恭一郎シリーズの第一歩を踏みだすことができたので、のんびり読破したいと思います。
    とは言え、この物語の状況で淡々としている加賀恭一郎の強メンタル…

    心が揺さぶられるほどではなかったですが、謎解きは楽しい一冊です。

  • 加賀恭一郎シリーズを読み直ししたくて。
    加賀恭一郎といえば自分の中では『新参者』、そして阿部寛。
    TVドラマの方はろくに観てなかったけど、原作から漂う雰囲気がばっちり決まった配役だなぁと当時から感心したもの。
    それからは、『新参者』含めて何作か加賀恭一郎シリーズを読んだ記憶があるが、いずれも脳内では阿部寛が登場。
    そして今作も。

    なのだが、今作は加賀恭一郎の原点ともいうべき一作で舞台はなんと加賀の大学時代。
    流石に阿部寛に大学生はキツいわと思いながらもどうしても登場してしまう雰囲気の重なり。

    高校からの付き合いで、学部は違えど同じ大学に通う7人(加賀、沙都子、波香、藤堂、祥子、若生、華江)の友人達。
    4年生の秋から冬にかけての卒業間近の時間を描いた青春ミステリ。

    加賀は冒頭いきなり、友人グループの一人、沙都子に交際もしていないのにプロポーズをする。
    それだけを取ると、ぶっとんだ奴にしか思えないのだが、特に答えを求めていないというところや、それを境に関係がぎくしゃくすることもなく、泰然とただ己の道を突き進む、それでいてその後発生する事件に対して周囲への観察を怠らず抜け目ない分析をする姿に、トンデモ言動は凌駕され漢気すら感じてしまう。
    シリーズ一作目にしてのキャラ造形の確立ぶりには脱帽。

    さて事件の方は、祥子が寮でリストカットした状態で遺体で発見されるところに始まる。
    自殺であることが濃厚だが、他殺の線も捨てきれないという中、仲間内でも沙都子、加賀を中心に調べを進めていたとろ発生した第二の事件。
    祥子の死を偲びつつも毎年の恒例行事、高校時代の恩師宅での茶会(ただのお茶飲みではなく、茶道の雪月花之式に則ったもの)中に波香が青酸カリの服毒死に見舞われる。
    こちらも一見自殺にしか考えられない状況なのだが。。。

    ミステリのトリックとか動機とかは、まぁ国内の本格物っぽいなという印象で、可もなく不可もなく。
    普通にすらすら楽しめるもの。

    最後に沙都子が下した決断と加賀の返答が渋い。
    そんなにしっかりとシリーズを追っていなかったので全く的外れな引っ掛かりかもだけれど、このエピソードが今後の展開で効いてくる場面があるのか無いのか気になるところ。
    加賀の原点を掘り起こせたことが良かった一冊。

  • 東野圭吾作品のシリーズキャラクターとなる加賀恭一郎刑事が、まだ学生の頃に起きた事件を扱ったもので、最初に加賀刑事ありきで始まったのではないところに非常に好感を抱いた。
    恐らく東野氏は1作限りの主人公にするつもりだったのだろうが、加賀の、剣道を軸に鍛えられた律とした姿勢とまっすぐな生き方が気に入り、シリーズキャラクターに起用したように思われるふしがあり、非常に楽しく読めた(もちろん私も加賀のキャラクターにはかなり好感を抱いた)。

    さて事件は1作目同様、密室殺人&衆人環視の中での毒殺と本格ミステリの王道である不可能状況が用意されており、なかなかに、いやかなり難しい問題だ(よく考えると1作目の『放課後』も第1の殺人が密室殺人、第2の殺人が衆人環視の中の毒殺である。よほどこの手の謎が好きなのか、それともアイデアを豊富に持っていたのか)。

    最初の殺人は管理人が厳しく入場者を見張る女人禁制のアパートで起きる、一見リストカット自殺とも思える事件。死亡推定時刻にすでに被害者は部屋にいて手首を切っていたという状況だったのだが、その前の時間にたまたま隣人の女子大生が、扉が開いて明かりが点いていたとの証言を得て、密室殺人の疑いが強まる。
    これに使われたのが形状記憶合金を使ったトリック。
    いやあ、やられました。この手がありましたね。
    形状記憶合金に関しては私も高校生の頃に推理小説のトリックとして考えた事があるのだが、それをすっかり忘れてました。というよりも現在この名称すら死語になった感があり、久々に名前を聞いたような気がした。

    第2の殺人はもっと複雑で茶道の一種のゲームである「雪月花之式」という独特のルールの中で起こる事件で、本作のサブタイトルにもなっている。これがそれほど難しくは無いのだが、一口に説明できないルールで、混乱する事しばしばだった。
    しかし一見無作為に殺されたとしか思えないこの殺人が意図的に特定の人を絞り込むように操作されていたのは素晴らしい。ある意味、ロジックを突き詰めた一つの形を見せられたわけで、手品師の泡坂氏の手際の鮮やかさを髣髴とさせる。

    こういったトリック、ロジックもさることながら本書の魅力はそれだけに留まらず、やはりなんといっても加賀と沙都子を中心にした学生グループ全員が織成す青春群像劇にある。
    東野氏特有の青臭さ、ペシミズム、シニシズムが絶妙に溶け合っており、とても心に響くのである。熱くも無く、かといってクールすぎず、一人前を気取りながらも、あくまで大人ではない、大人には適わないと知りながらも斜に構えていたあの頃を思い出させてくれた。

    特に本作では彼らの青臭さ、未成熟さを際立たせるキャラクターとして、刑事である加賀の父親、そして彼らの恩師である南沢雅子の2人は特筆に価するものがある。

    あくまで前面に出ることは無く、置き手紙での参加でしかないのだが、加賀の父親が息子をサポートする場面は加賀にとって助けではありながら、しかし越えるべき壁である事を示唆している。

    また南沢雅子の含蓄溢れる台詞の数々はどうだろうか!
    大人だからこそ云える人生訓であり、生きていく上で勝ち得た知恵である。
    このキャラクターを当時28の青年である東野氏が想像したことを驚異だと考える。どこかにモデルがいるにしてもああいった台詞は人生を重ねないと書けない。東野氏が28までにどのような人生を送ったのか、気になるところだ。

    東野氏に上手さを感じるのはその独特の台詞回しだ。常に核心に触れず、一歩手前ではぐらかすような台詞はそのまま学生が云っているようだし、活きている言語だと思う。
    また祥子が自殺に及んだ真相についても、あえて婉曲的に表現するに留めている点も、読者に想像の余地を残したという点で好感を持った。

    実際、人生において真実を知ることは多くない。
    むしろ謎のままでいることの方が多いのだ。
    東野氏の作品を読むとその当たり前の事に気付かせてくれるように感じる。

    本作は彼のベスト作品の1つではないだろうが、胸に残る率直な思いに嘘は付けない。
    私にとってはベスト作品の1つであると断言しよう。

    • yhyby940さん
      こんばんは。「放課後」と言う作品が加賀恭一郎登場第1作なんですか。ありがとうございます。読んでみます。
      こんばんは。「放課後」と言う作品が加賀恭一郎登場第1作なんですか。ありがとうございます。読んでみます。
      2023/09/10
    • Tetchyさん
      yhyby940さん、コメント有難うございます!そうなんです。まだ加賀が刑事になる前の、いわばエピソード0的な作品です。ぜひ読んでみてくださ...
      yhyby940さん、コメント有難うございます!そうなんです。まだ加賀が刑事になる前の、いわばエピソード0的な作品です。ぜひ読んでみてくださいね♪
      2023/09/11
  • 東野さん作品はあまり読んでないなあと思い、
    ドラマで観た新参者加賀恭一郎の学生時代という事で手に取りました。
    初版が1989年という事でバブリーな時代という事もあり、ちょっと違和感を感じて読むのがあまり進みません。
    後半の加賀の推理から少しずつ面白くなりましたが、今は他を読もうという気がしませんでした。

  • 『希望の糸』を読みたくて、加賀恭一郎シリーズ1作目となる本作を読んだ感想として、ちょっとページの行き来が多い構成で、トリックも分かりづらくて、ん〜というのが素直な感想。

    ただ昭和61年に刊行された時代背景を考えると、当時の読者には青春ミステリとして良作であったのだろうと思える。

    意外と1ページ内の文量が多く、フォントサイズも小さめなので、文庫本よりも電子書籍で読むのが良さそうかと思われる。
    さて、加賀恭一郎シリーズ2作目『眠りの森』をいつ読むことになるのだろうか?
    そして、本来の目標である『希望の糸』まで辿り着くことは出来るのであろうか?

    ん〜。

    • yyさん
      マメムさん

      こんにちは。
      この「卒業」、たしかに「ん~~」だと私も思いました。
      でも、是非次を読み進めてほしいなぁ。

      私、加...
      マメムさん

      こんにちは。
      この「卒業」、たしかに「ん~~」だと私も思いました。
      でも、是非次を読み進めてほしいなぁ。

      私、加賀恭一郎シリーズは全部読んで、
      ドラマシリーズがDVDを借りてみたくらい大好きなんです。
      『眠りの森』以降は面白いんです。
      そして、全部読み終えての『希望の糸』は、もう格別!
      読み続けることを お勧めしたいで~す☆彡

      2023/01/22
    • マメムさん
      yyさん、コメントありがとうございます。こんばんわ♪

      『眠りの森』以降は面白いんですね♪それなら良かったです(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

      ...
      yyさん、コメントありがとうございます。こんばんわ♪

      『眠りの森』以降は面白いんですね♪それなら良かったです(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

      『希望の糸』だけでも泣けると聞きますが、やっぱり加賀恭一郎の人物背景も追ってから感動したいと思っているので、気長に読み進めていきます!!
      2023/01/22
  • 加賀恭一郎シリーズの記念すべき一作目。

    先に加賀が警察官である作品から読み始めたため、学生の加賀は新鮮だった。

    中盤までは読み応えがあったが、第二の殺人があった茶道ゲームの複雑なクダリからペースが失速してしまい、ストーリーから現実に引き戻されてしまったのが残念だった。

  • 加賀恭一郎シリーズ一作目。この頃は刑事では無く、まだ大学生。

    正直ミステリ部分はそんなにだったけど、群像劇の人間ドラマは楽しめた。終始重苦しい雰囲気が続くんだけど、それが複雑な人間関係やホワイダニットにマッチしていたように思う。

    東野圭吾作品ということもあって、流石のリーダビリティでスラスラ読めたが、茶道の心得は全く持ってないので中盤の「雪月花之式」のくだりはイマイチ理解出来ていない...俺の読解力のせいかもしれない...

  • ついに読むことができた加賀恭一郎シリーズ1作目。面白かったし、切なかった。

    • くまけんさん
      いつも『いいね』ありがとうございます。
      加賀シリーズ僕も全部読みました~
      たしかに、1作目加賀恭一郎
      切ないよね~
      いつも『いいね』ありがとうございます。
      加賀シリーズ僕も全部読みました~
      たしかに、1作目加賀恭一郎
      切ないよね~
      2024/05/25
    • のりてばさん
      こちらこそありがとうございます。
      早く全巻読みたいものです。
      こちらこそありがとうございます。
      早く全巻読みたいものです。
      2024/05/26
    • くまけんさん
      うん。加賀恭一郎シリーズじっくり楽しんで下さい。僕が小説を好きになったきっかけです。1作ごとに恭一郎や取り巻く環境の変化にワクワクし、赤い指...
      うん。加賀恭一郎シリーズじっくり楽しんで下さい。僕が小説を好きになったきっかけです。1作ごとに恭一郎や取り巻く環境の変化にワクワクし、赤い指、新参者あたりからのめり込み加速すると思います(*^^*)
      2024/05/26
  • 今年こそは絶対読もうと決めていた作品。
    加賀恭一郎シリーズ1作目。

    国立T大の女子大生が入居している「白鷺荘」の一室で遺体が発見された。彼女の親友であり、遺体の発見者である相原沙都子は仲間とともに残された彼女の日記帳から真相を探っていく。彼女は自殺か?それとも他殺か?

    今作は昭和61年刊行。
    登場人物たちの会話の言い回しに時代を感じた。

    剣道経験者なので、剣道の試合の場面は様子を思い浮かべやすかったし、胸が熱くなった。
    あまり読んだことはないけれど、スポーツものも読んでみたら結構好きかもしれない。

    自分は友達の何を知っているのか?
    本当の友達とは?
    考えさせられる内容だった。

    東野圭吾さんは初期からすごかったんだな。
    トリックも人間ドラマも面白かった。

    いろんな意味を持つ「卒業」。
    最後は少し切ない。

    ✎︎____________

    恋とは忍ぶことなり(p.7)

    打ち明けられないから秘密なのよ(p.63)

    死ぬと、過去を大掃除するみたいに、いい噂も悪い噂も広がってしまうものなのね(p.65)

    納得できないことを、納得できないまま終わらせることは俺にはできないんだ。(pp.193~194)

    嘘か本当か、一体誰が判定できるのかしら?(p.288)

  • 加賀恭一郎シリーズを読もうと思い、まずはその第1作であるという本作からスタートしてみた。

    やはり、東野圭吾初期の作品ということで、文体も内容も古く感じる。30年近く前に乱歩賞受賞作「放課後」を読んだ時は純粋に感激したのだが…。
    本作は、文章なども稚拙と感じる部分もあり、また雪月花式の茶会でのトリックは全く理解できず、めんどくさくなって読み飛ばしたりした。
    また、殺人の動機などもとても納得できるものでは無い。
    要するに、推理小説としては、私の求めている面白さはあまり感じることができなかった。
    ただ、評価の高い加賀シリーズの出発点と言えるこの作品では、青春ミステリーの雰囲気を味わえたことや、加賀恭一郎の刑事としての資質を垣間見ることができたことが良かった。
    これから加賀恭一郎がどう成長していくか楽しんでいくことにしよう。

  • デビュー作の『放課後』と同じく『卒業』も学園ミステリー作品である。著者の人気シリーズでもある加賀恭一郎シリーズの第一作であり、加賀が大学生のときの話である。雪月花を用いたトリックは図が用いられていることで、茶道に造詣が深くない読者にもわかりやすく解説されているが、それでも理解するのに少々時間がかかった。ストーリーの展開も事件だけにフォーカスされているのではなく、加賀が所属する剣道部の試合の話であったり、事件に関係のある話以外の部分についても詳細に語られていて、登場人物がどのような人物であるか窺うことができた。
    本書のタイトルにもなっている「卒業」には二つの意味があることに気づいた。この作品を読み、彼らの人生の一つの節目である大学の卒業と、様々な動機が絡み合うことで起きてしまった事件による仲間との別れという意味での卒業の二つの意味を自分なりに解釈した。

  • 加賀恭一郎シリーズ1作目
    あなたが誰かを殺したを書店で見かけ、それを読みたいがために手にした作品。

    東野圭吾の作品は話しの内容を理解し始めたら本当にサクサク読めるし、
    誰にでも紹介できる小説だなと思った。
    話の内容としては面白かったが、途中の雪月花というゲームが理解しづらく曖昧になってしまった。

    2作目も早く読みたい。

  • 加賀恭一郎シリーズ好きで何冊か読んでますが、初登場の本作をやっと読む事が出来ました。
    今から38年も前の作品なので、少々時代感が出てるのかなと、ただ全体的には現在でも違和感なく読める作品だと思いました。
    まだ刑事になる前、大学生の加賀恭一郎。
    阿部寛のメンズノンノ時代を思い浮かべながら読みました。
    とにかく雪月花の馴染みが無さすぎて、YouTubeでどんな遊びなのか確認しながらといった具合、まず札がどんなものか、折据がどんなものか、それに加えてあの順番が変わっていくだとかで、ほぼ混乱したまま突き進んだ感じです。
    作品の内容自体は初期とは言えさすが東野さん、しっかりと作り込まれているので、さくっと楽しく読むことが出来ました。まだ未読の加賀恭一郎シリーズを読み進めていきたいと思います。

  • 1986年初版。阿部寛主演のテレビシリーズ「新参者」を観て以来、加賀恭一郎シリーズを読み始めましたが、迂闊にも初登場する作品を読んでいませんでした。加賀恭一郎が、大学4年生。友人の死をキッカケに彼の推理が冴えます。謎解きは流石、著者のトリックも見事だなあと感じます。文章に初々しさを感じたのは私だけでしょうか。これをきっかけに、まだ読んでいないシリーズも読もうと思いました。

  • 加賀恭一郎シリーズ1作目。
    トリック、特に雪月花ゲームに関しては難しすぎて理解できず。
    描写も分かり辛い所もありで途中端折ったけど。
    卒業や将来に対しての不安。不安定な心に付け込まれた悲しい出来事。
    青春ミステリーという印象でした。
    少し微妙なシリーズの始まりでしたが。
    読み続けるかは次作を読んで判断したいと思います。

  • 【感想】
    大好きな加賀恭一郎シリーズの第1作。
    このシリーズをこんなにも大好きなのに、未だ読んだことがないとは如何なものか??と思い、早速読んだ。

    うん・・・
    作中の「雪月花」の作法が難しすぎて、正直ほとんど読み飛ばした。
    そうこうしていながら読み飛ばしている最中に、第二の殺人が起きて、、、
    もはやこの小説トリックに関しては諦め、動機に着目しよう!!と読んでいて思った。笑

    タイトルの「卒業」は、単純に学生からの卒業だけではなく、登場人物7人それぞれの、色んな意味での「卒業」という意味も兼ねているのかな。
    登場人物のそれぞれの結末は少し後味が悪く、また加賀恭一郎が何故教師ではなく警察になったのかは分からずじまいだった。

    最後に、、、
    この本が発売されたのは1986年なんですねー。
    そういった古臭さは全く感じず、新鮮に読めた。
    宮部みゆきの「レベル7」然り、名作は何十年たても決して色あせないんだな。


    【あらすじ】
    7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
    ある日、祥子が自室で死んだ。
    部屋は密室、自殺か、他殺か?
    心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
    しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
    茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?


    【引用】
    p39
    「もし祥子に何か悩みがあって、それを君や波香が知っていたとしたら、彼女は自殺などしなかったと思う。悩みというのは、人に知ってもらうことによって低減するという性質を持っているからな。」

    「話せるということは、心にどこか余裕がある証拠でね、真の悩みというものは人には話せないものさ。この場合は友情も無力だ。」


    p191
    冷静なんだ、と沙都子は加賀の話を聞いていた。
    「疑う?」と訊いた時、とにかく激しく否定する加賀を彼女は期待した。
    だが彼はそうしない。いつだって理詰めだ。だから迷わない。
    そして最後の補足が彼の思いやりだ。

    「果たして俺たちは、他の者のことをどれだけ知っているんだろう?」
    「本当は何も知らないんじゃないか?」

  • 加賀恭一郎シリーズ初読。

    沙都子と恭一郎のが共に同級生の死について真相に近づいていく物語。

    先生の行動が非常に印象的だった。年齢を重ねたからこその行動というか、思想というか、思いの行動が記憶に残る。

    卒業。様々な思いを含んでそれぞれ卒業していく。

  • 下宿先で1人の女子大生、牧村祥子が遺体で発見される。死因は他殺か自殺か。
    祥子の日記を手掛かりに死の真相へと迫っていく加賀たち。そんな中、第2の事件が起きる。

    ずっと読みたいと思っていた加賀恭一郎シリーズ1作目。彼がまだ警察官になる前のお話。

    本作は茶道や剣道、テニスといった部活動を通しての繋がりが多く描写されている。
    キャラやストーリーを肉付けするための1要素としか考えていなかったが、物語の根幹に深く関わっており、ストーリー構成の巧みさに驚かされる一方だった。

    1989年刊行と少し古めの作品ということもあり、最近の作品との差異を感じながら読み進めることが出来るのも魅力的。
    シリーズの今後の作品もちょっとずつ読んでいけたらと思っている。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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