卒業 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061844407

作品紹介・あらすじ

7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
加賀恭一郎シリーズ

感想・レビュー・書評

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  • 最近は感覚で考える方のフーダニットばかりで脳みそ労わってばかりだったので、トリックに悩まされたくなりハウダニットを手に取ろうと。と、言う事で久々の東野圭吾。

    物語のテンポが良く挫折を許さないリズミカルな展開はストレスフリー、忙しい中でもスムーズに読み進めることが出来た。狙い通り、「誰が」よりも「どうやって」な本作品。茶道の心得など微塵もない私だが、丁寧な説明とそれに沿ったキャラ達の行動はとてもわかりやすく、展開につまずく事はありませんでした。「へぇ!!」「ほぅ!!」「ソウナンダ!!」ばかりではありましたが。

    と言えど、やはり知識をその場で吸収した所で解明されるトリックは「だってそーゆールールだから」の前提が成り立っており、新しい知識で謎が解けると言うのはなるほどスッキリ感は薄めだ。
    密室といえば の、ー針と糸ートリックのような、未更新の脳味噌でも納得出来る様なものを求めていた。つまり、鎖にまみれた謎が解き放たれる開放感はあまり感じられなかった。
    ーーー
    読み進めるにつれ、「誰が」の部分に少し期待はしていたもののここはセオリー通り、大きな驚きは無かった。結局この作品を読んで自分が最後のページをめくるまでに求める真実は、
    『何故』 つまり動機になってしまい、「結局そうなるのか自分よ...」と本来の目的は果たせなかった模様。と言えど、手に取った目的と作品内容がミスマッチしてしまっただけで、大変面白かった。
    キャラクターはシリーズ1作目という事もありやや薄めな印象だったが、読み終えた今となっては不思議と愛着が湧いており早く続編を読みたいと思っている。そんな彼 彼女らの魅力的な存在感が加賀恭一郎初めこの作品の素敵な所の1つなのでしょう。

    我ながら他人事感満載のレビューだなと思うが、これからの続編に期待です!

    • NORAxxさん
      yyさん、こんばんは^ ^
      いつも素敵なレビューと今回のコメント、ありがとうございます...♪*゚

      今更ながら加賀恭一郎シリーズ読み始めて...
      yyさん、こんばんは^ ^
      いつも素敵なレビューと今回のコメント、ありがとうございます...♪*゚

      今更ながら加賀恭一郎シリーズ読み始めてしまいました...なるほどやはりここがワクワクの始まりであり、私はこれからそれを体験できるのですね\✡/
      yyさんのお陰で、これからこのシリーズが追えることが大変楽しみになりました///
      祈りの幕が下りる時 までの道程はひたすら長いですが
      ゆっくりまったり追わせていただきますね(。ᵕᴗᵕ。)
      いつもありがとうございます☆*°
      2021/06/16
    • yyさん
      NORAさん、ありがとうございます。

      お節介だったかなぁと、ちょっと反省してました。
      NORAさんのレビューに 大好きな加賀恭一郎が...
      NORAさん、ありがとうございます。

      お節介だったかなぁと、ちょっと反省してました。
      NORAさんのレビューに 大好きな加賀恭一郎が出てきて、ついテンションがあがってしまったのです。
      ふんわり スルー してくださって大丈夫です。

      それで、さらにお節介というのも矛盾してますが (^^)「新参者」のドラマも面白かったので紹介させてください。
      ご存知かもしれないけど、阿部寛さんと溝端淳平さんのコンビで 10話まであります。
      Paraviで、2週間無料体験で観られると思います。

      あ、これも適当にスルーしてくださって結構です。
      100%、私の自己満足。
      お付き合いいただいて、ありがとうございます☆彡
      2021/06/17
    • NORAxxさん
      yyさん、こんにちは^ ^

      いえ、とんでもございません!!むしろyyさんのメモリーを刺激する事が出来たようで嬉しく思います(*´ω`*)
      ...
      yyさん、こんにちは^ ^

      いえ、とんでもございません!!むしろyyさんのメモリーを刺激する事が出来たようで嬉しく思います(*´ω`*)

      紹介嬉しいです。
      とりあえずは原作を堪能してからドラマの方も楽しんで行けたらと思います。
      ふふ、本当に加賀恭一郎シリーズがお好きなのですね...♪*゚
      愛が伝わりました。
      そこまで刺激してくれる作品に偶然ながらも触れられた事、幸せに思います。

      とんでもない、こちらこそ素敵な情報提供をありがとうございます\★/
      2021/06/17
  • 加賀シリーズの第1作目

    今まで手にしてきた加賀シリーズは
    どれも面白かったので
    他のものも読んでみようと
    まずは1作品目から手に取りました


    なんと30年以上前の作品
    それを感じさせないところがすごいですね。


    加賀恭一郎はまだ学生!!
    それもとても新鮮でした
    あと今まで読んだものは
    加賀目線の話はなかった(たぶん)ので
    加賀の人となりがわかって面白かったです


    トリックについては正直よくわからず笑
    雪月花のあたりは図があっても理解しきれず
    読解力がなくて申し訳ない。


    でも犯人や、動機の方面で
    楽しませてもらいました。

    東野圭吾さんは
    あれがああ繋がるのか!というのが
    いくつもあるのがすごいところ
    何度も驚かせてもらいました


    次作も今から楽しみです(^^)

  • 加賀恭一郎シリーズを読み直ししたくて。
    加賀恭一郎といえば自分の中では『新参者』、そして阿部寛。
    TVドラマの方はろくに観てなかったけど、原作から漂う雰囲気がばっちり決まった配役だなぁと当時から感心したもの。
    それからは、『新参者』含めて何作か加賀恭一郎シリーズを読んだ記憶があるが、いずれも脳内では阿部寛が登場。
    そして今作も。

    なのだが、今作は加賀恭一郎の原点ともいうべき一作で舞台はなんと加賀の大学時代。
    流石に阿部寛に大学生はキツいわと思いながらもどうしても登場してしまう雰囲気の重なり。

    高校からの付き合いで、学部は違えど同じ大学に通う7人(加賀、沙都子、波香、藤堂、祥子、若生、華江)の友人達。
    4年生の秋から冬にかけての卒業間近の時間を描いた青春ミステリ。

    加賀は冒頭いきなり、友人グループの一人、沙都子に交際もしていないのにプロポーズをする。
    それだけを取ると、ぶっとんだ奴にしか思えないのだが、特に答えを求めていないというところや、それを境に関係がぎくしゃくすることもなく、泰然とただ己の道を突き進む、それでいてその後発生する事件に対して周囲への観察を怠らず抜け目ない分析をする姿に、トンデモ言動は凌駕され漢気すら感じてしまう。
    シリーズ一作目にしてのキャラ造形の確立ぶりには脱帽。

    さて事件の方は、祥子が寮でリストカットした状態で遺体で発見されるところに始まる。
    自殺であることが濃厚だが、他殺の線も捨てきれないという中、仲間内でも沙都子、加賀を中心に調べを進めていたとろ発生した第二の事件。
    祥子の死を偲びつつも毎年の恒例行事、高校時代の恩師宅での茶会(ただのお茶飲みではなく、茶道の雪月花之式に則ったもの)中に波香が青酸カリの服毒死に見舞われる。
    こちらも一見自殺にしか考えられない状況なのだが。。。

    ミステリのトリックとか動機とかは、まぁ国内の本格物っぽいなという印象で、可もなく不可もなく。
    普通にすらすら楽しめるもの。

    最後に沙都子が下した決断と加賀の返答が渋い。
    そんなにしっかりとシリーズを追っていなかったので全く的外れな引っ掛かりかもだけれど、このエピソードが今後の展開で効いてくる場面があるのか無いのか気になるところ。
    加賀の原点を掘り起こせたことが良かった一冊。

  • 加賀恭一郎シリーズの記念すべき一作目。

    先に加賀が警察官である作品から読み始めたため、学生の加賀は新鮮だった。

    中盤までは読み応えがあったが、第二の殺人があった茶道ゲームの複雑なクダリからペースが失速してしまい、ストーリーから現実に引き戻されてしまったのが残念だった。

  • 『希望の糸』を読みたくて、加賀恭一郎シリーズ1作目となる本作を読んだ感想として、ちょっとページの行き来が多い構成で、トリックも分かりづらくて、ん〜というのが素直な感想。

    ただ昭和61年に刊行された時代背景を考えると、当時の読者には青春ミステリとして良作であったのだろうと思える。

    意外と1ページ内の文量が多く、フォントサイズも小さめなので、文庫本よりも電子書籍で読むのが良さそうかと思われる。
    さて、加賀恭一郎シリーズ2作目『眠りの森』をいつ読むことになるのだろうか?
    そして、本来の目標である『希望の糸』まで辿り着くことは出来るのであろうか?

    ん〜。

    • yyさん
      マメムさん

      こんにちは。
      この「卒業」、たしかに「ん~~」だと私も思いました。
      でも、是非次を読み進めてほしいなぁ。

      私、加...
      マメムさん

      こんにちは。
      この「卒業」、たしかに「ん~~」だと私も思いました。
      でも、是非次を読み進めてほしいなぁ。

      私、加賀恭一郎シリーズは全部読んで、
      ドラマシリーズがDVDを借りてみたくらい大好きなんです。
      『眠りの森』以降は面白いんです。
      そして、全部読み終えての『希望の糸』は、もう格別!
      読み続けることを お勧めしたいで~す☆彡

      2023/01/22
    • マメムさん
      yyさん、コメントありがとうございます。こんばんわ♪

      『眠りの森』以降は面白いんですね♪それなら良かったです(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

      ...
      yyさん、コメントありがとうございます。こんばんわ♪

      『眠りの森』以降は面白いんですね♪それなら良かったです(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

      『希望の糸』だけでも泣けると聞きますが、やっぱり加賀恭一郎の人物背景も追ってから感動したいと思っているので、気長に読み進めていきます!!
      2023/01/22
  • 加賀恭一郎シリーズ一作目。この頃は刑事では無く、まだ大学生。

    正直ミステリ部分はそんなにだったけど、群像劇の人間ドラマは楽しめた。終始重苦しい雰囲気が続くんだけど、それが複雑な人間関係やホワイダニットにマッチしていたように思う。

    東野圭吾作品ということもあって、流石のリーダビリティでスラスラ読めたが、茶道の心得は全く持ってないので中盤の「雪月花之式」のくだりはイマイチ理解出来ていない...俺の読解力のせいかもしれない...

  • 東野圭吾作品のシリーズキャラクターとなる加賀恭一郎刑事が、まだ学生の頃に起きた事件を扱ったもので、最初に加賀刑事ありきで始まったのではないところに非常に好感を抱いた。
    恐らく東野氏は1作限りの主人公にするつもりだったのだろうが、加賀の、剣道を軸に鍛えられた律とした姿勢とまっすぐな生き方が気に入り、シリーズキャラクターに起用したように思われるふしがあり、非常に楽しく読めた(もちろん私も加賀のキャラクターにはかなり好感を抱いた)。

    さて事件は1作目同様、密室殺人&衆人環視の中での毒殺と本格ミステリの王道である不可能状況が用意されており、なかなかに、いやかなり難しい問題だ(よく考えると1作目の『放課後』も第1の殺人が密室殺人、第2の殺人が衆人環視の中の毒殺である。よほどこの手の謎が好きなのか、それともアイデアを豊富に持っていたのか)。

    最初の殺人は管理人が厳しく入場者を見張る女人禁制のアパートで起きる、一見リストカット自殺とも思える事件。死亡推定時刻にすでに被害者は部屋にいて手首を切っていたという状況だったのだが、その前の時間にたまたま隣人の女子大生が、扉が開いて明かりが点いていたとの証言を得て、密室殺人の疑いが強まる。
    これに使われたのが形状記憶合金を使ったトリック。
    いやあ、やられました。この手がありましたね。
    形状記憶合金に関しては私も高校生の頃に推理小説のトリックとして考えた事があるのだが、それをすっかり忘れてました。というよりも現在この名称すら死語になった感があり、久々に名前を聞いたような気がした。

    第2の殺人はもっと複雑で茶道の一種のゲームである「雪月花之式」という独特のルールの中で起こる事件で、本作のサブタイトルにもなっている。これがそれほど難しくは無いのだが、一口に説明できないルールで、混乱する事しばしばだった。
    しかし一見無作為に殺されたとしか思えないこの殺人が意図的に特定の人を絞り込むように操作されていたのは素晴らしい。ある意味、ロジックを突き詰めた一つの形を見せられたわけで、手品師の泡坂氏の手際の鮮やかさを髣髴とさせる。

    こういったトリック、ロジックもさることながら本書の魅力はそれだけに留まらず、やはりなんといっても加賀と沙都子を中心にした学生グループ全員が織成す青春群像劇にある。
    東野氏特有の青臭さ、ペシミズム、シニシズムが絶妙に溶け合っており、とても心に響くのである。熱くも無く、かといってクールすぎず、一人前を気取りながらも、あくまで大人ではない、大人には適わないと知りながらも斜に構えていたあの頃を思い出させてくれた。

    特に本作では彼らの青臭さ、未成熟さを際立たせるキャラクターとして、刑事である加賀の父親、そして彼らの恩師である南沢雅子の2人は特筆に価するものがある。

    あくまで前面に出ることは無く、置き手紙での参加でしかないのだが、加賀の父親が息子をサポートする場面は加賀にとって助けではありながら、しかし越えるべき壁である事を示唆している。

    また南沢雅子の含蓄溢れる台詞の数々はどうだろうか!
    大人だからこそ云える人生訓であり、生きていく上で勝ち得た知恵である。
    このキャラクターを当時28の青年である東野氏が想像したことを驚異だと考える。どこかにモデルがいるにしてもああいった台詞は人生を重ねないと書けない。東野氏が28までにどのような人生を送ったのか、気になるところだ。

    東野氏に上手さを感じるのはその独特の台詞回しだ。常に核心に触れず、一歩手前ではぐらかすような台詞はそのまま学生が云っているようだし、活きている言語だと思う。
    また祥子が自殺に及んだ真相についても、あえて婉曲的に表現するに留めている点も、読者に想像の余地を残したという点で好感を持った。

    実際、人生において真実を知ることは多くない。
    むしろ謎のままでいることの方が多いのだ。
    東野氏の作品を読むとその当たり前の事に気付かせてくれるように感じる。

    本作は彼のベスト作品の1つではないだろうが、胸に残る率直な思いに嘘は付けない。
    私にとってはベスト作品の1つであると断言しよう。

    • yhyby940さん
      こんばんは。「放課後」と言う作品が加賀恭一郎登場第1作なんですか。ありがとうございます。読んでみます。
      こんばんは。「放課後」と言う作品が加賀恭一郎登場第1作なんですか。ありがとうございます。読んでみます。
      2023/09/10
    • Tetchyさん
      yhyby940さん、コメント有難うございます!そうなんです。まだ加賀が刑事になる前の、いわばエピソード0的な作品です。ぜひ読んでみてくださ...
      yhyby940さん、コメント有難うございます!そうなんです。まだ加賀が刑事になる前の、いわばエピソード0的な作品です。ぜひ読んでみてくださいね♪
      2023/09/11
  • 1986年初版。阿部寛主演のテレビシリーズ「新参者」を観て以来、加賀恭一郎シリーズを読み始めましたが、迂闊にも初登場する作品を読んでいませんでした。加賀恭一郎が、大学4年生。友人の死をキッカケに彼の推理が冴えます。謎解きは流石、著者のトリックも見事だなあと感じます。文章に初々しさを感じたのは私だけでしょうか。これをきっかけに、まだ読んでいないシリーズも読もうと思いました。

  • 加賀恭一郎シリーズ1作目。
    トリック、特に雪月花ゲームに関しては難しすぎて理解できず。
    描写も分かり辛い所もありで途中端折ったけど。
    卒業や将来に対しての不安。不安定な心に付け込まれた悲しい出来事。
    青春ミステリーという印象でした。
    少し微妙なシリーズの始まりでしたが。
    読み続けるかは次作を読んで判断したいと思います。

  • 【感想】
    大好きな加賀恭一郎シリーズの第1作。
    このシリーズをこんなにも大好きなのに、未だ読んだことがないとは如何なものか??と思い、早速読んだ。

    うん・・・
    作中の「雪月花」の作法が難しすぎて、正直ほとんど読み飛ばした。
    そうこうしていながら読み飛ばしている最中に、第二の殺人が起きて、、、
    もはやこの小説トリックに関しては諦め、動機に着目しよう!!と読んでいて思った。笑

    タイトルの「卒業」は、単純に学生からの卒業だけではなく、登場人物7人それぞれの、色んな意味での「卒業」という意味も兼ねているのかな。
    登場人物のそれぞれの結末は少し後味が悪く、また加賀恭一郎が何故教師ではなく警察になったのかは分からずじまいだった。

    最後に、、、
    この本が発売されたのは1986年なんですねー。
    そういった古臭さは全く感じず、新鮮に読めた。
    宮部みゆきの「レベル7」然り、名作は何十年たても決して色あせないんだな。


    【あらすじ】
    7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
    ある日、祥子が自室で死んだ。
    部屋は密室、自殺か、他殺か?
    心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
    しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
    茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?


    【引用】
    p39
    「もし祥子に何か悩みがあって、それを君や波香が知っていたとしたら、彼女は自殺などしなかったと思う。悩みというのは、人に知ってもらうことによって低減するという性質を持っているからな。」

    「話せるということは、心にどこか余裕がある証拠でね、真の悩みというものは人には話せないものさ。この場合は友情も無力だ。」


    p191
    冷静なんだ、と沙都子は加賀の話を聞いていた。
    「疑う?」と訊いた時、とにかく激しく否定する加賀を彼女は期待した。
    だが彼はそうしない。いつだって理詰めだ。だから迷わない。
    そして最後の補足が彼の思いやりだ。

    「果たして俺たちは、他の者のことをどれだけ知っているんだろう?」
    「本当は何も知らないんじゃないか?」

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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