この悲しみの世に (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061845886

感想・レビュー・書評

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  • 20年位前に初めて読んでから、ずっと同じ熱をもって
    心の中にあった作品。
    事あるごとに、色々な方にこの本を薦めてきたように思う。

    しかし今回読み直してみて、20年前のような衝撃はなかった。
    自分の中に蓄積されてきた経験と、小説の中の経験がある
    程度イーブンになってしまった故だろうと思う。
    だからこそ、主人公の女性に対して今となってはとても苛立つ。
    分かるからこそ。

    「恋愛」という不可思議でクレイジーで不条理な罪と喜びの
    極みにあって問う、「愛」の真理という深遠なテーマには、
    改めて深く引き込まれ、心に大きな手ごたえを受けた。

    「この悲しみの世」
    という言葉が、当時の私には重く切なく響いた。
    今の私には逆に慰めと響く。

    人間の哀しさ、愚かさに正面から切り込んでいる深い一作。

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著者プロフィール

1931年生まれ。聖心女子大学文学部英文科卒業。大学在学中から同人誌で執筆を始め、54年、『遠来の客たち』が芥川賞候補となり文壇デビューを果たす。79年、ローマ教皇庁より「ヴァチカン有功十字勲章」を授章。海外邦人宣教者活動援助後援会代表、日本財団会長も務めた。代表作に『誰のために愛するか』『老いの才覚』などがある

「2023年 『納得して死ぬという人間の務めについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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