学生街の殺人 (講談社文庫 ひ 17-3)

著者 :
  • 講談社
3.19
  • (79)
  • (301)
  • (772)
  • (139)
  • (33)
本棚登録 : 4381
感想 : 287
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847217

作品紹介・あらすじ

学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して……。第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本来の東野圭吾そのものって感じの1冊。
    文庫で読んだけど、とにかく活字が小さくて、厚みもそこそこある(475ページ)から、長期戦を覚悟したんだが、なんのなんの。そこはもう東野さんだから。ずんずんのめり込んで、気が付けば読み終わってた。
    学生メインの話の展開の中に、核心として企業の裏側が絡んでいて、東野さんらしいと思いました。

  • 著者の初期のミステリー。1987年の作品。

    うらぶれた学生街。大学卒業後も就職せずバイト生活を続ける津村光平の周りで、アルバイト同僚の松木、恋人の広美、身障児施設の堀江園長、と立て続けに3人が刺殺されてしまう。光平は、その全ての殺人現場の第一発見者となり、事件に巻き込まれていく。

    松木は光平にプライベイトを一切語らなかった。広美も、週1日の行動を光平に隠していて、謎の一面を持っていた。広美は何故殺されなければならなかったのか、自分なりに納得したい光平は、弘美の妹悦子と共に事件の謎解きに挑む。

    同僚や恋人の刺殺、産業スパイ事件、そして親友間の愛憎劇。重たい出来事を、著者は感情を排して淡々と描写していく。お陰で、(ドキドキしたり、悲しんだりといった)主人公への感情移入なしで読み終えた。純粋に謎解きを楽しみたい人向けの作品だった。とは言え、広美が殺されたマンション・エレベーター密室の謎は今一だったな。広美の過去に纏わる謎解きの方は面白かったけど。

    AIの最先端技術がエキスパートシステムというところに時代を感じた。

    主人公が雇い主、年配者、お年寄り等に対しタメ口なのが気になった。

  • '22年4月6日、読了。

    グッと、きました。今まで読んだ東野圭吾さんの小説で、最も好きかも。

    あえて、多くを書かずにおきます。未読の方、是非読んでみてください。

  • 1990年に発行されたとは思えないほど、AIなどのコンピュータ用語が出てきていたために古くささを感じず、スラスラと読むことができた。
    本の内容としては序盤から登場している伏線を余すことなく回収していてとても面白かった。
    学生街という閉鎖的な雰囲気のなかでおきる連続殺人。そして誰もが過去にとらわれながら生きている中で、それにどのように落とし前をつけ生きていくのかというところに焦点が当たり、その行動によって起きてしまう悲劇がとてもなんとも悲しく、切ないものだと思った。

    最後に、光平の父が光平に向けてかけた言葉を書いておきたい。この言葉はこの物語の神髄だと思う。
    「間違ったかどうかも、本当は自分で決めることだと思うがな。間違いだと思えば引き返せばよい。小さなあやまちをいくつも繰り返しながら、一生というのは終わっていくものではないかな」

  • 東野圭吾30作目。
    以前から気になっていた本書を手に取る。

    トリックや動機ももちろん良いが、それ以上に
    主人公光平の生き方がいいなぁと思える作品。
    別に褒められた生き方ではないかもしれないが、
    あんな風にじっくりと自分の道を見つけるのも
    良いと思う。

    うどん屋の父の言葉や広美のボランティアの笑顔は、
    この作品の数少ない明るいシーンで、かつ光平の人生の方向づけに強い影響を与えたシーンであり、印象的である。

    陽の「卒業」、陰の「学生街の殺人」って感じやな
    表紙のイラストの物々しさがたまらない

  • 東野圭吾さんらしい作品と言えるのではないでしょうか?ラストは映画のようで、ちょっと胸に滲みました。

  • 東野圭吾読み直し4冊目(102分の4)。
    こんな内容だったなと、ほんの少し思い出しながら読み進めることができた。
    「卒業」で出てきたピエロのお店が出てきた時は、関連付けの方法もいろいろあるんだなと感じた。
    AI(人工知能)の話が出てきた時は驚いた。自分が大学生の時に読んだ本だが、そんな時代からAIの活用が検討されてるとは思いもしなかった。

  • 470pと、少し長かった。
    過去作である、卒業、を思わせる描写が出てきて驚いた。終盤に出てきたフォロンの絵が印象的だった。是非、読み終わったら検索して欲しい。

    • らぶちさん
      私もフォロンの絵が印象に残り、読了後に調べました!その時に気づいたのですが、本の表紙は作中の「昨日」と呼ばれている作品を素に描かれているよう...
      私もフォロンの絵が印象に残り、読了後に調べました!その時に気づいたのですが、本の表紙は作中の「昨日」と呼ばれている作品を素に描かれているように感じるのですが、どうでしょうか!
      私はこれに気づいた時に「おおっ!」と興奮したので誰かに共有したくて!
      2023/07/19
    • アラエッサさん
      わかります!笑
      作中に絵自体は出てこないから、つい検索してみて、ほほーっこれのことか!と嬉しくなりますよねw
      たまたま東野先生が実際の展示を...
      わかります!笑
      作中に絵自体は出てこないから、つい検索してみて、ほほーっこれのことか!と嬉しくなりますよねw
      たまたま東野先生が実際の展示を見かけて採用したようですが、あまりネット上で情報が出回ってないのでなかなかマニアックですよね。
      2023/07/22
  • 東野作品4作目の本作は2作目の『卒業』の流れを汲む青春ミステリで、分量も今までの作品が350ページ前後であったのに対し、470ページ弱と増した事からも、当時この作品にある思いを秘めていた事が予想される。

    とにかく東野氏の若さの主張が横溢しているのだ。

    舞台は大学の正門の場所が変わったことで寂れゆく一方の旧学生街。そこの一角にある喫茶店兼雀荘兼ビリヤード場の店でバイトする主人公光平。
    大学を卒業するも、素直に社会の組織に組み込まれる事に嫌気が差し、自分が何者であるかを模索しているモラトリアムな男。そして同じバイト仲間の松木に至っては一旦勤めていた会社を辞め、あるチャンスを待ちながら同じバイト先で燻っているといった男である。

    そして光平の彼女広美はいきなり堕胎を告白するシーンから登場し、しかも光平との不思議な出会いから、光平には内緒に通っている障害児童の幼稚園へのボランティアなど数々の謎めいたエピソードを孕み、そして唐突に殺される。

    そして光平と一緒に広美の死の真相を探る事になる妹の悦子に加え、他にも登場するのは派手な男性経験を重ねてすぐに寝る同じバイト仲間の沙緒里に、ビリヤードを打ちに来るサラリーマンの『ハスラー紳士』こと井原、同じくビリヤード仲間の大田助教授と本屋の時田、広美の友人かつスナックの共同経営者日野純子、かつて広美の恋人だった香月刑事、そして後半、重要な役回りを演じる斎藤医師と、老若男女問わず、それぞれが非常に青臭い信条や傷を持って生き、主張する事を止めない。

    これだけみんなが青臭い純粋さを持っていると、なんだか二流のテレビドラマを観ているようで、今回ばかりはちょっと恥ずかしさを抱いてしまった。

    この作品には『卒業』同様のペシミズムが流れているのは確かだが、『卒業』が私の中で高評価なのは主人公加賀の一本筋の通った性格と、サブキャラクターである恩師の南沢雅子の含蓄ある台詞に痺れたからだ。
    それに対し、本作の主人公光平の確たる目標もなく、ただ現状に不満を抱きながらも行動を起こさない弱さ・青さ、そして周囲の人間誰もが自ら恣(ほしいまま)に振舞う未成熟なところが物語の要素として物足りないのだ。

    やはり物語を引き締めるには他に同調しないキャラクターが必要なのだ。被害者である光平の恋人広美にその片鱗が窺えるものの、その自己犠牲的な性格が他者に比べて両極端すぎて、バランスを欠いているように感じた。

    しかしこの若い頃経験するまったりとした雰囲気、常に何か満ち足りない物を感じていた想い、これこそ東野氏が本作で書きたかったことなのだろう。いわゆる大人の常識に逆らうように世間の波から外れた生き方、そういう青い時期を本作ではテーマにしたように思う。

    それゆえに本作での最後の真相のシーンは、通常では考えられない酷い仕打ちを犯人に犯している。
    結婚というのは、離婚・再婚が多い昨今でさえ、やはり人生の一大イベントである事に異論はないだろう。
    その席で花嫁に自らの憎しみをぶつけるのは、やはり社会人である私の眼から見て、かなりエゴイスティックな言動だと感じ、反発を覚える。
    確かに犯人のやったことは恋人を殺された身にしてみれば許されるものではないだろうが、他人の幸せを奪う権利は誰にもないはずだ。それを敢えて自分の憎しみのままに行動するこの主人公の常識の無さに共感しかねるものがあった。

    そして光平の父親の言動。定職に就かずフラフラしている息子に対し、叱責することなく、むしろその生き方を認めて去っていくその姿は、大人のそれではない。
    やはり親というのは子供に対して壁であるべきで、子供の人生の選択に対し、その覚悟を確かめるべきなのだ。
    私ならば、こういう物分りのいい親は自分の成長をストップする悪しき存在でしかないので願い下げである。

    この470ページ弱の物語の中には、旧学生街の退廃感、そこを訪れる人々それぞれの思惑、彼ら彼女らが微妙に交錯することで始まり、あるいは終わる群像劇を背景に、エレベーターにおける密室トリック、アリバイ工作、そして1987年当時、最新の科学技術であった人工知能AIの話などなどが盛り込まれており、正直ページを繰る手を止まらせなかった。
    しかし、読了した今、やはり登場人物の青さしか残らなかった。
    それが東野氏が書きたかったテーマである事は認めよう。ただ、それが私には非常に幼く映ったのだ。

  • 面白かった。
    同じ作者の「卒業」と同じ舞台で、少し興奮した。
    物騒で密室事件がよく起こる町で住みたくないと思った。商店街の人たちが言うように、早く脱出した方が良い町だろう。

全287件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

東野圭吾の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×