学生街の殺人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 277
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847217

作品紹介・あらすじ

学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して……。第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実!

感想・レビュー・書評

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  • 本来の東野圭吾そのものって感じの1冊。
    文庫で読んだけど、とにかく活字が小さくて、厚みもそこそこある(475ページ)から、長期戦を覚悟したんだが、なんのなんの。そこはもう東野さんだから。ずんずんのめり込んで、気が付けば読み終わってた。
    学生メインの話の展開の中に、核心として企業の裏側が絡んでいて、東野さんらしいと思いました。

  • 著者の初期のミステリー。1987年の作品。

    うらぶれた学生街。大学卒業後も就職せずバイト生活を続ける津村光平の周りで、アルバイト同僚の松木、恋人の広美、身障児施設の堀江園長、と立て続けに3人が刺殺されてしまう。光平は、その全ての殺人現場の第一発見者となり、事件に巻き込まれていく。

    松木は光平にプライベイトを一切語らなかった。広美も、週1日の行動を光平に隠していて、謎の一面を持っていた。広美は何故殺されなければならなかったのか、自分なりに納得したい光平は、弘美の妹悦子と共に事件の謎解きに挑む。

    同僚や恋人の刺殺、産業スパイ事件、そして親友間の愛憎劇。重たい出来事を、著者は感情を排して淡々と描写していく。お陰で、(ドキドキしたり、悲しんだりといった)主人公への感情移入なしで読み終えた。純粋に謎解きを楽しみたい人向けの作品だった。とは言え、広美が殺されたマンション・エレベーター密室の謎は今一だったな。広美の過去に纏わる謎解きの方は面白かったけど。

    AIの最先端技術がエキスパートシステムというところに時代を感じた。

    主人公が雇い主、年配者、お年寄り等に対しタメ口なのが気になった。

  • '22年4月6日、読了。

    グッと、きました。今まで読んだ東野圭吾さんの小説で、最も好きかも。

    あえて、多くを書かずにおきます。未読の方、是非読んでみてください。

  • 1990年に発行されたとは思えないほど、AIなどのコンピュータ用語が出てきていたために古くささを感じず、スラスラと読むことができた。
    本の内容としては序盤から登場している伏線を余すことなく回収していてとても面白かった。
    学生街という閉鎖的な雰囲気のなかでおきる連続殺人。そして誰もが過去にとらわれながら生きている中で、それにどのように落とし前をつけ生きていくのかというところに焦点が当たり、その行動によって起きてしまう悲劇がとてもなんとも悲しく、切ないものだと思った。

    最後に、光平の父が光平に向けてかけた言葉を書いておきたい。この言葉はこの物語の神髄だと思う。
    「間違ったかどうかも、本当は自分で決めることだと思うがな。間違いだと思えば引き返せばよい。小さなあやまちをいくつも繰り返しながら、一生というのは終わっていくものではないかな」

  • 東野圭吾30作目。
    以前から気になっていた本書を手に取る。

    トリックや動機ももちろん良いが、それ以上に
    主人公光平の生き方がいいなぁと思える作品。
    別に褒められた生き方ではないかもしれないが、
    あんな風にじっくりと自分の道を見つけるのも
    良いと思う。

    うどん屋の父の言葉や広美のボランティアの笑顔は、
    この作品の数少ない明るいシーンで、かつ光平の人生の方向づけに強い影響を与えたシーンであり、印象的である。

    陽の「卒業」、陰の「学生街の殺人」って感じやな
    表紙のイラストの物々しさがたまらない

  • 東野圭吾さんらしい作品と言えるのではないでしょうか?ラストは映画のようで、ちょっと胸に滲みました。

  • 面白かった。
    同じ作者の「卒業」と同じ舞台で、少し興奮した。
    物騒で密室事件がよく起こる町で住みたくないと思った。商店街の人たちが言うように、早く脱出した方が良い町だろう。

  • けっこう初期の作品なのかな。文章表現がいまより拙い感じがする。

  • 連続殺人事件が起こり、その犯人を探っていく話!トリックなどミステリーとしてはなかなか良かったと思うが、村上春樹の作風と重なる感じがあって、そこが気に入らなかった(/_;)ちなみに僕は村上春樹の作品が好きではないので…

  • この作品も面白くてあっという間に読んでしまった。
    話の展開もすばらしくて、次を知りたくて、どんどん読み進めた。
    読み終えた後の読後感も、心地よくて、読んで良かったと感じることができた。
    ますます東野圭吾にはまっている自分を感じてる。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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