愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847392

感想・レビュー・書評

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  • 出版されたのは1987年。
    昭和がそろそろ終わり、まもなく平成の世が開ける時代である。

    名著と呼ばれる本はいつ読んでも古臭さを感じさせないと言うが、本書もその例にもれない。
    特に政治小説であるのにもかかわらず、本書から感じる匂いはそのまま現在にも感じることができるのはなぜだろうか?

    本書は「システム」との対峙をテーマとしている。
    システムとはその名の通り組織化された「もの」であり、根本をたどれば社会の構造に行き着くだろう。
    今は資本主義というシステムが優勢な世の中であるが、一方で矛盾も存在する。世界の富の80%が全人口の数%が握っているそうだ。
    毎日贅沢な暮らしをしている一方で、餓死して死んでいく人もいる。
    弱者は死んで、強者だけが生き残るこの世界 -システム- の妥当性を今、小説という形で検証する。

  • 狩猟民族から農耕民族になって、人間の生活は変わった。
    狩猟社会と政治を絡めた、壮大な作品。
    30年近くも前に書かれたものと思えないくらい、社会の変貌が見越されている。

    難しいのにスイスイ読んでしまった。下巻も楽しみ。

  • 1

  • 間違いなくこの本は僕の考え方を大きく変えた一冊。
    若い頃にこの本に出会ったことは本当によかった。
    この本に出会って、その後、インターネットに出会ったことで自分の人生が決まった気がする。
    ただ、今読むと青い部分があるのも否めない。けど、もしかするとこんな時代だからこそ必要とされている言葉がたくさんちりばめられているかも知れない。

  • 全体的にけっこうかったるいんだけど、中盤から後半の対米戦が本格的になる頃から急に引き込まれた/ そもそもこれはどういう気持ちで読めばいいのか/ 主人公の目指す場所と、グループの目指す場所は統一できないんじゃ無かろうか/ 終り方も非常にもやもやする/ めんどくさくなって放り投げたんじゃないかと思う/ ゼロの死が落ちになるなら、前半のフリが無駄すぎる/ ヱヴァンゲリオンの鈴原トウジと相田ケンスケはこれから名前パクってる/ 20110311の震災-原発-デフォルト騒動-雇用問題-景気問題-政府信用問題、と今の日本にそっくり

  • <u><b>小説にどっぷり浸かるってこういうことだ。</b></u>

    <span style="color:#cc9966;">激動する1990年、世界経済は恐慌へ突入。日本は未曽有の危機を迎えた。サバイバリスト鈴原冬二をカリスマとする政治結社「狩猟社」のもとには、日本を代表する学者、官僚、そしてテロリストが結集。人々は彼らをファシストと呼んだが…。これはかつてない規模で描かれた衝撃の政治経済小説である。 </span>

    登場人物の誰一人としてが魅力的でカッコイイなんて思わないけど、ガツンとくる小説。
    ファシズム思想が、自分の中に共感できるものもないのに、最後まで心の奥にズザザザザとしみこんでくる気がする。
    小説内部にある思想とは別に、小説の物語自体を楽しめるようになったのは、作者の圧倒的な筆量、それとも私の読書力(?)みたいなものがあがったのだろうか。まぁ、前者だろうな。村上龍ってすげえ。
    とはいえ、片一方で教育書を読みながら、ファシズム小説を浮き浮きしながら読むのは、なんだか背徳的な気がしないでもない。

  • 15年程前に読み上巻で挫折したのを再読。
    80年代後半から90年代にかけての世界が舞台。
    難解な政治経済問題に関する記述があり戸惑う所もあるが、危険な文章に取り憑かれた様に頁を進めてしまう。

  • 私にとって最も特別な本。この本なくして、その後の私の読書人生はなかった。この本には人を吸い寄せる魔力がある。タイトルからして惹きつけられる。愛と幻想のファシズム。愛も幻想もファシズムも、分かるようで分からない。それが3つ合わさるとき、一体何が起きるのか。革命の先に、どんな未来が待っているのか。トウジ、ゼロ、フルーツの圧倒的な個性の魅力、毒々しい名言の数々。私の20代の読書におけるベスト。

  • 10年以上ぶりに再読。

    長編なのにずっと面白い。
    80年代後半の日本の政治や経済のことが書かれているけれど、今の日本とあまり変わらないと感じた。
    昔からこういった危機感はあったんだなぁ。

    フルーツという女性がとってもエロい(笑)。

    下巻が楽しみ。

  • 相田剣介、ゼロ、鈴原冬二、狩猟社、フルーツ、社交ビルセルブレティと亡命者収容施設、ザ・マン社長時田史郎、千屋裕之、洞木紘一、山岸良治、クロマニヨン、ザ・セブン、シャノン・フーズ杉ノ原工場。お前が、ゲッベルスになるんだよ、ファシスト。政治経済の部分はつまらない。段々とあきてくる。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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