月夜の記憶 (講談社文庫)

著者 : 吉村昭

• 講談社

感想・レビュー・書評

[nebaumekaさんの感想 · 2012年10月22日]

吉村昭を知った随筆集。1990年に出版されているが、執筆されたのはそれよりもだいぶ前。全くもって個人的なことだが、1990年は乳飲み子を抱えており本屋に赴くこともできなかった頃。この本は当時会社員だった旦那が買ってきたもので、読書できる時間はほとんどなく隙間にエッセイをちらほら読む程度だった。しかしながら、いやそうだからこそか、自分の中でベスト５に入る名随筆集となってしまった。中でも、医療関連の随筆の中の表現「詩人」は今も心に深く打ち込まれている。

著者プロフィール

一九二七（昭和二）年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六（平成一八）年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」