小説 日本興業銀行(3) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061847781

感想・レビュー・書評

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  • 2016/1/1読了。

  •  高杉良の企業小説。『小説・日本興業銀行 第三部』は昭和30年前後。造船疑獄、河上総裁の死、海運再編成と展開。

     キーマンの一人は一万田尚登氏か。日銀総裁・大蔵大臣で新聞紙上によく登場していた。正直言って、現職の大蔵大臣よりも存在感があった。(時代が違うから比較はできないが、政策決定で話題になった方と、漢字の読み間違いで著名とは違うような気がする)。

     一万田氏をはじめ、歴代の大蔵大臣が同省局長経験者、その先には池田勇人氏のような、いわゆる大蔵省閥(当時)のような存在が、わがくにの金融のみならず政界を動かす時代というものを、実感する時代のあったことを知る。

     海運再編成。1960年そこそこの運輸行政の主軸なのであろう。会社合併。これによって輸送運賃ダンピングが、抑止されたのかとおもう。大型化、近代化についで協業化の部分が、合併・再編成という形で「利益共有」というスタイルにおちついたのかもしれない。
     経済界の動きを、運輸行政と金融機関が指針を示す。結果、利益はどこに収斂していったのであろうか。そこまでは本著の責任ということではあるましが。

  • 河上弘一元総裁が入院生活を送り亡くなる章が印象的だった。お見舞いに中山素平が来ると身支度をして迎えるところや、自分が入院する以前に妻の歌子を献身的に看病するところで、多くの後輩から慕われていた河上弘一の人柄が伝わってくる。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。化学業界専門紙の記者、編集長を経て、1975年『虚構の城』でデビュー。以後、綿密な取材に裏打ちされたリアリティに富む経済小説を次々に発表。企業組織の不条理と戦うミドルの姿を描いた作品は、日本中のビジネスマンより絶大な支持を得ている。他の作品に『金融腐食列島』『乱気流 小説・巨大経済新聞』『管理職の本分』『破戒者たち 小説・新銀行崩壊』、などがある。

「2020年 『銀行渉外担当 竹中治夫 メガバンク誕生(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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