そして扉が閉ざされた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1913
感想 : 259
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061848160

作品紹介・あらすじ

富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。

感想・レビュー・書評

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  • 岡嶋二人とは、ちょっとばかしインパクトのある作者名。映画『おかしな二人』をもじった井上夢人と田奈純一の合作名だそう。
    1982年、『焦げ茶色のパステル』(第28回江戸川乱歩賞受賞)でデビューした岡嶋二人は解散する最後の3年間で代表作を3作立て続けに発表した。その1番手が本書『そして扉が閉ざされた』である。

    富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して3ヶ月。娘の事故死に疑念を抱く母親によって、死の直前まで一緒にいた彼女の遊び仲間、男女4人が地下核シェルターに閉じ込められる。
    なぜ母親はそのような行動に出たのか。復讐か、それとも死の真相を語らせるためか。
    パニックに陥いった4人は、死にものぐるいで脱出を試みるがうまくいかない。
    核シェルターという極限の密室で、精神的に追い詰められていく彼らは、お互いの記憶を突きつけ合いながら推理をはじめる。その結果、浮かび上がってきた真相は……

    閉じ込められた4人は、事故死した咲子の恋人である雄一。咲子の友だちである鮎美と千鶴。そして、鮎美の婚約者正志。
    とにかく生前は、わがままなお嬢様であった咲子。当時、雄一をはじめ、みんなが彼女に振り回されるうちに彼らの関係も拗れていた。
    そんな状況のまま、核シェルターという逃げ場のない密室に閉じ込められたせいで、前半は揉めるばかり。真相へとは遅々として進まない。
    とはいえ、なにかしらの違和感が彼らの記憶や言葉の端々にふっと浮かんでくる。
    誰もが自分は咲子の死に関係がないと主張するものの、ちょっとした綻びを他の者に突かれては立場が危うくなる。
    彼らが追い込まれた心理的な圧迫は相当なものであろう。そもそも咲子の死は事故として処理されたものであり、本当に彼女の死に関わった人物がいるのだろうか。

    彼らの推理した結末はあっと驚くものだった。
    わたしの頭のなかでは、様々な場面が映像となりながらどんどん巻き戻っていく。喉に刺さった小骨のような違和感が消え去ったあと、残ったのは驚愕とも嘆きともいえる、なんとも言えない感情だった。あぁ……

    岡嶋二人の代表作『そして扉が閉ざされた』は、他の代表作『99%の誘拐』『クラインの壺』にも、ぜひとも手を伸ばしたくなる面白さであった。

    • 地球っこさん
      マリモさん、確かに!
      時代の流れとミステリの関係って難しいですね。

      刑事さんでも、昔は靴をなん足もダメにしながら、聞き込みやら現場に...
      マリモさん、確かに!
      時代の流れとミステリの関係って難しいですね。

      刑事さんでも、昔は靴をなん足もダメにしながら、聞き込みやら現場に行ってましたもの(たぶん)
      今では、「プラチナデータ」ではないですけど、DNAやら監視カメラやらで、情報を足で稼ぐことは少なくなったかもしれませんね(知らんけど 笑)

      まだまだ進化していくだろうミステリと、懐かしい時代のミステリ。どちらも楽しみたいと思います。
      こちらこそ、マリモさんのレビューでチェックさせていただきます(*>∀<*)ノ

      そうそう、『養老院より大学院』も興味深かったです。
      わたしも勉強したいと最近とみに思います。
      でも、何をと言われるとまだハッキリ自分でもわからないのですが(どういうこっちゃ!)


      2020/12/10
    • マリモさん
      昔のミステリーの刑事さんは、本当にあっちこっち駆けずり回りますよね!新たな事実が少しずつ出てきて、点と点がつながっていく面白さがあると思いま...
      昔のミステリーの刑事さんは、本当にあっちこっち駆けずり回りますよね!新たな事実が少しずつ出てきて、点と点がつながっていく面白さがあると思います。

      プラチナデータは、捜査方法の大転換があった近未来なので、遺留物がありながら、DNA捜査システムに引っかからない事案を最初から洗い直そうとすると、初歩的な初動捜査もされておらず、被害者の足取りもわからないという問題に直面するのですよ。足で稼がなくなる弊害ですかね。

      地球っこさんも勉強したい仲間なのですね!養老院より大学院読むと、何だかやる気だけはゴーゴー湧いてきますよ。
      でも何を具体的にやるのかは、私もまだ考え中です。高校生のときみたいに、考える期限はないので、ゆっくりあっためましょう(笑)
      2020/12/10
    • 地球っこさん
      マリモさん、どんなに完璧だと思っても
      落とし穴や抜け道はあるもんですね~

      そしてそして、勉強したい仲間のマリモさんも、
      考え中だと...
      マリモさん、どんなに完璧だと思っても
      落とし穴や抜け道はあるもんですね~

      そしてそして、勉強したい仲間のマリモさんも、
      考え中だということで安心しました 笑
      ゆっくりあっためまーす♪



      2020/12/10
  • まず、とても読みやすかった。

    斬新なクローズドサークルでした。結構強引に作られていました。

    氷のストッパーのトリックは途中で気付いてしまった。

    少し最後の方は呆気ない感じがしたが、読んで良かったなと思えたので未読の方は是非読んでみてください。

  • クローズ・ド・サークルもののミステリー。
    推理小説が好きでいろいろと読んでいる人は、かなり面白く読める物語だと思う。
    閉じ込められた空間には四人の男女。
    彼らはみんなある女性の事故死に関わっているのでは?と疑われた人たち。
    自分が犯人ではないことは自分だけが知っている。
    だが、状況的には四人の中に犯人がいるとしか考えられない。
    自分たちはなぜ拉致されたのか?
    事故について自分たちは何を知っているのか?
    たどり着いた真相には驚かされた。
    構成、伏線の張り方、そして結末。
    どれも素晴らしく楽しめた。

    舞台向きに書かれたのでは?と思ってしまいそうな展開だった。
    回想シーンや冒頭部分に工夫をこらせば、そのまま舞台として演じることも可能な気がした。
    推理小説の基本的なルールというものがある。
    謎解きに必要なものはすべて読者に提示されなければならない。
    いきなりラスト近くに登場した人物が実は真犯人だった・・・などということはルール違反だと言えよう。
    この物語はそれらを含め、推理小説の王道をいく物語だと思う。
    かなり昔に書かれた物語だけれど、面白さは少しも目減りしていないと感じた物語だった。

  • 「岡嶋二人」という名前は、徳山諄一と井上泉による共作筆名。こんな創作の仕方もあるんやなぁ

    クローズドサークル。犯人の推理やその結末に驚きの連続。ただ、登場人物が心がちょっと幼いかな笑
    かなり我が強い人が集まってました笑

    最後のミステリーと推理の違いに関する島田荘司の解説は興味深い

  •  富豪の若き一人娘である女子大生,三田咲子と咲子が乗っていた赤のアルファロメオが崖から転落し,咲子は死亡する。咲子の死は,警察により事故死と判断されるが,咲子の母,三田雅代は,咲子は殺されたと考える。そして,雅代は,咲子の死の真相を知るために,咲子が行方不明になった3か月前に,咲子とともに別荘で4日間を過ごした,毛利雄一,影山鮎美,成瀬正志,波多野千鶴の4人を,核シェルターに閉じ込める。毛利達4人は,核シェルターからの脱出を図りながら,咲子は本当に殺されたのか。殺されたのだとすれば,犯人は誰なのかを推理する。
     核シェルターという閉ざされた環境で,一見,事故死のように思われる咲子の死を4人の男女が推理するという設定だけを見ると,4人の登場人物による推理合戰が繰り広げられる,多重解決もののミステリかと思うが,そうではない。4人の男女は,ベルトのバックルを使ったり,体当たりをしたりして,物理的な方法で,核シェルターからの脱出を図りながら,少しずつ思い出す事実を積み重ねつつ,まるでブレーンストーミングのようなぎろんをしながら,咲子の死の真相を推理する。読者にとっては,3か月前の別荘でのシーンが回想シーンとして挟まれつつ,核シェルターからの物理的な脱出を図る場面が描かれるので,核シェルターの中での推理合戰,頭脳戦が繰り広げられるという印象がそれほど残らない。
     毛利雄一,影山鮎美といった登場人物のキャラクターは一昔以上前の大学生,フリーターというイメージ。昭和の時代,バブルの時代を感じさせる。推理合戰,頭脳戦という印象には欠けるのだが,アルファロメオのシートが下がっていたことから,咲子が落ちた崖までは,アルファロメオは咲子以外の人物が運転していたのではないかと推理したり,アルファロメオに懐中電灯が残っていたことから,暗闇を怖がる咲子が,夜に車を降りて何をしていたのかと推理するなど,些細な手掛かりから推理のブレイクスルーがされるところは,まさに本格と感じさせる。
     扉が閉ざされたというミステリのメインとなるトリックは,咲子を殺した実行犯である毛利雄一自身が,咲子を殺してしまったことに気付いていないというものである。物語は,毛利の一人称で描かれるのだが,毛利は,自分が咲子を殺害したことに気付いていないので,読者に対してもその事実は隠される。一種の叙述トリックである。読者は,必然,毛利以外の人物が犯人であるはずと考え,推理をする。
     登場人物のうち,鮎美は,毛利が咲子を殺害したことを知っている。そして,毛利をかばうために,咲子の死体を核シェルターまで移動させる。鮎美が咲子を殺害したと誤解した成瀬は,咲子の死を事故死に偽装する。この構造が,そして扉が閉ざされたというミステリの核となる部分であり,真相を見事に覆い隠している。
     とはいえ,成瀬が咲子を事故死に見せかけたトリックが氷を使った物理トリックなのは少し興ざめである。まるで,推理クイズのようなチープなトリックだ。また,鮎美と毛利との電話による「咲子のこと,ちゃんとしなくちゃ。」,「大丈夫なの。うまくいくわ。みんなうまくいくわ。」といった会話はあからさまな伏線になっている。こういった伏線と,アイスピックが凶器であるという事実から,毛利が咲子を突き飛ばした際に,咲子が死んでいたのではないか,と読者が真相に気付きやすくなってしまっている。成瀬は鮎美を庇っている。しかし,鮎美は犯人ではない,という状況になったときに,おかしい。真犯人は誰なんだとならず,これって毛利が咲子を殺害していたというオチなんじゃない?と想定できてしまう。
     というわけで,私のそして扉が閉ざされたというミステリに対する評価はそこまで高くない。岡島二人らしい,よくできたミステリだと思うが,よくできたミステリ止まり。驚愕するところまでは至らず,傑作とも思わなかった。犯人自身が,自分が犯人であることに気付いていないというアイデアは評価できる。このアイデアで,この設定なら,岡島二人のような現実的なミステリを書く作家ではない方が,もっと面白いミステリに仕上げることができたと思う。その点がちょっと惜しい。

  • ストロングスタイルのミステリーです。
    密室に閉じ込められた男女がする
    推理ゲーム。

    わかりやすいくらいの推理小説。

    密室に閉じ込められるという設定上仕方ないとは
    思いますが、もう少し動きがあると没入出来た気がします。

  • 古めかしくて良かった。
    ちょっとオチはガッカリだけど

  • 再読です。咲子さんの存在感と怖さがすごい話です。主人公の恋と相手の反応はイマイチ好きになれなかったけど、推理は好きでした。

  • 咲子の別荘に集まった5人の男女。男女間のいざこざで、自殺したと思われた咲子。3か月後、咲子の母親の雅代に招かれ、睡眠薬を飲まされて、密室に閉じ込められた4人。事故当時の写真と「お前たちが殺した」という赤いペンキの文字とともに。3か月前の出来事と、密室から脱走を図ろうとする4人の姿が交互に描かれる。4人が事件を振り返り、自殺ではなく、他殺ではないかという疑いが持ち上がり、お互いに疑心暗鬼にかられ、密室に閉じ込められた人間たちによる心理劇へと。
    事件当時の5人の足取り、アルファロメオの目撃情報、アイスピックやイヤリングの存在を絡めて、誰が咲子を殺すことができたのか、車を崖下に転落させることができたのかという謎解きは面白い。
    真相は読者には予測しがたいものだが、真相を知ると登場人物の発言が伏線になっていることがわかり、なかなかの佳作と言えるだろう。

  • 密室を解くのではなく、密室に監禁された中で過去の出来事を紐解く。物語の中へ読者を引っ張っていくのが上手いと思います。徐々に徐々に引き込まれ、一緒になって謎を追いました。アイスピックの件は途中で想像できたのですが、それがなぜあんな結末になったのかは全員が本当のことを言わないと解明できない。すごくインパクトのある作品と言うわけではないけれど、ちゃんと本格で、とてもきれいにまとまっていて、これからどうなるかという想像をさせてくれるエンディングも私は好きでした。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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