- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061849433
作品紹介・あらすじ
嵐の夜、マンションの十一階から姿を消した男が、十三分後、走る電車に飛びこんで死ぬ。しかし全力疾走しても辿りつけない距離で、その首には絞殺の痕もついていた。男は殺されるために謎の移動をしたのか?奇想天外とみえるトリックを秘めた四つの事件に名探偵御手洗潔が挑む名作。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
フォローしている方のレビューを読んで久しぶりに読みたくなった。
実際に読んだのは単行本だが、文庫本しか登録出来なかったのでこちらでレビューを書く。
雑誌掲載が1985年~1987年なので、もう四半世紀も前の作品なのだが良い作品は何度読み返しても時代が古くても楽しい。
この頃の御手洗が一番好き。傲岸不遜でクセが強く周囲を振り回すという、いかにもな探偵キャラクターなのだが彼をフォローする石岡の存在もあって楽しく見守ることが出来る。
「数字錠」
3つの数字を組み合わせたリング状の錠前がネックとなり二人の容疑者を逮捕出来ないと嘆く刑事。しかしトリックは斜め上。現代ではルール上できないだろうが。
だが事件の肝はトリックではなく、背景にある哀愁。これ程優しい御手洗はなかなか見られない。何しろこの事件を機に、コーヒーは飲まなくなるのだ。
「疾走する死者」
読者への挑戦状付き作品。台風の夜、マンションの十一階から駆け降りた筈の男が、僅かな時間で道路を隔てた高架線路上で他殺体となって発見される。
こちらは純粋にトリックを楽しめる…筈が、台風が鍵だった。
そうそう、御手洗はギターの腕も上等だったことを思い出す。事件をサクッと解決してチック・コリアのライブ放送に間に合わせるとは、さすが。
「紫電改研究保存会」
突然現れた謎の男に〈紫電改研究保存会〉から資料を送る宛名書きを頼まれた新聞記者。半ば強制的にやらされたあの半日の出来事は何だったのか…。
シャーロック・ホームズシリーズの『赤毛同盟』を彷彿とさせる話なのだが、新聞記者の被害が意外で、そのためにここまでするかという設定が面白い。それにしても大事な情報はくれぐれも取り扱い注意。
「ギリシャの犬」
少年の誘拐事件に乗り出す御手洗。手掛かりは事件前に起きた、たこ焼き屋の店舗小屋消失事件と盲導犬毒殺事件と謎の暗号メモ。
御手洗が一人先回りし、石岡や刑事たちはただ犯人と御手洗に振り回されている。事情が分かっているなら説明してあげたら良いのに…と思うが、それをやったら小説にならない。
御手洗がもう一つ優しい相手が犬だということが分かる作品でもある。
事件は少年探偵団シリーズみたいで面白い。-
おじょーさん♪
コメントありがとうございます。
私もフォローしている方のレビューを読んで懐かしくて読んだのですが。やはりこの頃の御手洗は...おじょーさん♪
コメントありがとうございます。
私もフォローしている方のレビューを読んで懐かしくて読んだのですが。やはりこの頃の御手洗は良いですね。長編も良いですが、このような短編集も好きです。2022/02/20 -
fukuさん、こんにちは。
わたしはこの短編集が“初”御手洗シリーズでした。
短編のミステリを、これだけ面白く描けるのはすごいですね。
...fukuさん、こんにちは。
わたしはこの短編集が“初”御手洗シリーズでした。
短編のミステリを、これだけ面白く描けるのはすごいですね。
これからゆっくりシリーズを読んでいきたいと思います。2022/02/20 -
地球っこさん♪
コメントありがとうございます。
こちらが初でしたか。
短編集から入るのも良いですね。
私は確か『占星術~』だったよう...地球っこさん♪
コメントありがとうございます。
こちらが初でしたか。
短編集から入るのも良いですね。
私は確か『占星術~』だったように記憶しています。
シリーズ作品を楽しんで下さい(^_^)2022/02/21
-
-
御手洗潔「挨拶」代わりの読み易い作品。
数字錠:密室殺人。御手洗がコーヒーを飲まない理由。
疾走する死者:建物から消え電車に飛込む死体の謎
ギリシャの犬:誘拐事件と暗号。スッキリ爽快。 -
御手洗シリーズ好きにはたまらない、奇抜なトリック、淡々とした名推理、愛すべき一冊になりました。
-
絞殺死体が全力疾走して電車に飛び込む事件。全員がアリバイのある不可能密室殺人事件。会ったこともない男に、封筒の宛名書きをさせられる事件。犬と暗号とタコ焼き屋と子供の誘拐事件。奇想天外にして巧妙なトリックを秘めた事件に御手洗潔が挑む。
御手洗潔シリーズ第三弾。今回は四つの事件に挑む短編集。四つの事件を通して、変人(?) 御手洗潔とは、どういう人物なのかを掘り下げたエピソードが揃っている。
特にお気に入りの事件は、”数字錠”。いかに御手洗潔という人物が魅力的なのか、が詰まったお話。
「こんな罪まで、暴かなければならなかったんだろうか。」
御手洗潔の人柄、情の深さ、優しさの深さを知れるとともに、事件を解決することの苦悩や葛藤を見事に表現されている。御手洗潔がコーヒーを飲まなくなった理由も明らかに…!
また、絞殺死体が全力疾走して電車に飛び込む事件のような想像するだけでワクワクできるような殺人事件もあれば、現場に残された暗号から子供の誘拐事件を解決するといった、探偵者っぽい内容のものも含まれていて、ミステリ作品として大満足の一作でした。
「占星術殺人事件」、「斜め屋敷の犯罪」ときて、本作「御手洗潔の挨拶」まで読まれた方は、誰もが”御手洗潔”の虜になっていること間違いなしです。興味があれば、ぜひ、手に取ってみてくださいね。 -
島田荘司全集より。御手洗シリーズ最初の短編集。女性にモテてギターも上手いスーパーマン御手洗潔のキャラクターが際立っている。
疾走する死者は不可能犯罪ものの本格の代表作では。全集を読んでいると、島田荘司という作者の方が個性的だと感じる。 -
御手洗潔シリーズ3作目は短編集。マンションの11階から消えた男が13分後に電車に飛び込む。しかも首には絞殺の痕。絶対に間に合わない距離を彼はなぜ移動したのか。『疾走する死者』など4作を収録。
謎を追う面白さはもちろん、事件の中で御手洗の人となりが浮き彫りになるところが一番の魅力。権力には屈せず、弱き心に寄り添い、人よりも犬が大好きで、ギターの技術はプロ顔負け。破天荒だと思っていた彼の性格こそ、実は人々が忘れかけている大事な人間性ではないかと思った。
『数字錠』で見せた御手洗の苦悩は味わい深い。東京タワーからの景色について語るこの言葉が好き。
「あの光のひとつひとつが照らす場所に、それぞれ人間の生活がある。今夜、百万ものケーキにみなが向かい合っているだろう。しかし、ケーキなどとは無縁の場所で、悲鳴をあげている人間もいる。僕らの耳が貧弱だから、その声が聞けないだけだ」
『疾走する死者』も驚きのトリックでそんなのあり?!ってなった(笑) 『斜め屋敷の犯罪』と同様、このトリックはずっと忘れられないインパクトがある。エキセントリックなトリックながら、それでもいいかと飲み込ませてくれる面白さもある。御手洗が推理を始めたきっかけも面白い。
『紫電改研究保存会』は40ページほどの作品ながら、巧妙に張られた伏線が魅力。不可解すぎる来客・尾崎の謎は予想外のところでまとまって驚いた。読後感も爽やかで、気持ちよく騙される作品。
『ギリシャの犬』はたこ焼き屋のお店が盗まれた事件に始まり、依頼者の息子が誘拐されるという大がかりな事件へと展開していく。川を舞台にした犯人との緊迫したやり取り、そこに効いてくる謎の暗号や犬の存在と二転三転する物語に引き込まれた。最後にキッチリと伏線回収もしてくれて清々しい読後感。
ぼくは御手洗シリーズを順番に読んでるけど、『占星術殺人事件』から読んでもいいし、この作品から読み始めてもとっつきやすくていいと思う。それにしても、島田先生から挑戦状を毎度突き付けられるけど、ぼくには解ける気がしない(笑) 解ける人いるのかな。 -
御手洗シリーズは基本的に長編だけれど、4つの短編となっていて読みやすかった。
内容も面白かったけれど細かい部分で少し疑問に思うところがあった。
著者プロフィール
島田荘司の作品





