虹のヲルゴオル (講談社文庫)

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感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061849938

感想・レビュー・書評

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  • オードリー・ヘップバーン、マリリンモンロー、ブリジット・バルドーなど、13人のヒロインたち。その魅力について、橋本治が、あらゆる角度から分析する!
    解説 で、小藤田千栄子さんが、
    高校生のころ橋本さんは「映画評論家になれたらいいな」と思ったという。
    、、、そうか、だからこんなに映画に、すごく詳しいのですね。橋本氏の、少女漫画評論「花咲く乙女達のキンピラゴボウ」という本も、読んだことがあるが、「虹のヲルゴオル」のほうが、断トツに面白い、と思いました。
    でも、氏も、大好きなはずの、オードリー・ヘップバーンに対して、すごく辛辣なことも、書いている。キビシイ人だ。若くて、美しい人だけに、女優とは、価値があるのか、と、心の中で、ツッコんだりもするのだが、私、橋本氏のこういう文章、とても好きだったりする。「いつも二人で」という映画に対して、
     こういうすごい映画を撮って、オードリー・ヘップバーンというスターは、自分のそれまでに立派なピリオドを打ったんだ。
     だから、それから先の彼女のことを、僕はしらない。

    、、、ときどき出てくるスター達の写真も、素敵な写真ばかりでした。


     それから、マリリンモンローに対する評論が、優しい感じで好きでした。
    とても良かった。



  • 13人の映画女優の魅力を語る映画評。
    読み終わったあとは、橋本説にそって取り上げた映画を観たいと思う気持ちがわき上がってくる。
    もちろん橋本説は映画評のひとつであり、それだけが正しい見方とはならないんだけど、きっと映画を観ればそれぞれのヒロインの美しさが感じられ、それはこれまでに語ってこられた魅力とは違っていて、「美しい女性」というものの存在がオッサンである自分にも理解出来るんじゃないのかと思えるんだな。
    本当のところは知らないけれど、映画というものには、監督にも女優にも自分の背景を込めた思惑があって、だからこの映画を作った、この映画に出演したという「物語」を著者は書く。
    だから本書は橋本治が作った「物語」だと思うんだよ。
    美しい女性の物語。

  • 何が言いたいのか理解できない言い回しが多く、何度も読み返して苦戦。知識や教養、洞察力はたしかにすごい。けど、なんか回りくどい。あと"オバサン"や"ブス"などの言葉がやたら出てくるのもなあ…。でも女優に対する興味があったし、面白く感じる部分もあったのでなんとか読み進められた。他の著書も少しずつ読んで橋本節を乗り越えたい。

  • すごく面白かった!
    古典の人だと勝手に思ってたけど、映画にも造詣が深いんですね。何よりその洞察力に驚きました…口調は砕けてるけど、普通の人はこんなことまで思い至らないと思う。すごい。
    映画見たくなりました。そして同時に、美人になりたいと強く思う。

  • 橋本治「虹のヲルゴオル」読んだ。http://t.co/6SLfnYoX 近所のバーから借り読み。表紙はヘプバーンだしタイトルもアレだし、この外観だと自分からは手を出さない種類の本だ。女性は絶対に美しくあれ、というすごくいい本なのに既に絶版みたいだなあ(つづく

    女性はきれいなほうが断然いい。キレイでこそ女。14人の女優の魅力を彼女らの人生も絡めて紹介しつつ、当時の映画作品/業界の裏話(ゴシップ)もあっておもしろい。監督と女優と作品の関係とか。バーグマン、ドヌーブ、フェイダナウェイ、ジャンヌモローの章は伊丹十三を読み返したくなる(おわり

  • この本を読んで橋本治さんってすごく賢い人なんだとわかった。

  • オードリー・ヘップバーン、マリリンモンロー、ブリジット・バルドーなど、13人の映画女優について、著者の考察が展開されている本です。

    著者の議論は、昔の映画スターが美しかった理由から、美しい映画スターとして存在している彼女たちの人生そのものにまでおよんでいきます。「あとがき」で著者は、単行本化されるにあたって大幅な書き足しがあって「重い本」になってしまったといい、「これ以上書き足すと、“映画の本”じゃなくて“人生の本”になっちゃうんだけどな、とかは思うんだけど」と愚痴っていますが、著者が他の著作でぞんぶんに語っているような女性論および男性論が、映画を題材にして縦横に展開されています。

    ジューン・アリスンが出演した『グレン・ミラー物語』では、「芸をするというのは勿論仕事の一種で、この仕事というのが実に、“他人の為にすること”」だと端的に述べられており、芸人ではないふつうのひとは、「一人前の“自我”とかっていうものを持ってから“他人の為”なんてことを身につけようとすると、まず第一に“自分の立場”という邪魔なものを消してかからなくちゃいけない」という指摘がなされています。ここに見られるような「芸」という観点が、近代的な芸術観への疑いをもつことのないありきたりな映画評から、著者の議論を区別するものであるように思います。

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著者プロフィール

1948年、東京生まれ。イラストレーターを経て、77年小説『桃尻娘』を発表。『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を受賞。著書多数。2019年没。

「2023年 『完本 チャンバラ時代劇講座 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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