蜻蛉日記をご一緒に (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 86
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061850095

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  • <u><b>田辺聖子って宇野千代みたいなしゃべり方するんですね。</b></u>

    <span style="color:#cc9966;">女の夢は、いつの世も変わらない。唯一人の男に出会って、唯一人の女として愛されること。蜻蛉は、男らしい実力者の兼家に恋しているが、夫は男の常として、一人の女に満足しない。妻は嘆き、恨み、苦しむ中で、ついに深い人生観照と、不思議な安らぎの世界に入る。女の生き方、女と男のあり方を考える名著。 </span>

    『蜻蛉物語』入門書。筆者の「私たち女は〜」「女はこう考えるんでございますの」という”自分は女の代表です”みたいな語り方が気に食わんが(こういうしゃべり方宇野千代にそっくり!途中から宇野千代読んでるのかと思った)、ただの現代語訳だけでなく文化的背景も書かれているので、入門には最適です。

  • 夫の兼家が大好きなのに素直になれない、つんつん蜻蛉さん。
    そんな彼女もかわいらしいと思えるのは同性だからだろうか。
    普通の男の人だったら「かなわないなぁ」といってそそくさ逃げ出してしまうに違いない。
    でも兼家は気まぐれながらもいざというときは頼りになるし蜻蛉を心配もする。
    つんつんした蜻蛉をまるごと包み込むようなおおらかさが垣間見えて、兼家はさぞ魅力的な男性だったのだろうと想像できる。
    田辺聖子さんの、女性視点の読み方はとてもわかりやすく、マイナス面だけでなく蜻蛉の良い意味での女らしさが感じられて興味深く読めた。

  • 田辺さんの解説がわかりやすくて、普通に読むより倍くらい古典が面白く感じる
    男も女も変わらないものだね

  • (「BOOK」データベースより)
    女の夢は、いつの世も変わらない。唯一人の男に出会って、唯一人の女として愛されること。蜻蛉は、男らしい実力者の兼家に恋しているが、夫は男の常として、一人の女に満足しない。妻は嘆き、恨み、苦しむ中で、ついに深い人生観照と、不思議な安らぎの世界に入る。女の生き方、女と男のあり方を考える名著。

  • お聖さんの古典の解説はとてもわかりやすくて、しかもおもしろい。蜻蛉は日記ではうつうつとしたことをたくさん書いているけど、兼家と相対して話をしたり伏寝をしているときの彼女は、文面の印象よりはもう少し可愛い人だったのではないだろうか。でないと、兼家だって、あんなにツンケンしている蜻蛉と長く付き合うこともなかったと思う。蜻蛉は、うれしいときや感動したときには文章が短い、という箇所があったが、それよくわかる。確かに感動したり、うれしいときって言葉がなくなる。

  • 田辺聖子による平安文学「蜻蛉日記」のセミナーを、文字に起こしたものです。本来、人を相手に説明しているものなので、接しやすい内容。書き手である道綱の母のプライドの高さに苦笑しつつ、平安文学や平安の文化について語る田辺さんがいい。個人的には、田辺さんが語る道綱の母の旦那・兼家の男ぶりが良かった。蜻蛉日記を読む前や読んだ後の補足として読むと、面白さ倍増だと思います。

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著者プロフィール

田辺聖子
一九二八年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。六三年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、八八年、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、九三年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、九四年、菊池寛賞を受賞。九八年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。二〇〇八年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。一九年六月死去。

「2023年 『ゆめはるか吉屋信子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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