公園には誰もいない 改訂新版 (講談社文庫 ゆ 1-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061850101

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  • ❖行方不明者(失踪者)の捜索という主題は著者の好みであるらしい。その変奏として著された作品群はどれも自分には魅力的・・似たような印象のものばかりではあるが。他の真木シリーズは除いて、後年の『エリ子、十六歳の夏』と比べても、その語り口は(雰囲気も)ほとんど変わるところがない。もっとも著者のファンである自分はこの静かな語り口(ハードボイルド調の筆致)に惹かれるのだけれど。本作は時代の空気感もよく伝わってくる(よみがえってくる)作品で、古い映画の映り込んでいる景色(街並)を懐かしく観るような愉しみ方も味わえた。

  • 拾った貝殻を捨てるように
       あなたは行ってしまったけれど
       楡の木蔭で
       束の間の恋は信じやすくて
       小径にたわむれていた蝶も
       魚をすくっていた子供たちも
       みんな遠くへ行ってしまった
       でも
       あたしはもう泣いていない
       風に吹かれ
       枯れ葉のように
       公園には誰もいない

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著者プロフィール

結城昌治

一九二七(昭和二)年、東京に生まれる。四九年、早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し三年間の療養生活を送った。五九年、短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。七〇年、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。ほか『夜の終る時』『志ん生一代』など著作多数、「結城昌治作品集」(全八冊)がある。九六(平成八)年一月没。

「2020年 『軍旗はためく下に 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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