異邦の騎士 (講談社文庫)

  • 講談社 (1991年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (412ページ) / ISBN・EAN: 9784061850446

みんなの感想まとめ

記憶喪失の主人公が事件に巻き込まれ、内面的な葛藤を描きながら繰り広げられる緊迫感あふれるサスペンスが魅力の作品です。著者のデビュー作として、ハードボイルドなタッチが特徴で、物語は衝撃的な出だしから緩急...

感想・レビュー・書評

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  • 今まで焦らすように引っ張ってきたが、本書が私を島田信奉者にした作品である。そしてこの作品は私の読書人生の中で未だに永遠のベストとして燦然と輝いている。
    私が読んだのはハードカバー版で、確か講談社の何十周年かの記念書き下ろしシリーズの1冊として刊行されたらしく、えらく豪奢な装丁だったのを覚えている。
    特に西洋画で描かれた馬上の騎士の表紙絵が飛び出してきそうなほど迫力があり、果たしてどんな物語かと胸躍らせた。

    しかしこの表紙とは全然無関係の話が展開される。物語の舞台は騎士が出てくるような西洋の街やお城ではなく、関東の公園で記憶喪失の主人公が目が覚めるところから始まる。その後彼は周辺を彷徨い、紆余曲折を経て知り合った石川良子という女性と同居するようになる。そしてこの2人の生活が語られるのだが、これが実に私の心をくすぐった。当時学生だった私にとって彼らの年齢が近いこともあり、そう遠くない将来の生活のように見えたからだ。そしてこの2人の生活は貧しいけれど小さな幸せというありきたりなモチーフながら、私の願望を具現化したような形だった。

    そして、物語は意外な方向に進む。それは・・・いや詳細を語るのは止めておこう。思いの強さゆえ、微に入り細を穿つように述べてしまいそうで、これから読む方々の興を殺ぎそうだから。ただ颯爽と現れる御手洗の姿にはきっと快哉を挙げるだろう。これは今でも私には全てのミステリの中でも最高のシーンである。そしてなによりも謎解きを主体としたミステリでこれほど胸を打ち、感動するとは思いもよらなかった。本作で御手洗ファンとなった女性が増えたように、私もこれで御手洗、いや島田ファンになり、こんなミステリを書く人はきっと素晴らしい人に違いないと信奉するまでに至った。これは今でも同じだ。

    ただ惜しむらくは「何か面白いミステリない?」と訊かれたときに、本書をお勧めできないことだ。既読の方はご存知のようにこの作品を存分に楽しむにはシリーズに関する予備知識が必要で、この本の前にせめて2作は御手洗シリーズを読まなければならない。
    だから私はよく「島田荘司の御手洗シリーズがお勧めです。『占星術殺人事件』、『斜め屋敷の犯罪』、(『御手洗潔の挨拶』、)『異邦の騎士』をとりあえず読んでみて下さい。これが刊行順で、ぜひともこの順番で読むことをお勧めします」という風に勧めている。『占星術~』が面白いこともあって、幸いにしてこの勧め方で感謝される事が多くなった。今はそうでもないが、かつては多くの島田信者を作ることが私の悦びでもあったようなふしがある。

    本書で教えてくれたのは人を愛することの温かさ、苦しい時にこそ助けてくれる友人を持つことが人間にとってかけがえのない宝石だということだ。それを教えてくれた島田荘司こそ、私にとって異邦の騎士その人だと思うのである。

  • 島田荘司の第1作目の小説とのことです。
    いまさらの読了ですが、実は「御手洗潔」物ということで勝手に本格推理小説と思いこんでいたら、全然そんな感じはなくて、ミステリーというよりはハードボイルド・タッチのサスペンスという趣でした。ご本人の「あとがき」によると、当時のプーのような生活の中からそれをイメージして生み出された小説だったようです。
    記憶喪失となった主人公が事件に巻き込まれ、ひたすら葛藤する内面の心理を描写しながら、怒涛のように突き進んでいく展開に目が離せなくて面白かったです。衝撃的な出だしから始まり、緩急をつけた物語進行、そして中盤の「日記」のあたりからの圧倒的な展開につい引き込まれてしまいました。著者も「あとがき」で語るような詩的な表現があるかと思えば、読者を一気に物語へ誘う力強く重厚な展開と筆致に大いに魅せられました。
    しかし実のところを言えば、中盤の「日記」のあたりからおぼろ気ながらプロットが察せられてしまって、まあ、「異邦の騎士」御手洗の颯爽たる登場のところではすでに予定調和的な感じとなってしまっていたのですが(笑)、しかし、そうとはわかってはいても、そのとてつもない安心感に胸をなでおろした次第です。(笑)
    ちょっと普通ではあり得ないような状況展開はストーリーありきとしてまあ許容範囲でないかと思います。
    著者はその後、『占星術殺人事件』で新本格物の旗手として一世を風靡しますが、その前段階の邂逅という意味でも思わず微笑んでしまうラストでした。
    その後の短編でもたびたびジャズ音楽が登場しますが、本作でも登場するジャズ音楽に浸ってみたくなりました。

  • 記憶喪失の敬介が記憶を失ってお行儀の良くなった御手洗ではないかとヒヤヒヤしていたら(ギターが弾ける、星占いの知識がちょっとあるなど)そっちかい!!!!!
    正直言って中盤まではつまらなくもないけど面白くもないな〜って感じだったのに手記から一気に引き込まれてしまった。まあその手記は全部嘘だったんですけど……益子秀司、小説家の才能あるんじゃないか?

    御手洗シリーズは占星術・斜め屋敷・挨拶・ローズマリーだけ既読だったんだけど石岡くんが出てくる話の捉え方が変わるじゃんこんなの〜…………
    冷静に考えると良子もなかなかヤバいことしてるんだけど、身の上が不遇すぎて全然嫌いになれない。普通に石岡くんと幸せになってほしかった。敬介じゃなくて石岡くんと………

  • 壮絶な物語でした。
    途中から止まらなくなり、夜更かしして一気に読みました。
    本格ミステリとは毛色が違いますが、御手洗潔シリーズとしては外せない一冊です。
    ぜひ、シリーズ順に読み進めていただきたいです。

  • 感想にネタバレしてる人がいる。
    それだけは最後まで言っちゃあダメだっての。

  • ラストは涙をこらえるのが大変でした!
    バイクに跨りあらわれた名探偵は忘れません!

  • 刊行は4番目ですが、御手洗潔の最初の事件。
    なんとも悲しい話。

  • 悲しい結末だったが、主人公が記憶が戻って救われたと思ったので、読んでる方も救われた。

  • 全く前情報無しに読んだから吃驚した!!
    まさか彼が彼だとは・・・後半はもしかしたらって気にもなったけど思いもよらなかった。
    でもこのタイミングで読んだから自分としてはより面白かったかも。
    これから見る御手洗モノも楽しみだ。

  • そうだろうなと思ったらやはりそうでしたか。
    こんな始まりだったんですね。
    読み手の推理をことごとく打ち砕く結末が面白い。

  • 写楽、アルカトラズが面白かったから、昔の作品をと。
    御手洗シリーズは読んだこと無い。

    記憶消失者が自分の記憶を探す話。
    設定が面白い&読みやすい。
    結末は若干無理があるけど、引き込まれる文章でした。

  • 記憶喪失になっていることに気づいた人物の視点で進んでいく、ミステリっぽくない形式のミステリ。過去の断片が明かされる度に、主人公と一緒に怒ったり悲しんだり、感情を揺さぶられ続け、すべての真相が明らかになるころにはもうヘトヘトになっている。

  • 解説に処女作であり、当時の生活の風景がすべて詰め込まれている、そしてもうこのようなものは書けないとあった。素直なのに尖っていて自信に満ちている。変わった人だなぁと思った。小説もまさに、という感じで、後半の解決部分はものすごく引き込まれた。

  • ドキドキハラハラする展開が一気に押し寄せて来ました!

    はじめの方は現実から目をそらしている主人公という感じの話だったために、だらだらと変化の少ない日常が描かれており何度も眠くなりました。
    しかし、ある出来事を境に主人公の環境が一変してからは、もうとにかく続きが早く読みたくて読みたくて。
    読めない時間がもどかしかったですね。

  • 島田 荘司の小説はこれが初めて。著者の作品の多さのため、どれから読んでよいか分からず、たまたまそこにあった本書をとっかかりとした。
    記憶喪失の主人公に何が起きるかはなんとなく予想がつく部分もあり、驚きはしなかった。
    しかし、主人公の友人となる、探偵:御手洗潔のセリフ「クイズは、作るより解く方が何倍もやさしいんだ」が、強く印象に残った。この作品自体が実際そうだったのだろうと思う。曖昧な表現をしたり、確証を得ないことで、主人公と読者をミスリードし続けることに膨大な苦労があったのではないかと思ってしまう。

  • 某BBCのドラマ見てたら読み返したくなったので再読。
    初めて読んだ時はボロ泣きしたのだが(ページに涙の跡がある。笑)今回は泣く事もなく普通に読めた。
    なぜならば、腐って汚れてしまった私にはもうこの小説が御手洗と石岡くんのブロマンス小説にしか読めなくなっているから。笑
    御手洗シーズの短編「さらば遠い輝き」を読んだ後なので、ついそういう視点で見てしまうのよ…。
    見も心もボロボロになった石岡くんをバイクの後に載せて走っている時や「君に愛なんて理解できるはずがない」と罵倒されてる時の御手洗の気持ちを考えると切なくて仕方がない。

  • 又吉さんの本でおすすめとあったので、古本屋で購入。
    毎日寝る前に読んでいたけど、内容的に途中で読むのがつらくなり、本を閉じて考え込んでいるうちに寝る...というのを5日間ほど繰り返して読み切った。
    いつもはなるべく途切れずに読むのが好きなのですが、この本に関して言うとこの読み方が正解だったように思います。
    自分のなかで熟成させればさせるほど、御手洗さんの謎解きの声が身体に響く。
    へなへなと力が抜けた。全てを知ったあと、突っ伏した枕の柔らかさ。

  • ずっと昔に「占星術殺人事件」を読んで衝撃を受けた。その御手洗潔の最初の事件、つまり島田荘司の処女作だそうだ。これが初めての小説だなんてびっくり!物語が意外な方向に行って、意外な結末。面白かった!

  • なぜ、先に他の御手洗シリーズを読んだ方が良いのか、わからずに読み始めた。
    あまりの面白さに一気に読了。
    そして、その名前にビックリ・・・・・・・・・・・・。

    こういう事ね。先に「占星術・・」「挨拶・・」を読んでいたので納得。
    御手洗・・・・うぅん・・・アンタ格好いい。

  • ”記憶障害”者の事件。
    前半は記憶を失くした男の自分を手探りで探す淡々とした内容。しかし物語途中の日記から事件は驚愕の方向へ。
    主人公とヒロインとのあまりにも切な過ぎる結末。
    さらには主人公の思いもよらない名前。
    御手洗シリーズでは必読の一冊です。

    トリックはなかなかに出来過ぎた感は否めません。個人的には最後の主人公の名前に一番衝撃を受けました・・・。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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