0の殺人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.41
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本棚登録 : 937
レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061852273

作品紹介・あらすじ

物語の冒頭に置かれたに、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち四人のリストが公開されている。この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2作目はいきなり作者からの注意事項が述べられている。それは「容疑者は4人で、さらにその容疑者は減っていく、したがって多くの方はこの事件の真相を見破れるだろうけど、百人に一人は見破れないかもしれない」といった趣旨の文章だ。
    もちろん、一ミステリ読者としては見破れらいでか!とばかりに勢い込んで読むながら推理するがいやあ、ものの見事に百人の一人になってしまった。
    コメディタッチの軽い文体はクイクイ読み進めてしまうので、推理が組立てられないまま、終わりに向かってしまう。でも本書においては真相を見抜けなかったことが全然悔しくなく、むしろ爽快感が得られる。これほど綺麗に騙されると非常にすがすがしい。読後、誰かに勧めたくなる作品だ。本当はもう一つ付け加えたい賛辞があるが、それをいうと頭のいい人は察してしまうので止めておこう。

    しかし思えばこの頃から異色の存在ではあったんだろう、その後の彼のミステリ作家としての道のりはいわゆる新本格作家たちとは違う方向に進む。前述したゲーム『かまいたちの夜』の原作者という他ジャンルへの係わり合い、もう無くなったが電子書籍サイトE-Novelの立上げなど、様々なことにチャレンジしている。他のミステリ作家が本格ミステリの本道を極めんと内側に意識が向かっているのに対し、彼はミステリで何か他に面白いことが出来ないかと本という媒体を越えて興味が外側に向かっているのが特徴的だ。

    さて『殺戮に至る病』が未読の私は本作が我孫子氏のベスト。したがって私は躊躇なく5ツ星を献上する。ちょっと最近5ツ星が連発しているが、これはまだミステリ初心者であった私が読んだ作品群であり、その初読の印象に基づいて採点していることによる。つまり島田氏から端を発する綾辻氏、法月氏、我孫子氏、歌野氏の一連の新本格作家達の諸作品が私にとってミステリの黄金体験なのだ。
    5ツ星の割には少ない感想だが、これは未読の方はぜひ読んで欲しい。軽~く読んで、スパッと騙されて下さい。

  • 最後までスラスラと読み進めていくことが出来る。
    作品の評価の高さとラストが!という声にどうなるのだとドキドキしながら読むと、確かにその発想は面白いと頷けるもの。個人的に殺戮にいたる病のようなラストを期待してたので少し肩透かしをくらった部分もあるにはありましたが。
    タイトルには別の意味も込められていそうだなぁと色々と考えるものがありました。

    前作の8の殺人のように講義なるものがなかったのも好印象でした。

  •  あらすじ

     大富豪である藤田カツ(76)には身寄りが少なく、残された親族は甥と姪、そしてカツの弟しかいなかった。カツは莫大な財産を築いており、その遺産の行方が注目されていた。そんな折、カツの喜寿を祝う席で姪が毒殺される。

     
     作者は我孫子武丸。前作「8の殺人」から続く速水3兄弟のシリーズ第2弾です。

     あらすじを読んだ人は、なんだ遺産相続絡みのよくある話かと思いきや、そうは問屋がおろしません。

     
     この話の最大の特徴は、1ぺージ目に挿入された「作者からの注意」にあります。
     
     それによると主要登場人物は藤田カツとその甥と姪、そしてカツの弟、また速水警部補とその弟・妹そして部下の木下の計8名です。速水警部補と弟・妹、そして木下は「殺人者」ではなく、またこの4人は故意嘘をつかないとはっきり明言されています。
     ということは、容疑者はたったの4人しかおらず、なおかつ物語が進むにつれて、その容疑者も死んでいくので推理の範囲はどんどん狭まっていき、容易に解答可能でしょう。

     …などといったようなことが書かれています。

     あげく、最後の1文には、「こんなに簡単だけれど100人に1人ぐらいは間違えてしまうんじゃないでしょうか、その一人があなた(読者)であることを願っています」といったようなことまで書かれています。

     
     たぶん「作者からの注意」というより「作者からの挑戦状」なんでしょう。

     
     僕はあまり深く考えず読み進めましたが、真相はなるほど僕も100人のうちの1人になってしまいました。

     話の流れは演劇を意識しているのか各章のタイトルは「1幕」「2幕」などとなっています。ラストの「カーテンコール」はすばらしい演出だと思います。



     ぜひお勧めなんですが、残念なことにこれ…もう絶版なんですよね…。8の殺人みたいに新装版でないかな。

    (漢字帳)

  • 09.10.17.Sat 読了。

    我孫子武丸さんは、中高学生のころに「かまいたちの夜」というノベルゲームの1と2をプレイしたこともあり、自分としては馴染みの深い作家さんというイメージです。でも本を読むのはこれが初めてだったりする。
    そしてミステリ&ホラーに免疫がなかった時代(今も恐怖物はそんなに得意じゃない)だったので、三日ほど一人で眠れなくなった事は記憶に新しいです。

    まあ、それはそれとして。
    この0の殺人、普通に面白かったです。
    かなりかっちりとした推理物なのですが、主人公3人、速水兄弟がとても個性豊かで魅力的。
    殺人も起こるんですが基本的に明るいタッチで描かれているので、重苦しい雰囲気はないです。
    若干ブラックジョーク的な?いやそれも少し違う気がするなあ。

    「かまいたちの夜」で我孫子さんのギャグセンスは知っていましたが、つい、くすっと笑ってしまうような計算されたセンスは素晴らしいです。

    シリーズ物らしく、この「0の殺人」の前に「8の殺人」、これの続編で「メビウスの殺人」などが出ているらしいですが、自分はこの小説から入りましたがあっさり入れたので恐らくどこから読んでも大丈夫。

    あらすじとしては、1989年の2月から4月にかけて起こった事件を、担当刑事だった速水恭三が約半年後の12月になって弟・慎二と、妹・いちおに相談していく、という構成になっています。

    この慎二といちお、かなりのミステリマニアという設定で、ちらちら出てくるミステリの知識などに我孫子さんのミステリに対する愛を感じます。

    こう、交互に事件の経過や犯人の独白、兄弟の推理などが出てくるんですが、最後の推理でだまされたぁー!ってなります。
    自分はなりました。まあ、ミステリ慣れしていないということもあるのでしょうが…。
    タイトルにも実は意味があります。それもまたオモシロイ。

    ミステリが好きな人もそうでない人もさらっと楽しめる一品だと思いますね。

  • 殺戮にいたる病で我孫子作品に魅力され、デビュー作(8の殺人)に続けて一気読み。巻頭から作者からの注意として、これから読む読者に対して謎解きのヒントが。結論、私はきっちり100人に1人の読者でした。これ以上はネタバレになりそうなので...速水三兄妹の第3弾、メビウスの殺人はまだ購入してませんが、近いうちに必ず読む。何故なら、私は完全に我孫子作品に取り憑かれた読者の1人だから。


    説明
    内容紹介
    容疑者リストつき異色の新本格推理。
    冒頭で明かされた容疑者たちのなかからあなたは真犯人を突きとめられますか?

    物語の冒頭に置かれた<作者からの注意>に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち4人のリストが公開されている!この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。

    内容(「BOOK」データベースより)
    物語の冒頭に置かれた〈作者からの注意〉に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち四人のリストが公開されている。この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。

  • 速水三兄妹シリーズの二作目です。

    冒頭に「作者からの注意」として、容疑者のリストが公開されています。
    そして最後には、「百人に一人くらいは分からない人もいるのではないでしょうか」という、挑戦的な言葉が。

    その言葉に乗せられた時点で、既に作者の術中に陥っていたんですね。
    大胆なアイデアを、冗長にならずコンパクトにまとめる、見事な手腕が発揮されていました。

    前作と同様に、本格ミステリとコミカルな作風の融合は巧みで、次々と人が死んでいくにもかかわらず、悲愴感が全くないという不思議な作品です。

  • 速水三兄弟2作目!
    冒頭の容疑者の提示が
    読者への挑戦のようで
    作品に対して
    気合と気持ちが入りました。

    爽快に解けていく面白いミステリー
    タイトルに最後に納得できる
    物語ってほんとに大好き。

  • 速水三兄弟シリーズ。
    これも当初オチに驚いた。
    当初と言うか今でもかなり凄いオチだと思う。
    これを超えたのは殊能将之だったのでどれほど異端なのかは分かってもらえるかと。
    まあ、良いか悪いかの判断はお任せしますが、僕は殊能将之も大好きなのでこれも大好きです。

  • サラッと読めます。かといって読了した後読み飛ばした感が無いのが、いいですね。
    最後の「メビウスの殺人」も読んでみようかな。
    今度は、題名にも注意を払って。

  • なるほど、タイトルに答えが・・・。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に『人形はこたつで推理する』に始まる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』などがある。ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作、ヘロヘロQカムパニーの舞台脚本を手がけたことでも知られる。

「2020年 『怪盗不思議紳士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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