- Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061853133
作品紹介・あらすじ
虐殺されてゆく恋人の血まみれの姿を眼前に見せつけられたあげく、命を奪われた少女。その母親は次期副大統領候補と見なされている財界の大物だった。二人の殺害は最近起っている連続アベック殺人のひとつなのか?殺人訓練を受けているCIA内の変質者のしわざなのか?検屍官ケイの苦闘はつづく。アメリカ・ミステリー作家協会賞、イギリス推理作家協会賞受賞。
感想・レビュー・書評
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読書録「遺留品」3
著者 P・コーンウェル
訳 相原真理子
出版 講談社文庫
p54より引用
“ 家はこけら板をはってあり、土台は自然
石で、張出し窓がついている。正面と西の翼
棟に沿ってバラの木が植えられており、モク
レンとオークの古木がその上に影を投げかけ
ている。”
女性検屍官を主人公とした、長編ミステリ
サスペンス小説。シリーズ第三弾。
年若いカップルが家から車で出発するのを
最後に行方不明となった、数年のうちに同様
の事件が続いており、懸命の捜査の甲斐なく、
また新しい現場へと主人公・ケイは向かうこ
ととなる…。
上記の引用は、FBI捜査官・ベントン・ウェ
ズリーの自宅の様子を描いた一節。
まだこの後6行ほどの描写があり、物語の奥行
きを深めます。しかし、読者の想像を掻き立
てるというより、著者の作り上げた世界を楽
しむようにと言われているようにも、感じな
くもありません。論理的で詳細な説明を重ん
じるのが海外の作品なのかもしれませんが、
好みの分かれどころになるのではないでしょ
うか。
自身の恋人との関係や、相棒ともいえる刑
事の家族関係など、生臭い人間味ある登場人
物の描かれ方も、魅力の一つです。
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シリーズ第三弾。
うん。読んでいる。 -
2冊目の読書ノート 1993/9/5~2005/4/30に記載
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検屍官も犯罪捜査の現場に積極的に赴くとは知らなかったのでびっくりするとともに、DNA鑑定の難しさなども描かれておりなかなかシビアな現場なのだと再認識。今回の被害者はほぼ白骨化した死体ということもあり、さらに難しくなる。
前作でも、なぜ死体と向き合う仕事についているかなど、主人公ケイのねじれた性格も深みを増してきているけれど、相棒のおっさん警部とのからみも絶妙。日本でも音道刑事シリーズで似たような関係が描かれていますが、スカーペッタとマリーノ部長の方が断然深みがある。 -
検死官シリーズ第三作。
一作目では10歳だった姪のルーシーが、16歳。
当初はぎこちない関係だったマリーノとはいい相棒になっているし、前作でよりが戻ったマークとは再びすれ違いつつある。
時間は流れている。
相変わらず多方面で活躍し、多忙を極めるスカーペッタに、今回の事件はあまりにも残酷な結末を迎えることになる。
それというのも、肝心なところでいつもスカーペッタは勘が鈍くなって危険区域に入ってしまうから。
政界の大物パット・ハービー。娘が殺され、FBIやCIAが事件の真相を隠そうとしていると思ったとき、彼女は一線を越えてしまう。
彼女を追いこんでしまったもの。
信じられるものがないと思ったときに、彼女は孤立してしまうのだけど、残された二人の息子のことはどう思っていたのかな。
パット・ハービーの母としての無念はわかるんだけど、息子たちは今後誰を信じて生きていけばいいんだろう。 -
発売当時、夢中になって読んだ検屍官シリーズが読みたくなり、3作目を再読。
半ば白骨化した死体の人差し指につけられた小さな傷と、骨から抜き取った弾丸をもとに犯人像や犯行の様子を推理していく検屍官スカーペッタの推理が鮮やか!
前2作と同様、ケイは犯人とすれ違い、危険な状況に陥ってしまう。またもや同じパターンね、と思いつつも主人公が犯人に迫る緊迫感があるから盛り上がるので、そこはご愛嬌。
シリーズが進むにつれてスカーペッタとマリーノの関係が微妙に変化している点も興味深い。
当初マリーノの粗野で無神経ぶりにイライラし、疎ましく感じることが多かったが、二人の付き合いも6、7年に渡っている本作では、スカーペッタがマリーノを温かな眼差しで眺めているのが感じられる。
著者プロフィール
パトリシア・コーンウェルの作品






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