動く家の殺人 (講談社文庫)

  • 講談社 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784061853928

みんなの感想まとめ

ミステリーの魅力が詰まった本作は、歌野晶午の才能が花開いた作品として高く評価されています。シリーズの第三作目であり、名探偵・信濃譲二が訳ありの劇団の公演に関わる中で起こる事件が描かれています。劇中劇の...

感想・レビュー・書評

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  • 前作がどうにも普通だったことを作者自身も反省してか、今作では探偵信濃譲二の死というセンセーショナルな題材を扱って、読者を煽っているのがいい。また劇団マスターストロークの公演に殺人事件が絡むあたりも、1作目のサークルバンド内で起こる殺人事件から発展させた趣向であり、工夫が見られるところも買える。
    そして何よりも題名にある「動く家」が事件に絡んでいるところが前作と大いに違うところであり、しかもこの動く家の特徴を活かしたすれすれのトリックはこの手の細密なトリックが好きな人には面白く思えるものだろう。
    しかしやはり惜しむらくはやはり作者の技術の未熟さがまだ見られ、登場人物が類型的であること。特に劇団という物語に膨らみをもたらす題材を扱いながらも、印象に残るキャラクターが一切いないのは痛い。ただ本作は冒頭で述べたように探偵信濃譲二の死を扱っており、それにより今まで地に足がついたように思えなかった彼に若干ながらキャラクターとしての特色が出たように思える(よく考えると後に作者の師匠島田氏が某作で同じようなトリックを使っている)。

    星1つの加点は非常に個人的な理由による。前2作を読んだ時点も判ることだが、歌野氏は自作に洋楽を絡めており、これが洋楽好きの私には少しばかりお気に入りだった。恐らくペンネームも作者自身が洋楽好きであったことに由来していると思われる。そして本作ではまず劇団の名前「マスターストローク」に琴線が響いた。これはもうQueenの2作目のアルバムに収録されている“The Fairy Feller’s Master-stroke(邦題「フェアリー・フェラーの神業」)”から取ったことは間違いない!なぜなら『白い家~』にはQueenの“Is This The World Created?”の歌詞が引用されていることからも、歌野氏がQueenファンであることは窺えるからだ。
    また作中で扱われる歌が私の大ファンであるThe Policeの“Every Breath You Take(邦題「見つめていたい」)”だったこと、そして作中でこの歌に関する述懐が非常に的を得ており、私の心に響いたことが大きい。これのみで加点した。

    とどのつまり、小説とはそういうものなのだと云える。読者も多種多様で作品のどこに惹かれるかは人それぞれだ。今までの歌野作品は無難にミステリし、無難に小説していた。だから印象に残らなかったのだ。こういうケレン味とまではならないが、サムシング・エルスを読者は求めているし、さらに云えば、感想も作品の出来・不出来だけに留まらずに話題が膨らむことも小説が内包す
    べき魅力だと考える。

    あと非常に上から目線の意見で恐縮だが、未熟ながらも何とかしようという努力が見えるのが好ましい。今まで私も彼の作品に関しては酷評しているが、それなりに彼を買っているのだ。正直に云えば、それは彼を推薦した島田氏を信じていたからだと云える。我が尊敬する島田氏が見出したからには何か光る物があるに違いないからだと思ったからだ。一人の作家が成長し、世に認められるようになる、その過程を共に歩んでいるような気がした。いわゆる下積み時代のバンドやお笑い芸人をファンが育てている、それに似た気持ちで彼の諸作を買い続けているようなものだ。その後、数多の新本格ミステリ作家が現れては消えていったが彼は生き残り、幸いにしてそれは数年後、真実となった。

    この後、信濃譲二シリーズは短編集が刊行されてからは新作が発表されていない。多分もう歌野氏はこの探偵を使わないだろう。私はその決断をよしとする。なぜならこの3作の後に読んだ作品の方が読ませるからだ。次からは私が読んだ歌野氏のノンシリーズの2作について触れたいと思う。

  • これぞ歌野晶午!と叫んだ作品。
    シリーズ3作目にして
    才能開花したんだな、と感じた。

    こんな上質なミステリーの
    内容を語るのはマナー違反なので
    書かないまでも ひとつだけ。

    劇中劇の台本は 本当に
    上演してほしいくらい
    よい出来でした。

    あとは とにかく楽しんでください。
    ただし シリーズ第1作「長い家の殺人」
    第2作「白い家の殺人」を必ず読んでから。

    さて私は 歌野さんの他のシリーズに
    とりかかるとしますか。

  • 「動く家の殺人」歌野晶午◆名探偵・信濃譲二は小さな劇団の手伝いに入るが、訳あり劇団の訳あり公演初日、事件は舞台の上で起こったー。派手なトリック、二転三転、というのはさすがなのですが、突っ込みどころが目立つ気がしました。テンポは良く、読んでいて楽しくはあります。シリーズ第三弾。

  • 信濃譲二君が何となく弱気で、いつものキレがないと思っていたら...そういう理由だったのか。
    森博嗣氏の「笑わない数学者」のパロディか?

  • わりとオーソドックスな推理ものなのね、と思いながら読んでたけど、やはり歌野作品。何重にもどんでん返しが。後半は続きが気になりすぎて睡眠時間が削られました。ラストシーンはとても切ない。

  • 歌野さんのデビュー作かな?

    高校の時読みましたが、ドラえもんが秘密道具で事件を解決するのならば、この作品の探偵役の信濃譲二(漢字違ってたらゴメンナサイ)はマリファナ吸って解決するっていう異様な作品

    楽しかったですよ

  • 正直、長い家の殺人は結構我慢しながら読了。
    話は面白いけれど、一文一文が説明臭くてしんどかった。
    それでも、次に何か来る予感はあり。シリーズ2作目『白い家の殺人』1作目よりはスムーズに読み進められて、予感が徐々に確信へ。
    で、『動く家の殺人』
    申し訳ありませんでした。1作目を我慢だなんて思って本当に申し訳ありませんでした。
    3作品を読んで完了!!と言うか完成!!

  • 動く家=それがトリックのイメージあったけど・・・・・・・・・だった。

  • 最近の文章を読み慣れていた所為で、読了に時間がかかった。
    これは一人称というだけでは説明できないと思う。

    ジョージシリーズは本作で完結という事だが、個人的にはこのシリーズを捨てた事を是としたい。探偵が個性的なのに何故か後の印象が薄い。歌野さんはキャラ立ちするタイプではないと勝手に思っていて、とにかくトリック・構成、最近では素直で読みやすくなっている文体で読ませてしまうが、本作でもその構成の妙はあり。
    歌野さんのルーツを知る上では読んでおいても損はないかと。

  • 徹がインドにいっている間に信濃が殺された―。
    殺される前、信濃はミニ劇団<マスターストローク>に制作で参加していた。
    しかし本番初日に衆人環視の舞台上で俳優が刺される。
    そして落日にはまたもや舞台上でもう一人が刺殺。
    信濃は真相を見出すことができたのか。

    歌野さんの家三部作、第3弾です。
    わたしはちょっと楽しめませんでした。
    小劇団が舞台ということもあり、劇中作や舞台裏の話がよくでてくるのですがそれらがよくわからなかったという点。
    それとやっぱり事件の真相がかなり肩透かしでした。
    なによりメインの仕掛けがすぐわかりましたから。ゆーか、みんなそれは疑うでしょう!
    出された当時(12年前)は斬新だったのかなぁ。。。
    カーテンコールの余韻は好きですが。
    なのに本3つなのは以下のとおりです。


    <以下、ネタバレあります!>









    先に他の作家さんの某作品を読んでいたので、探偵の死には懐疑的だったのですが、やっぱりね~、でした。
    でも正体については納得!!
    そして、本・信濃が大麻でパクられたのには笑いました!探偵役なのに~。
    そうそう、悪いことをしていてはいけないのです。
    う~ん、でもやっぱり殺人の真相があれでした、というのはミステリとしてはどうなの?

  •  3作目にしてシリーズ終了。シリーズ化の安定感よりも不自由さをとった潔さ。そう来なくっちゃおもしろくない。信濃譲二が死んだ――という衝撃の一文。そして続く、信濃譲二を主人公にした別の物語。まさに、別の物語である。ひっくり返され続けるトリック、とっかえひっかえされる犯人。さてさて。

     トリックは、だれをだますものなのか? 登場人部たちなのか? いや、それだけではない。読者をも気持ちよくだまし続けるのがトリックなのだ。歌野晶午は、用意周到にして謙虚に嘘を重ね続ける。それでいて、物語に空虚さは与えない。自分が自分として生きることを問う。

     信濃譲二が信濃譲二であることを一之瀬徹が知っている。それが、処女作から付き合い続けた名探偵への別れとも見えるのだから、もちろんこれが贔屓目な見方であるとしても、歌野晶午は真摯な作家だと思わざるを得ないのだ。好きだ!

  • くそー、タイトルに騙された。
    この作者の作風やトリックの作り方も忘れてしまっていた。
    まだまだ未熟だ。

  •  本棚の奥から出てきたミステリばっか読んでたときの遺物。せっかくやから読んだ。思ったよりもひどくなかったので安心した。期待値が低いだけで叩く気がぜんぜん出てこないので、これからはすべての本を期待せずに読めばいいんやなぁと思った。

     つまらなかった。ただ、なんというかな、普通につまらないだけで、なにかが決定的にくそというわけではない。『長い家の殺人』を念頭においていたから、案外普通のミステリやっていて安心した。ミステリ部分についてはお粗末なところはあるけれど、まあそれなりに作っているんじゃないかなぁ。頑張っていくつも捨てトリック使ったわりに真相があまりにも下らないという点が、強いて言えばいちばん気になったかな。散漫だったので、もう一回ひっくり返して綺麗にまとめたらいいのに、と思ってたんやけど、最後の15ページくらいが完全に無駄に使われていてげんなりした。

     ということで、これが死ぬほどつまらなくなっている理由は物語の方にあります。キャラの語りは滑っているし、魅力もない。話の流れ自体にも「舞台」以上の意味がない。どこにも入っていけない。下手に書き込んでいたりするので目も当てられない。100ページの短篇にまとめていればこんなにイライラさせられないですんだだやろうに。もうちょっといろいろ作りこまないととても「エンターテイメント」にはならない。

  • 別に、葉桜の季節がめっちゃ気に入った!!ってワケでもないんですけど、なんも考えんと手に取ったのが歌野さんだった。<br>でも面白かったですヨ。ていうか、歌野さんは同じような構成が好きなんだろうか、と思ったんだけど。ていうとネタばらしになるだろうか。<br>とりあえず主人公の男の造型も似てる。

  • 信濃譲二シリーズ第3弾。
    マリファナを吸うという面白い探偵。
    今回は劇団の製作バイトをする信濃譲二が事件に巻き込まれる。
    最初からいろいろ違和感があって,読めてしまう。
    展開が強引すぎていまいち…。狙いすぎたのかもしれない…。

  • 「家」シリーズ三作目。本格ぽくて面白い。

  • /?day=20070704

  • 2007年10月24日読了

  • 信濃譲二シリーズ
    劇団の制作として参加した「信濃譲二」。劇団でかつて起きた事故で死んだ女性。死んだ女性の父親が作った劇場での追悼公演。小道具のナイフがすり替えられ起きた事件。そして公演続行中に起きた同じすり替えによる刺殺事件。

     1997年9月11日購入

     1997年10月4日初読

  • 「〜の家」シリーズ三作目

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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