東洲斎冩楽はもういない (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061854819

作品紹介・あらすじ

謎の絵師冩樂の正体さがしは、これまでスリリングな謎ときゲームであった。しかし原点となる作品と資料、内外の研究文献を冷静に考証すると、そこには動かしがたい結論が出現していた。在野の異色コンビが色メガネぬきで膨大な材料と写楽作品等を綿密にチェックして描き上げた、驚異の歴史謎ときゲーム。

感想・レビュー・書評

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  •  うわ〜、難しい。

     文献を丁寧にひも解いていく研究って、こういうことなんだな〜。
     半分もわからなかった。


     島田荘司の写楽本を読んでから、これを読んだけれど、両者は全く違う結論に行きついている。


     ものすごく端折って、ポイントだけ言うと、明石散人は「とうしゅうさい」という読み方は間違いで「とうじゅうさい」が正しい、ということを、いろんなところから論拠を引っ張ってきて証明し、ある人物に行きつく。
     そして写楽の漢字の意味を解き明かす。「写」と言う漢字がポイント(パソコンじゃ変換できないから説明できない)


     鍵となる資料は、写楽研究の端緒となったクルトによる「SHARAKU」
     日本人研究家はこの本の記述をあまり尊重しないようだが、著者は、写楽の正体なんてこの本で完結しているじゃないか、というスタンス。


     すなわち「斎藤十郎兵衛」写楽説だ。
     
     あれあれ? そんな説を出しちゃったら、写楽別人説の方々に鼻で笑われちゃうんじゃないの?と思われてしまいそうだが、論理の破たんがどこにも見当たらない。(こんなこと言えるほど内容を理解していないけれど…) 


     あまりに難し過ぎることを著者も理解しているのか、最後の章で、すべて解説している。
     なおかつ巻末には高橋克彦による解説がある。これを読んで、やっと本の内容が理解できた。


     島田荘司がこの本に全く触れていない意味がわかった。
     反論するには途方もない労力が必要だろうし、そもそも反論できる人がいるのかどうかもわからない。こういうときは無視するに限る。



     これからも写楽の正体を探る研究本は出るだろうけれど、たぶんこの本は無視され続けると思う。
     


     

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著者プロフィール

1945年東京都築地生まれ。作家。その博覧強記ぶりをかわれ、故・池田満寿夫をはじめ多くの作家、政治家たちのブレーンとなっている。著書に『東洲斎写楽はもういない』『二人の天魔王』『龍安寺石庭の謎』『謎ジパング』『ゲーム』『七つの金印』『日本語千里眼』など多数。

「2020年 『二人の天魔王 信長の正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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