- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061855175
作品紹介・あらすじ
妻と病室の窓から眺めた満月、行方不明の弟を探しに漕ぎ出た海で見た無数のくらげ、高校生に成長した娘と再会して観た学生野球……せつなく心に残る光景と時間が清冽な文章で刻み込まれた小説集。表題作の他「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」と名篇を収録し、話題を呼んだ直木賞作家の、魂の記念碑。
感想・レビュー・書評
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あとがきに久世光彦氏が「不良の文学、または作家の死」というタイトルで寄せている。その中で松井邦雄氏を「知識や経験を身につけ、感じることに時間がかかった分、それを表現する時間を失ったのである」と評していた。人間の寿命にも触れているのだが、表現者の時間配分の難しさを感じた。
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自分には全く無い無頼が伊集院さんにあるのは以前読んだエッセイで分かっていた。
この物語の主人公は全て伊集院静で私小説とも思ったが、多分違う。 -
伊集院静さんの作品は初めて。短編だったから、スイスイ読めた。僕の年代だと、ギリギリ情景が浮かぶし、なんとなくキザな感じがおしゃれ。とってもいいフォークソングのアルバム聴いてるみたいでした。
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夏目雅子さんへの想いが詰まっている。愛ですね。
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「乳房」の里子の病気が快方に向かうといいなと思う。闘病する里子に対して、見えないところでも里子へ誠意の忘れない下川が切ない。酒も飲みにいかない、他の女性とエッチなんてもってのほか。いままで出鱈目だった人でも、妻がいなくなるかもしれないと思ったら三郎の言う善人になるのかもしれない。悲しいことだがオイラは愛が永遠とは思っていない。親子はそうかもしれないけど、男と女はそもそも他人同士で血がつながることはない。夫婦という制度がなかったら果たしてどれだけの夫婦が生涯をともにするんだろう。青臭いくらいの純情を持つ下川と里子が一緒にアパートへ帰る日が来ることを望んでやまない。
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どこか不器用な、そしてどうしようもない蓄積を抱えながら生きてきた大人の断片を切り取った短編集。
シンプルな文体の中に、複雑系な人間の機微、やるせなさなどが描かれていて余韻が楽しめるというか、行間の美というか、中々楽しめました。 -
★2009年1月22日 7冊目『乳房』伊集院静著 評価B
決して悪い作品ではないのだが、インパクトがないかな?!
くらげ、乳房、残塁、桃の宵橋、クレープなどの短編
離婚して離れ離れに暮らしていた男親が十数年ぶりの中3になった娘に会う時の微妙な心理を描かれている<クレープ>がGOOD。 -
短編集。「残塁」と「桃の宵橋」が印象深かった。どの話も最後にオチのようなものはなく、静かに終わっている。それが大人の小説というものかと思う。個人的にはオチのようなものが付いた話が好きなのだが。
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知人の勧めで読了。
「くらげ」
「乳房」
「残塁」
「桃の宵橋」
「クレープ」
著者プロフィール
伊集院静の作品





