- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061856059
感想・レビュー・書評
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エッセイ「台風」が良い。いじめっ子論も面白い。また、非行の低年齢化に関して、「低年齢の男の子の恐ろしさは、簡単にそこに生命を張ってしまうところにある。自分しか見ていないからだ」とした後、「ここを抜け出るにはいわば男の美学の進化しかない。もっと高度のダンディーズムニ移行するしかない。ある日、自分の鏡に映った姿が見にくいと感じた瞬間に、非行は終わるのである。」とある。蓋し達見。また、「昭和初年のはやり歌は、歌詞といい曲といい退廃そのものである。その退廃しきった唄を、くすんだ軍服のむさい男たちが、飯盒の中子で酒を飲みながら合唱する切なさは今も私の胸底にある。」この文章も著者の資質を鮮やかに示す。
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随筆。
一夢庵風流記の主人公を作った人は、どんな方だったのか興味を惹かれたので。
読んでみて、自分の中にある理想像に時代小説の皮を被せていたのだろうと思った。
ご本人もさぞかしさっぱりした方だったのだろう。
あとがきの内容が、この文章集の中で一番気に入った。
P206
「どうして時代小説ばかり書くんですか」
この頃よくそう問われる。
私の答はきまっている。
「死人の方が、生きてる人間より確かだからでしょうね」 -
時代小説に関わらず広範囲な内容を作者の好みで取り上げている。
読みやすいし内容も誠意があって嫌みがない。
続きが読みたいが残念だ。 -
戦国武将についての分だけさらっと再読。武田信玄は無念の人として描かれる。同時代に上杉謙信がいた不幸。その戦いに12年も費やしたこと。甲斐を愛しすぎたこと。親を追放し、子を殺したものと言われ続けたこと。駿河に本拠を移せなかったこと。上洛をめざし果たせず、最後は甲斐にたどり着く前に死んだことをとりあげて。北条氏康については、相続、領土、国人との関係で恵まれていたが、逆にそれが甘さとなり、信玄や謙信の苛烈さが足りなかったのではないか、と。ただ、早雲も氏康も、野心満々たる行動と捉えられるいくつかの点も、民のために、萬やむを得ずというふうに私は考えたい、と語る著者の筆に思い入れをかんじとる。
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「編集者の頃」小林秀雄の思い出。酒が入ると毒舌をふるい、ベテラン編集者さえ泣かせてしまったという。
「叡山焼亡」「織田信長」比叡山の焼き打ちと一向一揆時にジェノサイドを断行した信長についての考察
「武田信玄」、「北条氏康」他若干のエッセイ
ドラマも含め、彼の作品を読むのはこれが初めてだが、歴史上の人物のとらえ方が実にいい。これならドラマが面白くないはずがない。 -
エッセイ集。
織田信長の評論なども確かに面白いんですが、それ以上に、「救急車をタクシーと思うべし」や「教える罪」など、作者本人の語りの方が、隆慶一郎作品っぽくて良かった。 -
08mmdd読了
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既読本。
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時代小説家、隆慶一郎のエッセイ集。
氏の人生観が余すこと無く書かれた名随筆。
今後も何度か開くであろう本。
アマゾンの隊長さんのカスタマーレビューも是非読んでもらいたい。
隆慶一郎の作品





