今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3860
レビュー : 478
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856271

作品紹介・あらすじ

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような…。アルコールにとりつかれた男・小島容が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • おそらく4回くらい読んでいる。

    とことんダメ人間な僕にもそっと手を差し出してくれるような、そんならもさんのどこか優しい物語が好きだ。

    今となってはとても古い小説だけど、色褪せることがない。
    巻末の刷数を見て、この本売れたんだなぁとか思いながら、
    同時に悲しさと寂しさも感じた。

    僕はお酒は全く飲めないけれど、いい小説だなぁ。

  • アル中男の独擅場。泥臭くて、傲慢で…ああ、こんな小説が好きだと言ったら自分の性格を疑われそう

    赤河医師がいい。
    終わり方もすてき。


  • ほろ酔いの中、読み終わった。
    アル中のおはなし。

    沈んで、沈んで、底について、見上げる。
    首が痛くなるくらい遠くて、光すら届かなくて、苦しい。

    道が横にも、ナナメにもつながってることに気がつくのはまだまだ先のことなのだろう。

    沈んでいったそこにも世界があって、道がある。

    ここにいるからこそ死ねる。

    今日はもう少しお酒を。それが何になるとしても。

  • >「自由」というのがどんな手触りで、いかなる気配のものなのか、おれは知らなかった。

  • 自身のアルコール依存症の経験をもとにした小説
    安いトリスウイスキーを飲みながら読みたい

    かなりおしゃれな題名だが主人公はアル中患者
    アルコール依存症に関する資料が詳細に引用されていたり
    禁断症状による幻覚もとてもリアルで
    酒飲み人間には勉強になると思う
    文章からもアルコールに酔った臭いがするのに、どこか醒めた視点の小説
    酒を飲まない人にはおそらく酒に溺れたダメな男の物語

    「社会生活が問題なんですよ。一歩病院を出たら、飲み屋やバーや自動販売機だらけなんですよ。病院の外はね、アルコールの海なんですよ」


    病院で出会った他の患者や、担当の医師との会話でアルコールについて一緒に考える

    クライマックスの『アルコホリック家族とネットワーク・セッションによる援助・症例(一)』という資料
    アル中患者が周囲にどれほどの悲劇を生んでしまうのか主人公は思い知る
    それがきっかけで退院し、トリスバーでミルクをストレートで頼むラストはとても感動的だった。

    お酒はほどほどに。

    • のぞみさん
      らもさん好きです。
      私の身近にアルコール依存症の人が居るので興味深い内容でした。
      時々コミカルだけど内容に深さがあるよね
      考えさせられます
      らもさん好きです。
      私の身近にアルコール依存症の人が居るので興味深い内容でした。
      時々コミカルだけど内容に深さがあるよね
      考えさせられます
      2013/05/26
    • yuzlogさん
      >のぞみさん
      一時期ハマってエッセイや小説をいくつか読みました。リアルタイムでは知りませんが、中島らも、すごいですね。

      博学でいろんな視点...
      >のぞみさん
      一時期ハマってエッセイや小説をいくつか読みました。リアルタイムでは知りませんが、中島らも、すごいですね。

      博学でいろんな視点を持っていて、でもそれをひけらかすことなく笑いにしてしまったり。この人の頭の中は一体どうなっているのだろう…。
      2013/05/27
  • 中島らもが読みたくなって久しぶりに手に取った。最初にこの作品を読んだのは高校生の時かなぁ。すごく魅力的な文章があり、忘れられない作品。なんだけど、ラストは私の好みではなくて星3つ。ドラマティック過ぎて、あぁ、シラケる。正直な感想。でもこういうのが、らもさんなんだなとも思う。そしてこうして読み返してみると、やっぱり乾燥した美しい文章があり、一番イヤな湿度を孕んだ会話がありほっとした。でも、今回読んで新たに気がついたけど、主人公の頭の良さはらもさんの頭の良さそのままなんだけど、物知りな感じが鼻について好きになれなくなってた。こういう人を現実で知ってしまって好きじゃなくなって、今に至る。次に読む時は何に気がつくかなぁ。

  • ずっと前、そう学生の頃だったかな、今宵すべてのバーでという本を読んだ(まちがった)記憶があって、古書店でこの本を見つけた時に「今夜」?と思いながら購入しました。
    中島らもさんの「明るい悩み相談室」はたのしみに読んでいた連載でした。この本のはじめの部分のアルコール中毒の記載には、ワタシにもあてはまる部分が多くてどんどん読み進みました。そだね〜こんなことあるね〜と自分を戒めながら、アル中の行く末について思いを馳せた次第であります。

  • 夜ごと飲みくだすウィスキーは、心にあいたその穴からことごとく漏れてこぼれ落ちてしまうのだった。

  • 既に500件近いレビューが有るので箇条書き。
    ・著者のアルコール依存に関連した入退院を軸にした記録的エッセイ、かな。
    ・脚色してないか?と思うほど個性的な面々が登場する。
    ・"小説を読んでいる"気分になるが、事実なんだろうなあと思い直すことしばしば。
    ・自分も精神的にはアルコール依存なので他人事ではない気もするが、比較にならない。

  • 実はまだ、中島らもさんを読んだことがなくて…と言ったら、まずはこれから、と勧められたのがこの作品。その人は正しかったと思う。
    アルコール依存症の治療が題材ながら、悲壮感なく皮肉混じりに淡々と、後半にはちゃんとずんと響く展開も用意されていて、さらっと、でも楽しく読めた。何度も繰り返し夢中になるというタイプではないけど、これからもふとした時に手に取りそう。

  • アル中怖い。ほんと怖い。
    アル中以外も、描写のリアルさ?がすごい。
    読んでいて気持ち悪くなった。

    お酒好きだけど、これ読んだ直後に楽しく飲めるかは自信ないなぁ。

  • オレにとって酔っ払いの小説といえば、ブコウスキーなんだけど、らもさんの話は、日本人だし、同時代を生きてた人だし、あまりにも状況が分かりすぎて、逆に居心地が悪い。

    らもさんは若い頃からドラッグもやってたし途中からは酒を浴びるほど飲んでたから、アル中になって死ぬというのは、ある意味では、彼が選んだ人生だったんではないだろうか。

  • アルコール中毒者である自身の入院体験をもとに書かれた作品。淡々と、それでいて論理的に自身を見つめる文章はなかなか無いのではないだろうか。

    「答えるということは、自分の人格を見せるということだ。」この一言には共感する部分が多々有り、頷きたくなった。

    そして、綾瀬少年が亡くなり、主人公と医者が酒に酔い舌戦を繰り広げるシーン。涙か出そうになった。「この盃を受けてくれ どうぞなみなみつがしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ」。作中に登場する井伏鱒二の言葉が、この作品の本質を描いている。クライマックスの一言に、こころが満たされてゆくのを感じた。

  • まだ頽廃的なものや過激な言動に憧れていた頃、ロックミュージシャンの歌詞やインタビューなどは鋭さがないと面白くなかった。時間が経ち当時好きだったミュージシャンがラジオで『今度のアルバムはどんなにアルバムですか?』と聞かれ『鋭いね』と答えるの聞いて、『こいつは変わってねぇな』と憧れと嬉しさと、何か寂しさを感じる。何かは説明するのが難しい。当然自分が変わった事への寂しさではない。

  • どこまでもアル中の小説。巻末に掲載されている山田風太郎と中島らもの対談によれば、ほとんど実話だそうだ。とても中島らもらしい。そんな物語の中に、17歳の少年を助けられなかった医師が「なんとか助けたかった」と、その遺体の傍でアル中治療中の主人公にくだを巻く場面が出てくる。とても切ない場面だ。これこそが中島らもの本音だったのだろうと、勝手に想像する。

  • 理屈っぽくて、
    自分がいつも本質を見抜いていると勘違いしている、
    孤独だと思っているナルシストのアル中話。

    まるで自分だと思うこと、
    それ自体に反吐が出るような作品。

    時に人は、
    何かに気がつかねばならないのだろう。

    戸塚の駅ビルに入っている本屋で、
    午後3時に酔っ払って買った一冊。

  • 初中島らも作品。

    おもしろ!読みやす!
    これはハマるかもしれんです。

  • 20年前に勧めてくれた友人Y君、
    10年前に勧めてくれたK店長、
    その時これを読まずに京極堂とかガダラの豚とか
    混ぜっ返して他の物読んでしまってすみませんでした。
    今なら、この一冊を酒の肴に楽しく語り合えると思います。
    ありがとう、やっと読んだけど、
    語り合えるあなたたちがもう居ないのが残念でなりません。

  • 大切な人への一冊。

  • 中島らもなのにすごい現代小説っぽいあっさりとしたキレイなお話だった.最初の方はアル中やらクスリがばんばん出てきてたのにかなり専門的なことまで出てきて勉強になりそうだった.オチもキレイ

  • どこか切ない印象のあるタイトルに惹かれて手に取った本。

    主人公がなんともひねくれているというか、斜に構えた印象で、そういった視点からの物言いが面白い。ハードボイルドっぽい気もするが、そこまで主義に固執しているわけでもなく、かといってナヨナヨと生きているわけでもない。友情に示しをつけている面もある。

    個人的に、酒が好きな人に是非読んでほしい!という感じではなかった。むしろこれは飲まない人でもムシャクシャしてて、やり場のないときに読めばなかなか楽しめるのではないか。読みやすく、「体力のいる」小説ではないし、主人公の感じが痛快でもあるので、息抜きに読むにはとてもいい。

    いろいろな文献を引用・参考にはしているが、堅苦しくなく(これは作者が心がけていたことのひとつであると思う)、知識をひけらかす、というものでももちろんなく、主人公の性格、知識として、つまり作品として「消化」されているので、すんなりと受け入れられる。そのうえでの作者(もしくは主人公)の意見もシャレが効いていて面白い。

    最後に、これが個人的に一番評価したいところが、ヒロイン(的な位置にいる人物)、さやかとの関係に最後まで決着が着かなかった、というところ。「ボクは入院して、お酒をやめて、公私ともにめでたく成功しました。お酒は身体によくありません」というような、いい子ちゃんで終わらなかったのはとてもよかった。

    最後、バーではミルクを頼んだのだが、それは(ここでは省略するが)亡き友人への主人公なりの筋の通し方であって、その友人の妹であるさやかへの慕情でもあり、決して上記のような動機ではないと思う。その慕情も果たされたのかそれとも……と含み、遊びをもたせて終わらせてあるので、果たしてめでたいのかどうなのか。めでたいのだろうが、「いい子ちゃん」的なめでたさではなかったので、とても好感を持てた。

    ということで、とても楽しく読ませてもらいました。

  • タイトルに惹かれて読むことにしたのだけれど、バーの話ではなく
    アルコール依存症のお話でした。

    わかるような気がする、と思う気持ちと
    わかったらまずいんじゃないか、と思う気持ち。

    ところどころ、印象的で衝撃的なフレーズがでてきて
    酒飲みである自分にとっては面白かったのだけれど
    同時に恐ろしくもあった。

    最後のシーンがなんだか、とても好きだ。
    それこそが酒を飲むということの、なにかに依存するということの
    魅力的で悪魔のような幸福感に満たされるような、
    快楽と苦悩をアルコールを用いずに表現しているようで
    なんとも気持ちがいいのだった。

  • 悲しいけど素敵なお話である。

  • 中島らもの自伝的アル中小説。
    これをバーで読むと背徳感を味わえる(笑)

    主人公だけでなく、入院した病院の同室の患者や担当医、死んだ友人など、登場人物が濃すぎて、そのエピソードも面白すぎて、どんどん先に進みたくなる。
    起承転結もはっきりあって、夢中で読める小説。
    どちらかというとファニーなストーリーの一方で、合間に挟まれたアルコール依存症に関する資料的なパートが、リアリティとシリアスさを加えていて、全体のバランスが取れているように思う。
    ところどころ深く考えさせられるフレーズもあって、いろいろな要素が詰まった作品。

    ちなみに、作中に出てくる、久里浜式アルコール依存症スクリーニング・テスト、2点以上が「きわめて問題多い(重篤問題飲酒群)」のところ、わたくし9点でした。。。
    気をつけないと。

  • 酔っぱらいながら思い出す本。作中に出てくる幻の酒「歓びの液体」一度味わってみたいものです。

    エンドレスドランカーの放浪記です。
    「乾杯(スコール)」
    きっとその最後の一杯に辿りつくために飲んでいる。

  • 今はなき中島らも氏の本の中で、最も感動した一冊。
    恐らく自身の経験と思われる、アル中について赤裸々に書かれている。
    深刻な内容にもかかわらず、ユーモアーを交えて書かれている。
    アル中についてとてもリアルに知ることが出来るだろう。

  • 綾瀬少年の遺体を前に酒を酌み殴り合う赤河医師と小島のくだりは歴史に残る名シーンだと思う。

    「なんで子供のうちに死ななくちゃならんのだ。つまらない勉強ばっかりさせられて、嘘っぱちの行儀や礼儀を教えられて。大人にならずに死ぬなんて、つまらんじゃないか。せめて恋人を抱いて、もうこのまま死んでもかまわないっていうような夜があって。天の一番高いところからこの世を見おろすような夜があって。死ぬならそれからでいいじゃないか。そうだろ。ちがうかい」
    「その二十年をくれてやれよ。そしたらこの子は、二年後に死ぬあんたと同じ三十七まで生きられる。くれてやれよ、それを」
    「なんでこの子がここに寝てて、きさまが酔っ払って表で酒を飲んでるんだ。ここに冷たくなって寝てるのは、きさまでなけりゃならんのだ。さぁ、その子にきさまの腐った二十年をくれてやれっ」

  • 「…なんで子供のうちに死ななくちゃならんのだ。つまらない勉強ばっかりさせられて、嘘っぱちの行事や礼儀を教えられて。大人にならずに死ぬなんて、つまらんじゃないか。せめて恋人を抱いて、もうこのまま死んでもかまわないっていうような夜があって。天の一番高い所からこの世を見おろすような一夜があって。死ぬならそれからでいいじゃないか。そうだろ。ちがうかい?」

    ここが好き

    少年漫画のような読後感(内容は決して軽くない)
    小説を読んではじめてこんなにすっきりしちゃった、あまくない甘口サイダー

  • 酒 退廃的なところがよかった
    現実と抽象と狂気のところに賛成

  • 病院に出てくる患者や赤河医師の人柄が小島を変えていく様が良かった。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。'92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞、'94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞を受賞。
主な著書に、『明るい悩み相談室』シリーズ、『人体模型の夜』『白いメリーさん』など。2006年7月に短編集『君はフィクション』を刊行。2004年7月逝去。

「2014年 『ロカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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