暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2320
感想 : 202
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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856943

作品紹介・あらすじ

さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。


さらし首の名所暗闇坂にそそり立つ樹齢2千年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ?近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とはなにか?信じられぬ怪事件の数々に名探偵御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨をきわめた。本格の旗手が全力投球する傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 読み応えのある作品だった。
    解説にもあったが、旅行・食事・音楽等色んな側面からキャラクターを知れて、深みが出たのが良かった。御手洗、石岡君、特にレオナは最初と比べてすごく素敵なキャラになったと思う。
    トリックより人物が魅力的にうつる作品として、印象的だった。

  • 御手洗シリーズ6作目。
    レオナ初登場。
    彼女の一家が巻き込まれる。
    性癖や気質は治そうと本気で取り組まないと治せないよなぁ。
    今後レオナはどう物語に絡んでくるのか楽しみです。

  • 故・殊能将之の『キマイラの新しい城』を読んでいたので〈巨人の家〉に関するトリックは見取り図を見た瞬間に判ってしまった。読む順番って大事。屋根に馬乗りになった死体と、犬神家の大楠ヴァージョンみたいな死体の真相に至っては、犯人の意図でないという点において、のちの『夏と冬の奏鳴曲』足跡トリックを先取りしている感がある。これって出版された当時の評判とかどうだったんだろう? 結構な問題作だと思うのだが。

  • 面白くてこれも結構一気に読んじゃいました

    冒頭のスコットランドの怪奇小説とも思える話から始まり、大楠の怖い伝説などグロくて伝奇的な部分が多くてそういうのが大好きな私にはたまりませんでした
    それらが最後には見事に繋がってくるのがすごいと思った

    でも、殺人のトリックは完璧にではなかったですがうっすらとはわかりました
    巨人の家なんかも見てすぐピンときたし

    でも、動機とかペイン氏については「なるほど」と思うところもあって結果的にはすごく面白かったです


    個人的にツボだったのは石岡くんにいい景色を見せたいために電車に乗る御手洗さんや、パンを持ったままかけだしてしまう石岡くん
    お互いを大事にしてるんだなあと

  • 大胆なトリックと、おどろおどろしい空気感。懐かしの新本格だ。

  • さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。

    正直、ミステリーというか小説であった。トリックに注目が集まるが、トリック自体は大したことはないと感じた。
    御手洗の活躍と捉えてみるとなかなかの作品でした。
    レオナはまた登場するのかなど、期待する部分もある。

  • 例によって、誰かが机の上に置いてった本。
    見た瞬間、「う~ん。やられた…」と(笑)
    本格物、中でも新本格といわれる小説は嫌いwで、なおかつこの厚さ。
    「誰だよぉ~、こんなの置きやがったの…」と思ったのだが、まぁその手の嫌がらせはお互いさまなこともあって、あきらめて読み始めたら……

    なんだよ、これ!面白いじゃん(笑)
    なぜか一つ一つの文章に必ずといっていいくらい余計な単語が入っていて表現がくどいのに、なぜか読みやすいという不思議な文体。
    話のテンポもよく、「島田荘司って、新本格のイメージだから敬遠していたけど、意外とめっけもんかも!」と。
    そんなわけで、話はあっという間にスコットランドに。

    このスコットランドのくだりがまたよくって、「いやぁー、島田荘司、全然いいじゃん!他はどんなのあるんだろ?」なんて。
    アマゾンだのブクログだの、チラチラ見てみたり(笑)
    ところが……

    まぁ本格物、中でも新本格はファンのためのファンタジーだと思うんで(笑)
    「そんなことあるわけないと思うw」とか、「そんなこと出来るか!w」なんてツッコミを入れるのは野暮なんだろうけど、それにしても…
    (まさにバブルの時代のバブルなトリック!w)

    スコットランドに行ったことで、真相が明らかにされる中、レオナに事件の連絡が来て、御手洗が「しまった。一歩遅かった…」みたいな。
    そういう悲劇のストーリーではだめだったんだろうか?
    スコットランドからの帰り道、御手洗が2人に真相を明かすシーンと例の「手記」それぞれを交互に展開させて終わりとすれば、全然読み心地のいい話になったように思うんだけど…。
    そうならなかったのは、著者としては、やっぱりその後のゴテゴテした猟奇趣味を書きたかったってことなんだろうな。
    でも、猟奇性というのは所詮刺激で、刺激というのは慣れてしまうもの。よって、時間が経てば陳腐でしかないわけで…。

    そうそう。猟奇趣味という点では、どこか『悪霊島』に似ているような?
    見ると、これは90年。『悪霊島』は79~80年連載とあるから、ある程度影響があるのかな?
    影響という点でいうと、まさに大クスなんだろう。
    紹介されていた、各地の大クスを見てみると、洞が人を喰うなんて発想が湧くのはわかる気がするし。また、例の木のトリックも、たぶん実際に見ていて、そんな風に見えたのかもなーなんて思った。

    面白かったのは、後半「怪奇美術館」の章で出てきた、「日本人形」に対する登場人物(石岡、というか著者)の認識。
    今だと「日本人形」はどこか薄気味悪いというイメージを抱く人が多いように思うけど、この時代(小説では84年)だと、“愛らしい人形たちが姿を現した。日本人形のようだった。もっと不気味なものの出現を覚悟していた私は、ずいぶんと安堵した”だったんだなぁ…。
    自分自身の記憶だと、その頃はもう薄気味悪いものと思っていたような記憶があるけど、もっと上の世代である著者だと、まだまだ“愛らしい”普通のものだったのだろう。
    そう考えると、今よくある日本人形の怪談なんて、それを不気味だと思うからこそ生まれるものなんだろな(笑)

    あの頃と比べて変わったという点では、舞台がスコットランドに移ってから語り手である石岡がしきりと言う“イギリスは(日本と比べて)田舎に感じられる”のが、今読むと何か皮肉だよなぁーと(笑)
    84年といったら、イギリスは「英国病」真っただ中な頃。
    反対に、日本はバブル景気はまだだけど、西欧から「ウサギ小屋」だの「エコノミックアニマル」などと揶揄されるくらい経済で世界を席巻していた頃。
    それが今じゃ、丸っきり逆だもんなぁ…。
    つまり、あの頃「英国病」なんて揶揄されていたイギリスが復活を遂げたように。今や「日本病」に罹った日本だって、いくらでもやりようがあるってことなんだろうな(笑)

    ★の評価は、後半があまりにもだったので2つとしたけど、スコットランドまでだったら★4つでもよかったと思う。
    この著者はドラマはそこそこ描けるんだけど、メロドラマとなるとだめってことなのかなぁー。
    メロドラマなんていうと、辟易した顔をするミステリー小説ファンが多いかもしれないが、個人的にはミステリー小説にメロドラマ(的な要素)というのは意外に大事な要素なんじゃないかと思っている。
    そのいい例が横溝正史や京極夏彦で、それらにはメロドラマ的要素があるからこそ、どんなにドロドログログロさせても読んだ後スッキリするし。また、なにより事件の動機にも無理を感じさせないというメリットがあるように思う。
    この『暗闇坂』の場合、その要素が欠けているから、最後の「手記」がたんなる付け足しにみたくなっちゃているんじゃないだろうか?

    とにかく、前半(スコットランドまで)は面白くて、500ページがあっという間だったのに…。
    著者の文章力やストーリー展開等は本当にスゴイと思うだけにもったいないないなぁーと思ってしまった。

  • これだけの奇想天外な複数のエピソード、事件、トリックを全て辻褄を合わせ、結びつけたのには驚いた。長い話だけどスピードもバランスも良いので飽きずに読了しました。御手洗潔ものは独特の雰囲気、内容で好みは分かれるでしょうが、作者の力の入れようが伝わる力作と思いました。

  • まず題名からして横溝正史へのオマージュという感じだし、ジェイムズ・ペインの地下室は明らかに乱歩のエログロ趣味を意識したもの。

    この作品を以ってして島田氏は本格の巨匠として名を残すことに挑戦したのか?
    そうだとすればこの一作が未来永劫読み継がれていく名作だとは思わないが、面白かったのは事実。

    しかしメインのトリックが大掛かりであればあるほど、陳腐な印象を受けるのが現代の本格である。その一点のみで五ツ星をつけられないのがどうにも勿体無い。

  • 2018.6.13

    御手洗シリーズ6作目。

    暗闇坂にそびえる大楠の周りで起こる時代錯誤の様々な事件が、ラスト一気に解決される。スコットランドの事件にも及ぶスケール。
    犯人は殺された兄弟の母親。殺人鬼であるスコットランド人の夫の遺伝子を絶やすため、自分の子供を手掛ける。末っ子松崎エレナのみ生き残る。今後シリーズで出てくるらしい。
    事件が様々あるが、おおむねロープと偶然の産物。
    途中、死刑や打ち首の詳細説明あり。写真やイラスト付きで嫌な気分引きずった。

    本が分厚い。その分読むのに時間がかかった。もう6作目だというのに、飽きる気配全くなし。御手洗ロスによる禁断症状が出る始末。こんなに分厚いのに最後の最後にドドドと種明かしも変わらず。けれど、前半、中盤がいやになることなく読めた。一旦離れて禁断症状作るの重要だと思った。
    事件や雰囲気が全体的に暗くて重い。トリックがロープと偶然頼りなのは少し気になるけれど、事件の怪奇性を出すには仕方ないかな、と納得。

    今回も御手洗と石岡君のじゃれつきは健在。ありがとう。
    ただ・・レオナがこれからもシリーズに関わってくるのはう~~~~ん。ただの妬みか。
    最初あんなに嫌ってたのに御手洗サン。という感じ。

    ロス健在。早く次を読まねば。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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