変身 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 1420
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856981

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾の文体はとても読みやすいですね。
    流れるように心理描写や情景が心に入ってきます。

    自分が自分で無くなって行く恐怖がじわりじわりと伝わってきて、自分まで苦しくなってしまったよ。

    「生きているということは自分が足跡を残していくことだ」

    その足跡が日が経つにつれ他人事になっていく怖さ。
    愛している人を愛してると思えなくなる葛藤。


    最後まで一気に読んで、涙。

    やっぱり最後は「愛情」だった。
    深いなぁ。

  • 【感想】
    うーん・・・
    読んでいて先の展開が予測できすぎる1冊だった。
    だからストーリーとしてはあんまりだったかな。
    また、唐突すぎる展開も、ちょっぴり退屈だったと思う。
    助手が内通者っていうのはすぐ分かったが、殺すのはちょっと唐突すぎないかな?

    一人の人間がどんどんと変わっていく様は読んでいて興味深かったが、東野圭吾の作品というハードルの高さが相まってしまい、全体的に物足りない1冊でした。


    【あらすじ】
    世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!
    脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。

    平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。
    そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。
    それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしようもない。
    自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。


    【メモ】
    p43
    喉が渇いていたが、枕元にある水差しに手を伸ばす気にはならなかった。なぜか突然、缶コーヒーが飲みたくなった。妙な現象だ。缶コーヒーなんて、今まであまり飲んだことがないし、特別好きでもない。ところが今は、無性に欲しいのだ。


    p72
    「まず全員がやるべきことをやる。その上できちんとした場を作って、こちらの要求を出そう。組合の連中だって、こういう手順を踏めば、経営者側に飼い慣らされることもないのさ」
    「違いない」葛西はそういって笑ったあと、ふと何かに気づいた顔になった。「それにしてもジュン、おまえ本当にジュンか?」
    「まるで別人と話してるみたいだからさ。おまえの口からそういう台詞が出るなんて、ちょっと信じられないな」


    p79
    ・京極瞬介の最期
    君を撃った後、京極は金を奪って不動産会社を逃げ出した。
    その後奴は車に乗ったが、間もなく全地域に敷かれた非常線の網に取り囲まれた。じわじわと網が狭められ、追い詰められていった。
    そして百貨店に飛び込んで屋上へ行き、奴は屋上のフェンスによじ登って金をばらまいたんだ。
    やがて金がなくなるとフェンスから下り、自分の持っていたピストルで自分の心臓を打ち抜き、即死した。撃つ瞬間、京極は笑ってたそうだ。


    p95
    恵は僕の顔を見つめた。「ジュンの頭には、誰かほかの人の脳が少し入っているのよね」
    「そうだよ」
    「でも、ジュンはジュン…よね」
    「何をいってるんだ。僕は僕さ、ほかの誰でもない」
    「だけどもし、脳を全部取り換えたらどうなるの?それでもやっぱりジュンなの?」
    「それは…」僕は少し考えてからこう言った。「僕ではないだろうな。それは当然、元の脳の持ち主なんだろうね」


    p138
    ・堂元ノート5
    成瀬純一の人格に変化が生じていることは、あらゆる角度から見ても明白である。
    初期段階に比べて、心理テスト、性格テストとも、結果は大きく変わっている。本人が自覚症状を訴えたのも当然であろう。
    (中略)
    成瀬純一は変身の途中である。


    p255
    「ごまかせると思ったかもしれないが、あんたたちには二つの誤算があった。ひとつは俺の人格が京極の影響を受け始めたことだ。もう一つは、現在の科学で割り切れないものの存在を無視したことだ」
    「科学で割り切れないもの?」
    「直感さ」と、純一は自分の頭を指先で叩いた。
    「脳の権威であるあんたに、俺から報告をしてあげよう。人間の脳には不思議な力がある。俺は京極亮子と一緒にいる時、驚くほどの一体感を感じたのさ。彼女も同じ感覚を抱いていたようだ。あんたがどうごまかそうとしても、あの感覚を忘れることはできない」


    p256
    「あんたにはわからないさ。脳を特別な存在と考えてはいけない、なんていってるあんたにはな。脳はやっぱり特別なんだ。あんたに想像できるかい?今日の自分が、昨日の自分と違うんだ。長い時間をかけて育ててきたものが、ことごとく無に帰す。それがどういうことか、わかるかい?」
    「それは、死ぬってことなんだよ。生きているというのは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとかってことじゃない。脳波が出ているってことでもない。それは、足跡を残すってことなんだ。後ろにある足跡を見て、たしかに自分がつけたものだとわかるのが、生きているということなんだ。だけど今の俺は、かつて自分が残してきたはずの足跡を見ても、それが自分のものだとはどうしても思えない。20年以上生きてきたはずの成瀬純一は、もうどこにもいないんだ」


    p275
    日記を書く。時々読み返してみる。ほんの少し前に書いたものが、すでに今の自分と感性が違っているような気がする。変化が加速したのだろうか。


    p355
    俺はこのおかしな証拠や証人が存在する背景を悟った。「偽装工作だ。何かが動き出している」
    「何かって?」恵は顔を傾けた。
    「脳移植手術の研究を順調に推し進めたい人間たちだ。はっきりとした正体はわからない。だがその連中が、俺の犯行を躍起になって揉み消しにかかっているということは確かだ」
    「でも」といって恵は唇を舐めた。「警察が本気になって調べれば、そんな偽装工作はすぐに見破ってしまうんじゃないかしら?でないと、いくらでも完全犯罪が可能だわ」
    「警察が本気を出すはずがないだろう。何か大きな力が動く時、そこにはいつだって警察も含まれているんだ」
    「警察には捕まらない。それが奴らのシナリオだからな。そして俺はわけのわからない事故に遭って死ぬというのが、シナリオの仕上げだ」
    「奴らが来る前に、自分で幕を引くだけだ。どうってことはない」
    何を描けばいい?と、俺は考えた。成瀬純一の心を持ったまま死ぬには、俺は一体何を描けばいいのだ。


    p381
    ・堂元ノート11
    最大の問題は、脳片という小さな塊にすぎないにも拘らず、京極が生き続けていたということだった。心臓死の判定がなされ、脳波は停止したが、彼は生きていたのである。
    人間に死の判定などできないのではないか。我々が知りうる限りの生命反応がすべて消えたとしても、人間は密かに、全く想像もしない形で生きているかもしれないのだ。
    これは我々の宿題、おそらく永遠に解決しない宿題である。

  • #心臓か脳か性器か細胞か君を愛せと命ずるものは

  • 人の定義について考えさせられる物語。脳移植によって人格が変わっていくのだが、優しくて穏やかなものから神経質で残虐なものに変わっていく過程が面白い。「今すぐに不幸のどん底に陥れることも出来る」みたいなセリフにはゾクゾクした。強烈な物語なので余韻を深く味わう事が出来る。面白かった。

  • ある人というものがどう定義されるのかというようなテーマになっている。なんとなく大枠はすぐわかるのだけど、それでも最後まで飽きさせないのがすごい。映画の蒼井優さんの演技も合わせて素敵。

  • とにかく怖いと感じた。
    衝撃が強すぎる内容が多かった。
    脳の移植には、たくさんの謎があるなと感じた。

  • 1エピソード挟むことで、いろんな解釈ができるようにして、読者に判断を委ねる東野圭吾のスタイル。
    結局、自分は自分なんだと、自分を受け入れて前向きに進むべきなんだと思いました。

  • すごくこわい・・・

    この本は脳移植のはなしですが、病気や障害でも同じように自分の性格が変わっていくことってあるんじゃないかと思う(ここまでじゃないにしても)。
    本当、すごくこわい。


  • 図書館の本。脳移植を受けた主人公、成瀬純一の末路が切なすぎる。でも自分が主人公の立場だったら、きっと、同じ選択をしただろう。ドナーの正体が、最初にわかってしまったのは、残念。今の時代にも、脳移植がまだ倫理的にNGなのは、こういう不条理な案件が、多発しかねないからなのだろうか?

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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