変身 (講談社文庫)

著者 :
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レビュー : 1420
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856981

感想・レビュー・書評

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  • 色々な意味で怖かった。
    命は助かったけど、どんどん自分でない自分になっていく恐怖と抑えられない感情。
    そして、周りも不幸になっていく。
    誰も幸せになれない。
    本当に助かって良かったのか考えさせられる。

  • 脳移植でひとりの命が助かったが、誰にとっても不幸な話だった。一気読みさせるだけの興味深さはあった。

  • 一言、怖い作品であった。だからこそ、次の展開が気になり、読み進むスピードが自然と高まる。裏の事情をそれぞれの登場人物の日記という形で上手く描写し、全体像を表している。

  • 終盤近くまで、実は少し退屈だなと思って読んでいた。
    東野圭吾のSFって、あんまりおもしろくないな、と。
    ミステリとして読んでも、ドナーの正体なんてすぐにわかる。
    落としどころはどこなんだろうと思って読んでいたら、状況が収拾つかなくなってきてからが、俄然面白くなってきた。

    最初はボタンの掛け違えなんだと思う。
    医者を信じつづけることができたのなら、ここまで悲劇的な終幕を迎えなかったのに。
    けれど、人間不信であったドナーの行動により、どんどん事態は悪化していく。
    事態の悪化よりも早く本人が悪いほうへ思いつめていく、その加速が悲しくて。

    ストーリーと直接関係はないけれど、脳と自己について。
    心と言うのは脳の発する電気信号に過ぎないという考え方をベースにすると、どういう刺激を受けるとどういう信号が発せられて、どういう反応になるのかというのは純一かドナーかの二者択一なのではなくて、おたがいに影響を与え合った結果の新しい人格に変わっていくのではないかと、私は思う。

    電気の通り道が変わるということは、伝わるに必要な距離や時間も変わるわけで、そうすると以前にはなかった負荷がそこに加わったりなんかすると、以前とは違う反応になるわけで。
    それが繰り返されると、どちらの人格とも違う別人格になるのではないかと。

    いや、これも妄想なんですけどね。
    読み終わった後、そんなことをうだうだボーっと考えていた。
    ということは、面白かったということか。

  • 平凡な青年・成瀬純一が強盗事件で頭を撃ち抜かれ、
    世界初の脳移植手術が成功し一命を取り留めるが、
    ドナー提供者の意識に支配されていくという話です。

    ドナー提供者が誰なのかという謎は、ひねりがなく判り易かったです。
    東野作品は相変らず“謎説き”には力をいれていませんねぇ。
    そのかわり、いつものことですが、物語のテーマで読ませますね。

    本作のテーマのひとつは「変身願望」、
    そしてもうひとつは「人には死を判定できない」というテーマです。

    嫌なことをされても我慢してしまうおとなしい純一が、
    嫌な相手を徹底的に叩き潰す性格に変貌します。

    高飛車の美人助手をものにし、かつてのいじめっこを半殺しにしてしまいます。
    少なからず純一に感情移入できた読者は、復讐劇にきっとスッキリすることでしょう。

    しかし純一は何者かに意識を徐々に支配されることに抵抗します。
    脳片という小さな塊にすぎないにも拘らず、ドナー提供者が生きていたのです。
    心臓死の判定がなされ、脳波は停止したが、脳細胞のひとつひとつは生きていて、
    だからこそ移植が出来たのですが、移植先で意識が再生しました。

    では、人の死とはなんなのでしょうか。
    そもそも、人間に死の判定などできないのではないでしょうか。
    科学が知り得る限りの生命反応がすべて消えたとしても、
    人間は密かに、全く想像もしない形で生きているかもしれないのではないか。

    という問題提起でお話は幕を閉じました。

    技術畑の東野圭吾は、「分身」に続き、本作でも科学の進歩と限界を描いています。

  • 何をもって「自分」は形成されるのか?
    そんな問いかけが根底にある話である。

    例えば、肝臓が移植されたとする。
    その後は、もとの自分のままでいられるだろうか?
    それが例えばこの主人公のように脳が移植されたら
    どうだろうか?その後も同じようにもとの自分で
    いられるだろうか?

    決してハッピーエンドではないが、
    ある一つの結論が描かれている。

  • 無意識の内に別の人格に変貌する話はよくあるが、この作品のように意識がはっきりとした状態で他人の人格にゆっくり移行していく話は、自分の中では初めて読んだストーリーだった。生体への脳移植は、実例が無く空想の域を脱しないとは思いますが、現実に起こっている自称のように思ってしまいました。愛する人が、突然愛せなくなる、今まで感じたことのない感情が芽生える…など、理解し難いが小説なら入り込める不思議な作品でした。

  • どうも共感出来なかった。話のネタと言うかオチみたいなモノは途中で分かったんやけど、変身後の人格が攻撃過ぎる気が…ちょっとした事で殺意持ち過ぎやしリアルに欠ける。もう少し感情移入させて欲しかったな。

  • 成瀬純一から京極瞬介へと人格が変わってゆくところがナチュラルすぎて途中でハッと気づいたくらいでした。

    結果的に私は成瀬が京極へ変わっていってはいないと信じたいと思います。

    成瀬が抱腹絶倒したコメディビデオを借りて、全く面白いと思わなくても笑うべきシーンがくれば、口を開けて声に出して笑うところや
    残りの最後のときには絵を書いていたいと思うところ、
    恵を殺すことを拒むシーンなど、

    はじめから最後まで彼は成瀬の部分をなくしたくないと思っているのだから、
    彼は京極にはなってないと思う。
    もし本当に京極になりそうになっているなら京極なのだから京極でいいと思うんじゃないかな。

    あー自分でも何書いてるかわかんなくなってきた。


    なんか輸血すると血の持ち主の嗜好や性格が出てくるって聞いたことあるけど、本当なのかな。

  • 息を抜いてお話を楽しむ要素がどこにもなかった・・・

    人ってこんなに変わるのか・・・!?脳も人間の内臓の一部に変わりないのに、肝臓や腎臓を取り替えたくらいで人は変わらないのに、脳はやっぱり特別なのか・・・

    東野作品には珍しく、まったく救われようのようのない作品で、はっぴエンドではないお話だったけれど、だからこそたくさん考えさせられる作品だった。

著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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