探偵映画 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 713
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061857070

作品紹介・あらすじ

映画界の鬼才・大柳登志蔵が映画の撮影中に謎の失踪をとげた。すでにラッシュも完成し、予告篇も流れている。しかし、結末がどうなるのか監督自身しか知らないのだ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の犯人を推理していく…。『探偵映画』というタイトルの映画をめぐる本格推理小説。

感想・レビュー・書評

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  • あまりに有名な『殺戮に至る病』しか読んでおらず、他の著作もほとんどノーチェックだったこの作家さん、ミステリコミュでたまたま紹介されていたのに強く惹かれ、探したところありました!よく行くブックオフに。

    一言感想を述べるなら、予期せぬ出会いがあった偶然に心から感謝したい!という気持ちです。

    ストーリーは、鬼才と呼ばれる映画監督がかつてなかったミステリ映画の製作を始めます、タイトルは『探偵映画』。台本通りに撮り終えて結末の謎解き部分をいよいよこれから!というところで監督が失踪!映画製作に関わる様々は人たちは、なんとか未完成に終わらせることなく監督の捜索と映画の完成に動いていきます。

    と、ミステリ映画の(完璧なシナリオは監督の頭の中で完成している)結末を助監督や出演者が推理していく、というメタ構造になってます。最近読んだ米澤穂信の『愚者のエンドロール』によく似た流れです。最後の種明かしは『愚者の~』の比にあらず、ビックリ仰天し拍手喝采したくなる素晴らしさでした。

    しかし、この作品の一番のキモというか、好みな部分は若い助監督や照明助手、記録係りなど、スタッフがみな映画好きで、その会話がかなり専門的であり、映画の表現論やカメラや演出のテクニックなど幅広く語られるところにあります。のっけから主人公の助監督(サード)の彼が映画における叙述トリックについて演説のたまうシーンなどすごくよくて、ニヤニヤしながらこれはすごい作品だ!と確信しました。

    自分も映画は大好きで小さな頃から見続けてますが、古今東西ジャンルを問わず我孫子氏はよく見てるなぁ~と感心しました。評論的な著作がすぐにでも書けるだろ?それくらい幅広くわかりやすく、そして面白い映画ネタ満載です。助監督(サード)の彼が記録の女の子を映画に誘うくだり、いろんな映画を挙げてくのに、彼女はみんな見てて…挙がってくる作品一つ一つにうなずいたりして、とにかく楽しい作品でした。

    池袋の文芸座が登場したのも懐かしかった!学生の頃けっこう通った映画館です、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』メル・ブルックスの『新サイコ』『悲愁』『サンロレンツォの夜』『サンゲリア』に『ゾンゲリア』フレッド・アステアにジンジャー・ロジャース、『タイムアフタータイム』と『ある日どこかで』まだまだいろんなのが作中に挙がってました!

    文庫版解説は映画監督の大林宣彦氏になっており、この作品の失踪してしまう映画監督は大林氏をモデルにしているようです。

    映画好きのミステリファンは是非読んでください!

  • 映画の中の殺人事件と、実際の失踪事件と、2つの謎をめぐるというちょっと変わった設定のミステリー。
    立原のキャラ設定があまり好きじゃなく、美奈子もなんだかイライラさせるタイプだなぁ、と感じてたところへ監督の失踪理由!
    FMWの社員じゃないけど、腹立ったわ!
    映画の結末はおもしろかった。

  • ミステリー映画を題材にしたドタバタ喜劇、かな。

  • 人が死なないミステリー。明るくてよい!結末はもっと意外性があってもよかった。

  •  他学部の映画論の講義をとったことがきっかけで手にとった。作中の映画用語や映画の撮り方に関しては他学部講義を聞いた効果があって楽しく読めた。内容は、ミステリとは何かということを登場人物たちがあれやこれやと考えながら奮闘するお話。私的にはあっと驚く衝撃的結末ではなかったけれど、そこまでの経過で、ミステリ作家の技法やトリックの仕掛け方などについて考えられるメタ・ミステリがとても面白かった。

  • 初読
    探偵映画を撮影していた監督が、撮影の途中で失踪してしまう。映画を完成させるために、撮影スタッフ、役者たちが必死になるのだが・・・。
    テンポよく物語が進み、映画を愛する作者の思いが伝わってくる。そして、驚きの最後の展開まで、あっという間の時間。
    面白かった。

  • 映画の中で殺人事件が起こります。しかし、未完成のまま監督が失踪してしまったため犯人が判りません。そこで役者たちが、作中の犯人を推理していくというお話です。
    設定自体はありふれていますがユーモアがありますし、随所に映画ネタと推理小説の蘊蓄が散りばめられているので、推理するのが楽しいです。映像ならではの仕掛けもあり、一度で二度おいしい作品だと思います。
    ただ、ベタな結末だったので、もうひと捻り欲しかったです。

  • 構成がいい!
    本格ミステリーではないけど、犯人の推理が面白い。
    この著者の本は初めてだけど、意外と読みやすかった。
    映画が観たくなる。

  • 出てくる映画がほとんど未見だったことに焦った。オチが想像してた通りだったのが残念。

  • 着想が面白い。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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