水晶のピラミッド (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (742ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061858411

作品紹介・あらすじ

エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが500年の時空を超えて突然蘇り、空中30メートルの密室で男が溺死を遂げる。アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格推理の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 御手洗シリーズ7作目。
    古い一族の話。
    名家は大変だ。
    今回は説明が多かった。
    後半はバーっといけたが、前半はだれてしまった。
    レオナ...

  • 途中(約半分)くらいまで、「これは本当に御手洗潔シリーズか?」と疑いながら読んだ。エジプトの話も、タイタニックの話も面白かったけど。
    事件の謎解きは捨て駒扱いで大胆すぎて笑ってしまった。
    でもレオナの依頼は完璧にこなしていて、なんとも御手洗らしくて良かった。
    レオナ、くどくはあるが魅力的だと思う。また出てきてくれると嬉しい。

  • 古代エジプトの悲恋、タイタニック号の悲劇、そしてメキシコ湾の孤島に出現した巨大なピラミッドで起こる殺人事件!

    三つの時代、三人の語り手によって語られる悲劇が、探偵・御手洗潔によって完結する!

    というわけで、本作も島田先生の十八番・「全然関係ない話に無理くり関係性持たせちゃう」スキルがいかんなく発揮されております(めっちゃ褒めてる)。

    牽強付会も甚だしくない?と眉をひそめる向きもあるでしょうが、現代に出現した怪物が零したある人物の名前にまんまと慄然させられた私は、結局は島田先生の掌で転がされてるんだなと思いました(作文)。

    古代エジプトで生き埋めにされたはずの人物が、現代のアメリカに異形のモンスターとなって出現した?!

    モンスターの目撃情報が相次ぐエリアの中心地にある謎の巨大ピラミッドは、何のために作られたのか?!

    そんなピラミッドを眼下に望む塔の天辺の部屋(密室)で、大富豪が溺死体となって発見される!!!

    謎がてんこ盛りでお腹いっぱいです島田先生ありがとうございます。

    島田作品に関しては、斜め屋敷にも代表されるトンデモトリックが魅力の一つなんですが(叩かれる要因の一つでもある笑)、今作はそのトリックのネタ出しの後で思いもよらない小粒(笑)トリックが披露されたのが可笑しかった。
    これねー、島田先生、一部の偏屈なミステリスキーを挑発してるとしか思えませんよ(笑)。

    「どんなあっと驚くトリックをこっちが考案しても、君達は粗探しするんでしょ?それなら僕こういうショボいトリック書いちゃうけどいいの?ん?」

    って(笑)。

    御手洗が最初に披露した「表向き」のアンサーにかなり早い段階で食いついたのが悔しい(笑)。
    「ある場所」に溜まっていた水が海水だって指摘した御手洗と一緒にドヤ顔になった読者は私ですよクッソー(笑)。

  • 島田氏、また凄い本を書きよって。

    『暗闇坂の人喰いの木』を読んだ時はスケールの大きさにびっくりしたけど、本作品はその比じゃない。
    なんせ、古代エジプトの話と、タイタニック沈没の話と、現代の話がない交ぜに構成され、そこにピラミッドの謎が入り込んでくる。
    現代に怪物も出てくるし、これ、さすがに収拾つかないのでは…と不安にさせられた。

    アメリカのとある島に造られたクフ王のピラミッドをそっくり模した建造物で殺人が起こる。その現代ピラミッドに付属する塔の7階で溺死体が見つかるのだ。そこに『暗闇坂の…』に登場したレオナが絡んできて、レオナが御手洗に解決を依頼して、やっと御手洗登場。
    ピラミッドに関する諸説の話は凄く興味深くて、専門書を読んでみたくなった。
    『暗闇坂の…』の石岡君のスコットランド旅行記が、本作品ではエジプト旅行記に代わる訳だけど、これまた素晴らしい紀行文で、ギザに行きたくなる。島田氏、異文化に触れた人の感銘を表現するのホント上手い。

    古代エジプトのターンも、田舎の娘が都会に出てくる高揚感とか、ギザの美しさとか、景色が目の前に浮かぶような文章で、なかなか読ませてくれた。ここに出てくるピラミッドの原型の様子はおそらく一説に基づく創造なんだろうけど、凄く説得力あった。
    結局現代パートとのリンクはほのめかす程度のものだったけど、読み物として面白かった。

    現代ピラミッドの下部に海からアクセスする通路や秘密部屋があることを御手洗が暴くあたりから「こんなの分かるか!」って気分にさせられて、現代ピラミッドの仕掛けを御手洗が解く場面では「バカミス!!!」とめちゃ突っ込みを入れた。殺されたはずのリチャードの声が幻?えっ、御手洗そんな非科学的な説明で済ませるの??みたいな。

    しかし! そこからの大どんでん返しで本作品は逸品の仲間入りですよ。
    まぁこれも突拍子もないし(禁断の双子オチだし)、密室のはめ殺し窓踏み外して脱出って!(褒めてる)とは思ったけど、ピラミッドポンプ説よりずっと現実味があって納得できた。
    御手洗の頭の良さも堪能できたし。
    レオナの突然の「ホモなの?」発言も良かった(?)。

    島田氏の作品はいつも派手だ。
    最終的には期待に応えてくれた、満足の一冊だった。

  • 御手洗が出てくるまでが長かった記憶はあったけどまさか400ページも不在のままだとは...。
    御手洗の歳に近くなってから読むと、知性の退化発言は可愛がってた犬の死と自分の年齢から石岡くんを失う恐怖がリアルに想像できてしまったのが原因にしか思えませんでした。いつか永遠に喪うならいっそ今別れたいみたいな...そりゃレオナも「ホモなの!?」って言うわ。否定しないしな。
    タイタニックパートやアヌビス設定は必要だったのだろうかとか考えてはいけない。

  • アメリカに作られた人口ピラミッドの,空中30メートルの密室で起こった溺死の謎に御手洗が挑む。
    序盤はエジプトの過去の話とタイタニック号の船上の話で,300ページあたりやっと事件が起こる。
    正直ダルいなと思いつつも御手洗登場からの展開は一気読み。
    壮大過ぎるスケールとキレキレの推理。
    タイタニックの話もそうだったのねと納得(たぶん)
    寝不足間違いなしの巨編。
    惜しむべきは松崎レオナ(暗闇坂~にも出てた人)が絶世の美女扱いだが,どうしても松崎しげるを連想してしまうところだろうか。

  • 久々に読んだ御手洗シリーズ。
    久々に読んだのに御手洗が重度の鬱だった・・・

    事件が起こる前に
    古代エジプトのお話しがあったり
    タイタニックのお話しがあったり。

    どぅ関係が??
    と思いながら読み進めれば
    意外なトコロで繋がってきたり。

    最後の最後までどんでん返しの
    盛り込まれた作品でした。

  • エジプト、ギザの大ピラミッドを再現したアメリカ、ビッチ・ポイントのピラミッドで起こる怪事。
    ピラミッドに併設した塔の地上30メートルにある密室で発見されたのは溺死した男?
    古代エジプトとタイタニック号の物語の先にある事件に、御手洗潔が挑む!

    これこれ!これが読みたかったんだよ〜!!島田荘司氏の大胆なトリック!!いやもう最高!!バカミスなんだよー!!こういう力技大好き!

    前半の古代エジプトのミクルの話も読んでいて引き込まれるし、タイタニック号の描写も!!大好きだぁぁぁぁ!!!脳内セリーヌディオンんんんっっ!!→

    エレナというキャラも、この時代なら全然アリ(というか、魅力的)だし、御手洗は相変わらず御手洗だし、石岡も相変わらず(以下略)
    前半の歴史ストーリーから一転、中盤のエレナパートで謎が提示されてからの御手洗よ……いやぁ、相変わらず変人だわ(褒めてます)
    ラストも良い。次が楽しみ!!


    以下、実況ツイート

    おおお……?208ページ目で二つの物語が終わったんだが……?笑

    700ページ超えの作品なんで、たぶんここからが本編?

    いやぁ、すごいもん読んだわ。もうすでに満足。
    さて、ここからどう繋がるのか……わくわく。
    (水晶のピラミッド、読書中)

    レオナ出てきたー!!
    そういえば私、御手洗潔シリーズ読んでたわ。
    なお、まだ御手洗も石岡も出てきてませんね。(236ページ現在)

    主要メンバーがなかなか出てこないシリーズは例の鈍器本シリーズで慣らされているから大丈夫

  • 古代エジプトのエピソードが混ざってくるのは「これがどう事件につながるの?」と興味深く読めた。
    物理的なトリックや建物の構造が頭でイメージしづらかったり、最後まですっきりしなかった部分はあったけどやっぱり御手洗シリーズは面白い。

  • 途中までは「あ〜これは壁本だな〜でもこれこそが島田イズム〜好きやわ〜」って思ってたのが、最後10%くらいで覆された。良い意味で。あれほどまでのトリックを捨て駒に使えるの凄いよ…。個人的に翼ある闇に次ぐくらいの衝撃。御手洗のロマンスじみた(?)ものが見られるのも珍しくて良かった。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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