夜はまだあけぬか (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 62
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061858572

感想・レビュー・書評

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  • 「躍動する知」。梅棹氏の著作を読む時、頭の中でこんなイメージがわく。
    突如視力を失った時から、長い入院生活、仕事への復帰、新しい興味、と単純じゃないだろうけど少なくとも文面からは徐々に前を向く氏の生き様がうかがえる。
    一時、停止してしまった知が、再び動き出す。以前と比べ、速さは劣るかもしれないが、そのスケールや生き生きした様は変わらず、前とは異なる方向に迎える新たな可能性を秘めている。
    著作から、センスから、人間関係から、全てが憧れる。

    ・比較的情緒が安定しているほうだと自分でも思うが、それでも目が見えないということは、ともすれば心情の不安定をまねきやすい。突然に怒りがこみあげてきたり、絶望感じおそわれたりする。音楽をきくことによって、この心を乱れをしずめうことはできないかと思う

  • 梅棹先生がなくなられて3ヶ月ちかくたちます。新聞にもいろいろとその業績が紹介されたりしています。本書は、梅棹先生が視力をうしなってから執筆されたエッセイ集です。梅棹先生がなくなられたこともあって増刷されました。講談社文庫でありながらちかくの書店ではみつからず、結局注文して購入。後日、ジュンク堂書店にいくと、どっさりつんでありました。本書執筆中はまだまだ視力が回復する可能性もあり、先生自身もそれを期待しつづけていらっしゃいます。だから、よんでいてつらくなることがあります。もうすこし時間がたって、みえないなりにもまえむきにいきていこうとするようすもエッセイにされているでしょうから、ぜひそういうものもよんでみたいとおもいます。そんななかで、おもしろいエピソードをひとつ。先生は音楽をあまりきかれなかったようですが、視力をうしなって、カセットテープやCDをきくようになられたようです。ヴィヴァルディの四季をきかれていたときのこと。1曲め、なるほど春のようだなあ。2曲め、たしかに夏だ。3曲め、秋のようだ。4曲め、これは冬だなあ。ところが、まだそのさきにも曲はある。じつは、各季節ごとに3曲ずつ曲があった。つまり、先生が冬だとおもってきいていたのは、夏の最初の曲だった。ひとによってなんとでも解釈ができる。これがまた音楽のおもしろいところなのかもしれません。ところで、先日、古本屋で本をさがしていて、2周めにふとたなをみると、そこに梅棹忠夫の名前が。「裏がえしの自伝」単行本200円で即購入。ラッキー。

  • 視力を失った著者がみずからの体験を語った本です。

    まだまだやりたい仕事が残っているにも関わらず視力を失ってしまった著者の絶望はどれほど深かったことかと思いますが、文章からはそれほどの暗鬱さは感じられず、むしろ自身の置かれた状況とこれからなしうることを冷静に見つめる姿勢が際立っているように感じました。

    いつも平明な文章で明晰に思想を語ってきた著者の、福沢諭吉の言葉で言えば「カラリとした」精神が、視力の喪失という困難の中にあっても失われないことに感動を覚えます。

  • どちらかというと仕事風景がメインで、視力を失った顕学が何を感じ考えたか、という内容は少ない。
    著者のファンというわけではないので、著作についてつらつらと書かれても…という感じ。

  • ある朝突然視力を失った、文化人類学のパイオニア、梅棹忠夫。絶望を感じながらも、好奇心を持ち続け、自分なりの方法で新たなる日常を開拓していく記録。

  • 盲目なんて自分には想像もつかないような状況でも知的生産の方法が模索されていて、そのような姿勢を見習わなければならないと思た。
    あと、音楽に挑むの下りでは体系的・分析的に西洋音楽をとらえるという視座は自分にはなかったし、目から鱗だった。
    何事も分析的に物事を見るのはできるかわからないけど、頭の片隅に留めておこう。

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著者プロフィール

梅棹忠夫

一九二〇年(大正九)、京都市に生まれる。四三年、京都大学理学部卒業。学生時代の白頭山登山および大興安嶺探検隊以来、調査、探検の足跡は、ひろく地球上各地にしるされている。京都大学人文科学研究所教授、国立民族学博物館長を経て、同館顧問・名誉教授。専攻は民族学、比較文明学。理学博士。九四年、文化勲章受章。二〇一〇年(平成二十二)、死去。著書は、『東南アジア紀行』『サバンナの記録』『文明の生態史観』『知的生産の技術』『地球時代の日本人』『日本とは何か』『情報の文明学』など。いずれも「梅棹忠夫著作集」(全22巻、別巻1)に収録。

「2020年 『女と文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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