46番目の密室 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 綾辻 行人 
  • 講談社
3.49
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本棚登録 : 3105
レビュー : 361
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061858961

作品紹介・あらすじ

45の密室トリックを発表した推理小説の大家、真壁聖一が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を突っ込むという悲惨な姿であった。彼は自分の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか。推理作家・有栖川有栖とその友人で犯罪学者・火村英生のコンビが怪事件の謎に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 推理小説がひさびさで大変懐かしい感じがした。癖になる感じを思い出した、またよみたい。

  • ネタバレありあり。
    火村シリーズには珍しく、江神シリーズのような、
    青春小説的な雰囲気がある。
    火村とアリスの、大学での出会いのシーンなど。

    内容は、
    推理作家の家に招かれたアリスたち。
    編集者や、新人作家など、なんだかいわくのありそうな人たちである。
    その夜、スプレーで落書きされる、靴にワインが注がれる、
    石灰がまかれる、などのイタズラがされる。
    共通点は「白」(白スプレー、白ワイン)らしい、ということは
    分かるが、それが何?となるアリスたち。

    そして、その晩、事件が起こる。
    宿泊客は2階にいたが、
    1階で、ここ数日、屋敷の近辺をうろついていた男が殺される。
    しかも、部屋は密室であり、死体は暖炉で燃えていた。
    ここが、一応密室になっているのだが、作者自身も認める
    肩すかしなので、気にしなくていい
    (セロテープを貼って、扉の下から糸をくぐらせ、引っ張ってはがした。
    まあ「隠し通路」と並ぶ、「分かっててやってます」感のある、
    肩すかし)
    さらに、地下の部屋でも、屋敷の主である、作家が殺されており、
    ここも密室になり、死体が暖炉で燃やされている。
    ちなみに、こっちは、意図せざる密室パターン。
    ただし、死にかけの被害者が閉めたパターンは不可能なので、
    一応、まだマシなほう。不可能犯罪である。

    さて、有栖川お得意のパズラー部分だが、
    石灰の足跡を踏んだのは誰か、という謎。
    (以下、ネタバレ)


    この謎は、結局、踏んだのはアリスであり、
    階段が薄暗かったので、最初は足跡に気付かなかった(なんで?)
    このスリッパを履いたまま外に出たので、
    スリッパから石灰の粉が落ちた
    (結局、スリッパを拭けばいいだけの話で、誰でもいいのでは?)
    で、最初にアリスを介抱していた奴が犯人、という
    もっとも犯人らしい奴が犯人というパターンになってしまっている。
    このスリッパのくだり、いらねえんじゃねえの?という感はある。
    読者を惑わす、意味なしヒントだったのだろうか。

    もう1つ、消えた石油缶問題があり、
    裏口という、もっとも近い所から石油缶を取らず、
    わざわざ離れたガレージから石油缶を持ってきたのはなぜか、という話。
    こちらは、あまり真剣に読んでいなかったので、
    検討していない。
    理由としては、裏口から持ってくると、すぐばれてしまうから、
    というものだったが
    (計画的に準備していた、というのがポイントで)

    そしてメイントリック。
    犯人は、殺してから、暖炉に押し込んだと思わせて、
    実は、暖炉に首を突っ込んだ被害者の上から、
    「糸を付けたつぼ状のもの」を落として、殺した。
    で、糸を引っ張って回収した。
    このつぼ状のものが何なのか、最後まで分からなかった。
    ボーリングの玉とかなら死ぬだろうが、
    糸のまきようもないし…。
    暖炉の中に、ちょっとした謎が書いてあり、それが伏線になっている。
    解くと「虹」だと分かるが、それが何?という、
    「白」と同じタイプの、意味なしの謎。

    それにしても、密室の煙突が開いているなんていう、
    超初歩的な手を使ってくるとは思わなかった。
    この「あきれ」感は、
    島田荘司が、犯人当てで、容疑者が右利き・左利きとか
    言いだしたとき以来の、「あきれ」である。
    今さら、そこ?という。
    普通、網が張ってふさいであるものだが
    なんか「5分間ミステリー」並みのしょぼさである。
    (網が張ってあるとは、どこにも書いてない、というレベルの)

    最後に「白」の謎。
    犯人は、自分の部屋の前に石灰をまいて、一晩中
    外に出ていないことをアピールして、アリバイを作りたかった。
    あとのイタズラは、石灰を撒くためのカモフラージュ。
    しかし、一人だけアリバイがあったら、逆に怪しくなる気がするが…。
    スリッパを途中で脱げば、それまでだし。

    まあ、犯人当てが主眼なら
    (屋根に登れたのは、誰か、という限定が目的なら)
    このトリックのしょぼさも、仕方ないのかな、とは思うが。

    謎の多さも、そこそこで。可もなく不可もなく、という出来。
    トリックも、しょぼいとはいえ、一応、トリックの体をなしているし。
    しかし、切れ味が無い。論理展開が「売り」なのだから、
    そこの「限定過程」に、もう少し、切れ味がほしかった。

  •  有栖川有栖作品、再読強化月間中。
     講談社文庫の方を読んだのですが、最後まで読んで解説が綾辻だったことに気がついた。綾辻の解説を読んで、「ああ、分かる分かる」と納得する部分が多々。
     綺麗なんだよ、有栖川の話って。一つ一つがうまく組み合わさってるから、すごく綺麗。トリックロジックは言わずもがな、キャラクタもいいし、ユーモアもあるし、皮肉も入ってるし。本当に綺麗。ただ、綺麗すぎてあまり印象に残らないんだよなぁ。あっと驚く結末に関しては綾辻の方が上だし。(当然だけど、あくまでも自分にとっては、の話。)
     この話もトリックロジックがすごく綺麗で、読みやすい。「ああ、ミステリを読んだ」あるいは「本格だなぁ」と思える話。動機がね、有栖川らしく人間味があるというか切ないというか、「そう言う動機、ありかよ」と思ったりもしたけど。
     どうでもいいが、この作品、作家アリスシリーズの第一弾だったんだねぇ。道理で、アリスが「探偵としての火村を初めて見る」とか言ってるわけだ。これ以降なのかね、アリスを助手として連れ歩くようになるのは。

    05.03.15

     **

     有栖川再読強化運動中(二度目)。

     前はすぐ諦めちゃったから、今回は一年かけて、作家アリスシリーズを読み切れたらなと。
     さすがに三度目となると、犯人と動機は覚えてました。トリック? 何の話ですか?
     やっぱりなんつーか、うめぇなぁ。しみじみと思う。綺麗なんだよなぁ。ひとの書き方も犯罪の書き方も。綺麗にまとまっていてすとんと読める。もちろん犯人が分かったときとか、謎解き部分で「ああそういうことか!」っていう驚きはあるんだけど、それでも綺麗にまとまっている。有栖川作品は基本的にそういう系統が多いから、誤解を恐れずに言えば印象に残らない。だからこそ、裏切られることがないんだな、って思った。
     全部、ちゃんと、面白い。すげぇなって思う。
     途中、アリスと火村の推理が食い違ったところ、あれ、学生アリスだったらもうちょっとちゃんと理詰めで考えたんじゃないかな。作家アリスは甘い。学生アリスはトゲトゲしてる。そこを意識して書き分けているのかは分からないけど。
     抜粋。
     物語最後のとある人物のセリフより。


    「俺だけが知ったんだ。俺だけのものだ。俺だけが知っている」


     なんかもう、いろんな気持ちがごっちゃになってるんだろうなぁ。何て言っていいか分からないくらいぐっときた。

    16.01.25

  • 有栖川有栖、いいなぁ!
    雪がしんしんと降る聖なる夜に星火荘で起こる密室殺人事件。とても絵になる。散りばめられたたくさんの謎!うきうきする要素が盛りだくさん。火村先生とアリスの掛け合いが面白く、二人の出会いもまた微笑ましい。読み応えばっちりのこれぞ第一作目といった感じ。犯人は分かりませんでしたがトリックが意図せず当たっていた(まぁ違うだろうと思っていた)ので、結末はちょっと拍子抜け。伊達にミステリ読んでません(笑)
    それを考慮しても文句なしの五つ星。とても楽しませていただきました。

  • 中学時代に出会って以降、読み続けているシリーズ。ここからだったんだなあ。

    いろんな小説、物語に好きな登場人物がいるけれど、一番好きなのは?と聞かれて、最初に浮かぶのは、もうずっと、火村先生しかいません。
    渋い、クール、賢い、影がある、ちょっとだらしない、猫好き…好きな要素が盛られすぎている!
    もちろん、有栖川さん(作中の方)あっての火村先生だし、事件や推理の合間の二人の掛け合いに心和まされつつ、ビシッと事件を解決に導き決して殺人を許さない火村先生の鋭さにやられる…このバランスがたまらんのですよ。

    火村先生の過去が明かされる日は、火村先生が何かしらの形で解放される日は来るのかなあ…。

  • 作家アリスと火村助教授(当時)の事件。
    クリスマスに招かれた山荘で主人が密室で殺害される。火村とアリスが警察の捜査に同行し、最後に真実に至る。
    アリスが殴られて昏倒したり、屋根から落ちかけたり、ちょっと痛い可哀想な目に合う本作。火村は黒のTシャツに白ジャケット?!冬だよね?!雪だよね?!なスタイル。
    二人の出会いが描かれているのも本作。そっか当時は原稿用紙持ち歩きかー。
    まだ携帯電話も登場しないところに、ちょっと時代を感じる。いい意味で。
    アリスの推理が大外れなのも、犯人があのひとだったのも、衝撃的だった。私にとって、有栖川作品との最初の出会いの本。

  • 火村とアリスのかけあいやセリフ回しが面白い。
    途中のなんでもなさそうなエピソード(週刊誌とか)をきっちりと回収しているのに感銘を受ける。
    密室が嫌いだと面白く読めるというのは、実は密室殺人ではなかったからという意味かな。
    最後のアリスの誤回答トリックのほうがダイナミックで好きかも。

  • 作家アリスシリーズ1。ドラマの俳優のイメージで読めるんで違和感ない。ちょっと久しぶりの本格ミステリで楽しかった。

  • 作家アリス1作目にして、初の有栖川先生読みました!面白い!!叙述系が自分好きなんだなぁと思ってましたが、最後のどんでん返しはないけど、トリックや犯人だれなの?!というのがすごいあり、すごい楽しめました。。作家アリスシリーズは多いいけど読み進めていきたいです。にしても探偵系というのは本当に面白い。。

  • 火村英生×有栖川有栖シリーズの第1作目です。二つの密室、二つの殺人。誰が犯人か。どうやって密室は作られたのか。密室=難解と思ってしまう私の前で、火村英生がさらりとベールをはいでいく様は目から鱗でした。ただ、登場人物同士の恋愛模様が幾重にもあって、読んでてちょっと混乱します。女性も姓呼びと名呼び、両方書かれてるので、それも混乱しました。でも最後全てが繋がった時には、すとんと落ちて来ました。二人の出発点。楽しめました。

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ ありす)
1959年、大阪市東住吉区生まれの小説家・推理作家。有栖川有栖・創作塾の塾長。
同志社大学法学部法律学科卒業後に書店へ就職。それまでも学生時代から新人賞や雑誌への投稿を繰り返していたが、1989年江戸川乱歩賞に投稿した『月光ゲーム Yの悲劇 '88』が東京創元社編集長の目に止まり、大幅に改稿した上で刊行し、単行本デビューとなった。1994年、書店を退職して作家専業となる。1996年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)受賞。1999年から綾辻行人と共作でテレビ番組『安楽椅子探偵』シリーズ原作を担当する。
2003年、第56回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した『マレー鉄道の謎』、2007年発表作で「本格ミステリ・ベスト10」で第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」で第3位、「黄金の本格ミステリー」に選出と高く評価された『女王国の城』など、多くの作品がミステリ賞で高く評価されている。
2000年11月より2005年6月まで、本格ミステリ作家クラブ初代会長を務める。

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