中国詩人伝―中国歴史シリーズ (講談社文庫)

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感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859074

作品紹介・あらすじ

中国最初の詩人屈原から、中国革命の星魯迅まで、日本でも親しまれている中国詩の巨星たちの、詩と人生を語る名著。深い考察を、平明に面白く伝える著者の筆から、鮮やかに立ち現れる詩人たちの姿と心。激動の中国史に燦然と輝く詩魂が、現代の日本人の胸にひびく、詩人伝の決定版。李庚が描く肖像画入り。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
    幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
    中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。

    名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のために官途を擲ち、その死後は遺族の面倒を見続けたこと。
    こんなことを知ると、「南朝四百八十寺 多少楼台煙雨中」という詩さえ、ちょっと見る目が変わってくる。

    この間、欧陽脩の文章に、梅聖兪(尭臣)のことが書かれていた。
    官職に恵まれず、なぜか日本ではほとんど知られることがなかったこの詩人が、新婚の妻のこと、飼い猫や鶏、蚊や蚯蚓まで、身近なものを平易に読む、北宋初期の詩壇では異色の詩人であったそうだ。
    この人の詩も読んでみたい。

    この間まで、お習字の稽古で王庭堅の尺牘を書いた。
    蘇軾の門下に育った彼は、官僚としては不遇だったらしく、老荘に心を寄せていたとのこと。
    そんなことも、知らなかったのだ。
    触れる機会はあったというのに。

    知ることで、少しずつ、世界がひらけていく。
    そんな一冊だった。

  • 漢詩の有名人たちの略歴と代表作(著者の好みの詩)をコンパクトに纏めた本。漢詩に興味を持ち始めた人向けに。

  • 中国の詩人を屈原から魯迅まで紹介した一冊。詩人の解説が、中国の当時の情勢へと向かうのは文学と政治の距離が近い中国ならではのことだろう。詩人の肖像画入りだが、これは正直なくてもよかったと思う。

  • NHK漢詩紀行の監修もされてた陳舜臣さんの著書です。DVDとあわせて……いやDVDよりも前に手に入れて読むべきなんでしょうね。DVD用のテキストではありませんが良い相乗効果を生んでくれるものと思っています。

  • 詩人ごとに書かれている。10年前に読んだ本なので、あまり思い出せませんが、李賀という不思議な詩人が印象に残ってます。瑠璃色の酒?この本で李賀を初めて知りました。

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著者プロフィール

1924年-2015年。神戸市生まれ。大阪外国語大学印度語部を卒業し、終戦まで同校西南亜細亜語研究所助手を務める。61年、『枯草の根』によって江戸川乱歩賞を受賞し、作家活動に入る。その後、93年、朝日賞、95年には日本芸術院賞を受賞する。主な著書に『青玉獅子香炉』(直木賞)、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』(日本推理作家協会賞)、『実録アヘン戦争』(毎日出版文化賞)、『敦煌の旅』(大佛次郎賞)、『茶事遍路』(読売文学賞)、『諸葛孔明』(吉川英治文学賞)、『中国の歴史』(全15巻)などがある。

「2018年 『方壺園 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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