ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 6205
レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859098

感想・レビュー・書評

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  • 本格ミステリの常道のひとつ「吹雪の山荘」ものです。しかし、「吹雪の山荘」そのものではなく、それを「演じる」という捻りがあり、その2重構造が読者を幻惑させる趣向となっています。
    事件発生やメンバーの行動パターンがそれこそ「吹雪の山荘」ものの「定石」通りで、それがテンポよく描かれ、また、「主人公」(?)の独白とストーリーの2重構造の描写という捻りもあって、この二元性の進行も様になって面白く、次の展開が気になり怒涛のごとく読了してしまいました。(笑)
    「吹雪の山荘」ものは、メンバーの心理状態の変化と言動パターンが面白いのですが、本当に良くわかっていらっしゃる!(笑)「解説」の法月倫太郎も書いていましたが、これは少し斜に構えていますが本格ミステリ愛に満ちた作品ですね!しかも、過去の名作を踏襲しながらも、東野圭吾らしい捻りにより複雑性を増しているところが良いです。あまりにも「定石」通りなため、中盤くらいには「犯人」がわかってしまいましたが(笑)、そこはやはり東野圭吾、そんなことは当然お見通しと言わんばかりに、さらなる仕掛けが複雑度を高め、読者を幻惑します。
    この物語構造の複雑性のためか、ストーリー的な技巧が前面に出過ぎていて、ラストの収束場面の描かれ方が少しなおざりになっているのではと感じたのと、何より「動機」の実際性が希薄なのが少し残念なところですね。
    まあ、ラストの収束はとても難しいのでここは大目にみるとして(笑)、中盤までは期待通りの面白さでしたので、星は4つにします。(^o^)v

  • いろんなサイトで紹介されてたので買った小説

    面白くすらすら読めた。

    演技なのか、現実なのかわからない。それでいてどんどん事が進んでいくのが、ちょっとドキドキした。

    人が死んでないでラストを迎える推理小説は初めて読んだ

    東野圭吾さんの小説は読みやすいと改めて感じた小説でした。

  • 「ある閉ざされた雪の山荘で」
    俳優志願の男女7人、殺人劇の恐怖の結末。


    法月綸太郎曰く、新本格の存在を強く意識していたに違いないと断言する本作。さすが推理小説家!と言わせる法月節の解説のお陰で、本作に色々要素が組み込まれていたんだなーと感心。昨今の作品とは明らかに毛色が違う為、東野圭吾の本格(いや新本格か!)派を読んだことがない方にはおススメしたい。


    おススメポイントとしては、まず一捻り入ったクローズドサークルであることを挙げたい。最近では「屍人荘の殺人」が、クローズドサークルを面白い手法で実現していたが、本作も単純な手でクローズドサークルを完成させていない。オーディションに合格した男女7名を物理的ではなく心理的に閉じ込めている。


    二つ目は犯行への一捻り。俳優志望の男女は、演出家の東郷陣平の「これから舞台稽古を行う。登場人物になりきってやること」と言うメッセージを受け、戸惑いながらも稽古を開始する。その内、殺され役とされる俳優志望が次々とペンションから姿を消していくのだが、次第に実際の殺人なのではないかと疑い出す。


    他の劇団出身である久我和幸は、7人の中に犯人がいるのではないか?と探偵役を担うが、犯人の犯行方法がひっかけと言うか一捻りある。俳優志望が集まったからこそのひっかけであり、三人称視点もそのヒントになっている。


    何よりクローズドサークルものだと、大抵そして誰もいなくなった、みたいになるのだが、そうはいかない点も変わり種。おいおい泣いちゃダメな奴いるよね?となるのだが、終わりも言ってみたら新本格を意識していた結果と言うことになるのだろうか。


    因みに、キャラ的に面白いのが久我和幸である。劇団「水許」に入団し、役者として成り上がろうとしていた反面、元村由梨江をなんとかものにしようと言うギラギラな下心も抱えている人物。序盤から水許の劇団員を心の中でクソミソに皮肉る(とは言え、認める部分は認めている)様からは、まさか彼がマトモな探偵役になるとは思わなかった(てっきり途中で殺され役になるかと)。しかし、いつのまにか毒舌を抑え、何やら出来る探偵になりきる久我。さすがに演技力はあるな笑。


    捻りに捻りを加えた密室殺人劇な一作。解説で東野圭吾を上手いこと表現した法月節もあっぱれだ。

  • 本格を書いていた頃の東野圭吾を読んでみようと手に取った。

    乗鞍の山荘に集められた劇団員7人の身に降りかかる連続殺人。お互いに犯人捜しに疑心暗鬼になって……

    よくある山荘モノのを東野圭吾が書くとこうなるのか!という驚きはまるでなし。
    真相を明かされても、驚くことはなかった。
    7割は予想していた結末だった。騙された残り3割もインパクトに欠けている。法月氏の解説を読むと、当時隆盛していた新本格に対するパロディというかアンチテーゼだったのだろう。
    このジャンルにはどうも馴染めない……

    東野作品の旧作をまとめ買いしたので、もう少し続けて読んでみる。心の中では騙して欲しいという欲が渦巻いている。

  • 久しぶりに東野さんに戻って読んだ。

    大雪に見舞われ道が遮断され通信も不通となり密室状態となった山荘で起こる連続殺人事件……という本格ミステリの設定(余談だけど倉知淳『星降り山荘の殺人』を思い浮かべた)に東野さんらしい回答を示した作品。
    オーディションに合格した役者7人がある(道も通信も問題ない)山荘に集められ、上記のような設定の芝居として三泊過ごせとの演出家からの速達を受け取る。一人消え、二人消えてゆくが、果たして芝居なのか本当に殺人が起こっているのか…。

    東野さんらしい発想。
    評価が高いのも納得した。
    続きが読みたくてどんどん読み進めた(読み易いし)。
    三日以上も誰にも気づかれず隠し小部屋に隠れ続けるのは現実的に無理かな…って思っちゃったけど、ま、エンターテイメントなので良しとしよう。
    本多の、片想いなのに献身的な姿が哀しかった。

    でも、誰も死んでなくてなんかほっとした。

  • 東野圭吾氏曰く、『白馬山荘殺人事件』『仮面山荘殺人事件』に次ぐ、「山荘もの」三部作の三作目だそうです。
    三部作それぞれに山荘に”閉ざされる”要因が異なりますが、本作の”閉ざし”感はなかなかにユニーク。
    劇団の方だと、演出家の絶対感はここまでに至るのかと感心させられます。

    本作。
    かなり大胆な構造です。
    ので、コメント・感想書きづらい(^^ゞ(笑)
    ただ、そのおかげか、文庫版の帯に「超大技炸裂!最後の最後の最後まで…」とあるとおり、ワタクシも最後まで、すっかり騙されていたクチです。

    この場で書ける印象的なこととしては、本作中ほどに出てくる「ノックスの十戒」なるもの。
    このあたりの台詞を読んでると、東野氏本人が語ってらっしゃるように読めたのが、なんとも面白い。

    また、全体を通して、登場人物が本作ミステリーの構造について語っています。
    ミステリー作家さんたちが、日々、秀逸ミステリーを創りだすためにフル回転してらっしゃる、思考回路の断片を垣間見れるようです。
    一(いち)ミステリーファンにとっては、一緒に議論に参加したい場面でもありました。

    これまでにも様々に味わわせていただいた「叙述トリック」。
    そして「視点」の妙。
    病みつきになりそうです。

  • 早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、
    オーディションに合格した男女7名。
    これから舞台稽古が始まる。
    豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。
    だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。
    はたしてこれは本当に芝居なのか?
    驚愕の終幕が読者を待っている!

  • オーディションに合格した7名が舞台稽古のためペンションに集まる。
    雪に覆われた孤立した山荘での殺人劇の設定。
    1人1人と仲間が消えるにつれこれは本当に劇なのだろうかという疑いが。
    これは本当に芝居なのか?
    真相はいかに。
    変わった設定のストーリーでした。

  • なかなか面白い展開でしたね。
    二人目が殺される(?)時点で
    怪しさを感じていたのですが
    そうなりましたか、という感想ですね。

    まぁ、誰も殺されていなかった
    のを、喜ぶべきかなんなのか。
    ちょっと複雑な気持ちになりましたが。

  • 登場人物の独白が挟まれていることで自分もその場にいるような臨場感を得られた。読んでるうちにペンションのオーナーが怪しいなと思ったけど的外れだった。次は誰が殺されるのか、、とハラハラしながら読んでいたが、殺されたこと自体が依頼人を騙すための演技だったというのに驚いた。さすがは役者の集い。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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