自動車社会学のすすめ (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859463

感想・レビュー・書評

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  • 島田荘司氏の論文は、得てして読みやすく、しかも共感を覚えるのが特徴だが、今回は特に際立った印象をもたなかった。
    前回『ポルシェ911の誘惑』は各誌で連載、または掲載されたエッセイ集といったところもあり、雑多な印象を受けたが、その分話題が多岐に渡り、面白く読めた。また拍手喝采を贈りたくなるような目から鱗ものの猛々しさがあったのだが、今回は胸を熱くする想いもなく、残念である。

  • 車を通して、日本人論をみる。車に全く興味のない私にも、実に面白可笑しく読めた。確かに皆、黒塗りのベンツには道を譲る。(笑)

  • 読んでいて、いちいち腑に落ちることが多くありました。
    それは納得、あるいは共感、という感情でした。
    そして、「エピローグ」を読んで、全ての答えを得ました。
    島田荘司氏は、同じ考えを持っているのだな、と。
    非常に僭越で烏滸がましい感慨ではあることを自覚しつつ。

    それは何かと言えば、「言葉が文化を創る」ということ。
    何年か前に掴んだ、ぼくの思考の根底にある考えです。
    考え方の軸が似ているからこそ、辿り着く場所も似通っている。
    もちろん、本書の結果の方が何倍も洗練されていますけれど。

    自動車、いや「クルマ」を愛する者にとって、「日本車」はどうでしょう。
    その答えは、日本の自動車社会を見渡せば簡単に分かります。
    いわゆる「高級車」に位置しているのは、どんなクルマか。
    「スポーツカー」に分類されるのはどこの国のクルマか。
    この数年で、多少の地位は上がりました。
    けれど、それら「上級」の場所には、「日本車」は殆ど存在しません。
    価格だけなら、向こうを張れるクルマもある。
    形が似ていたり、能力が優れているクルマもある。
    けれどそれでも、「日本車」が占める位置は、それほど変わっていない。

    本書で描かれている数々の切り口に、ただ感心するしかありませんでした。
    確かに、「自動車」というものは、「社会」を綺麗に反映している。
    その事実が、本当に見事に分かってしまう。

    国土の狭さや、資源が自前で賄えないなんてのは言い訳に過ぎません。
    たぶん、「日本文化」にとって、クルマは重要ではない。
    けれど、「日本車」は歴とした「日本文化」を形成する一角である。
    それを重視することは無いけれど、出来上がった結果に影響を受ける。
    ある意味で本末転倒のような、順番が逆な価値基準。
    それこそが、「日本文化」の本質であるような気がします。
    このことを如実に表しているのが、「日本車」なのだと思いました。

    普段、良く取り上げられる視点とは一線を画した良書だと思います。
    日本という国家の歪さや、不可思議な部分が鮮明に見えてきます。
    それは欠点です。その事は認めなくてはならない。
    そして欠点が見えたのなら、それを解決する手段も見えてくる。
    只でさえ素晴らしい国家である「日本」を、さらに改善出来る可能性。
    それが、本書には散見出来るように思います。

    とりあえず、まずは「道交法」を何とかするところから始めるべき。
    これほどの悪法、ちょっと他ではなかなか見られないほどだと思います。

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著者プロフィール

島田 荘司(しまだ そうじ)
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。
1981年、『占星術殺人事件』でミステリー界に衝撃的なデビューを果たして以来、累計600万部に達した名探偵・御手洗潔シリーズや、刑事・吉敷竹史のシリーズを中心に数々の傑作、意欲作を発表。
2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。
「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の立ち上げ、選考を務めるなど、新たな才能の発掘と紹介にも積極的に取り組み、名実ともに現代本格ミステリーの旗手となっている。
近著に『アルカトラズ幻想』(2012年 文藝春秋)、『星籠の海』(2013年 講談社)、『幻肢』(2014年 文藝春秋)、『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険』(2015年 新潮社)がある。

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