- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061879324
作品紹介・あらすじ
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続き青春の苦みと哀しみを描いた野間文芸新人賞受賞の村上文学の名作長篇。
感想・レビュー・書評
-
再読です。
初めて文庫で読んだときには、この作品が『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』とつながっているとは知らずに単品で読んだので、今回全集で3作品続けて読んでようやく納まった感。
前の2作品で描かれた断片的な"僕"と"鼠"の物語が、この作品でぐぅんと広がり、一連の羊にまつわる謎を経てクライマックスに到達します。
文章そのものはたんたんとしていて温度が低い感じなのに、その後ろに目を離せなくするような何かがあるのです。
唐突で、ミステリアスで、掴みどころがなくて。
少し気障な言い回しも様になっていて。
少しずつ、少しずつ、軸をずらされていくような感覚にくらくらしてしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悪くないけど、あんまり比喩がぴんとこない。
この世界観が好きな人もいるのだろう、という感じ。 -
春樹の初期作品を読み返していて感じるのは、それまであった断章形式の語り口が次第に滑らかさを得て、骨太な「物語」へと変化(進化/深化)していくことだ。今回の読書経験を経て確かにウェルメイドなストーリーであることを確認し、同時にこの物語は結局のところ黒幕的存在(ある種のカリスマ)に自分が翻弄されていると読み、そこから反撃して終わるという構造から成り立っているとも読んだ。ならばそれは後の『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』にも通じるものであり、下手すると陰謀論めいた与太話としても読めてしまうのではないかとも思う
-
▼東京大学附属図書館の所蔵状況(UTokyo OPAC)https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001537532
-
3部作の最終作でこれまでの設定も引き継がれているが、ストーリーの構成や描写とも進化が感じられた。
-
第一章の章題が気になって読み直している。相変わらず、どんどん読める。困ったもんだ。気になったことは解決しない。村上春樹は三島由紀夫について、何を考えていたんだろう。
-
話の筋を幾重にも枝分かれさせておいて、最後に一気にまとめあげたような感じ。ただこういった書き方が読者に次へ次へとページをめくらせるんだと思う。
-
なるほど、これは毛色が違う。
先の2冊読んだ後では、どうしてこうなった感が強い。
退廃的なリアルが退廃的なファンタジーになっちゃった。
それにしても女性の扱いが相変わらずだ。意思があるフリをしているもの、ロボットのよう。生きているのかどうかもわからない。
主人公にとって…いや、もしかしたら村上春樹にとって、女性というものは通り過ぎていくものに過ぎないのかもしれない。 -
請求記号:918.68/Mu43/2
選書コメント:
村上ワールドの基本がすべて詰まった初期の春樹本です。海外に出ると村上春樹は今もっとも有名な日本人だと実感します。コアなファン以外の人が初めて読むのに適しています。
(環境創造学部環境創造学科 高井 宏子 教授)
著者プロフィール
村上春樹の作品





