ムーミンパパ海へいく (ムーミン童話全集 7)

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本棚登録 : 213
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061882270

作品紹介・あらすじ

パパは決心しました。一家で島にうつりすもうと。地図の上でみると、はえのふんにしかみえないけれど、そこは、パパにとっては一大王国だったのです。

感想・レビュー・書評

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  • 突如、島への引っ越しを決めたムーミンパパ。当然一緒に行く家族。でも、なんか島はいろいろ大変で、パパが思っていたのとはちがっていて。
    パパの理屈っぽさがこれでもかと描かれていた。その後彼らはムーミン谷に戻ったのかなあ。

  • ミイがいつのまに養女に。ママ病んでる?

  • なかなか読み進めなかった。
    ムーミンパパが家長としての役割に急に?変にこだわりだして、家族を連れて灯台のある孤島へ引越ししてしまい、ムーミンママはムーミン谷での暮らしを懐かしむあまりに情緒不安定になって流木を鋸で切り揃えたり絵を描くことに逃避するようになったり…そんな中でモランに付きまとわれたりうみうままに弄ばれたりするムーミントロールは10代の少年のように家族を疎ましく思うようなって一人暮らしを始めたり…なんとなく最後は丸く収まった感じもするが、このままみんな島で暮らすのか?
    これまた奥が深くて、書かれていないことがたくさん書かれているような巻であった。

  • ムーミンパパ、皆を振り回すやんけ!
    モランとのラストは希望を見いだせて嬉しかった。

  • 哲学的暗喩に満ちたトーベ・ヤンソンの世界です。

  • 日常に対する疑問。自らの悟性を使用すること。日常において悟性を使用する。

    ムーミンパパは日常において悟性を欠落してしまうことを畏れたのかもしれない。ただ悟性とは決して冒険とか旅とか苦難とか解りやすい物語ではなく、自らの反省から自らの悟性はありえる。自己省察は悟性能力を高めるための唯一の道である。

    だからこういった環境の変化が意図的になされることにより理性的に反省することもあるだろうが、どうしようもない現実が自然の狡知として反省を強制することが悟性の覚醒でもあるとも思う。そういった自然の狡知という環境の変化こそ自己省察=反省=悟性=秩序=理性=知性=学問を齎すのだと考える。

    ムーミン童話を読んでいるとこういった環境の変化=自然=自然の狡知=反省を考えることができて読みやすいいい本だと思った。

  • 中年クライシスを迎えたムーミンパパは、衝動的に新天地を求めるが、何一つうまくいかずに、やがて空想の世界に逃げ込むようになる。

    そして、パパに巻き込まれる家族たち。
    快適だったムーミン谷とは勝手が違いすぎる島で、ムーミンパパの機嫌ばかりとらされる日々にうんざりして空想のムーミン谷に逃げ出すムーミンママと、はじめは両親に協力的で新しい環境に順応しようとするものの、どうしようもなくなっていく両親に何も言えずに、やがて空想の自分だけの世界に逃げ出すムーミン。

    おかしくなっていく義理の家族に巻き込まれまいと、乱暴な言動で必死に、ささやかな抵抗をしているミイがいじらしい。ムーミン谷が恋しい。

    ムーミンパパは、孤児院育ちではなかったの?養父母のエピソードが出てくるが…。はじめは養父母に育てられていたけれど、その後、孤児院にはいることになった?どういうこと?お話によって細かい設定が違うの?
    もしくは、孤児院のエピソードは、自伝をよりドラマチックにするための、ムーミンパパの創作?

    ムーミンシリーズのキャラクターはそれぞれ、人間らしい性格的欠陥がある。ムーミントロールなんて、カバみたいな妖精のくせに。それがこのシリーズの魅力の一つにもなっているのだなぁ、とこの話を読み直して思った。
    トーベ・ヤンソンは人間観察の達人だったのだろうな。

    恐怖がひたひたと押し寄せて、静かに崩れていく家庭の描写が素晴らしい。その後の再生も。

    自分よりずっと大きな存在を頭の中に入れようとして追い詰められることを投げ出したら、パズルのピースがきれいにはまるみたいに、みんなしっくりなじむようになった。
    ママが壁の絵の中に入り込めなくなるシーンと、最後のモランのダンスシーンが特に好き。八章を読むと安心する。ミィも嬉しそうだ。

  • パパは決心しました。
    一家で島にうつりすもうと。
    地図の上でみると、はえのふんにしかみえないけれど、
    そこは、パパにとっては
    一大王国だったのです。


    ムーミンパパ海へいくっていうタイトルを見て、どんなステキな海だろう。と空想したし、まさかあのムーミン谷から本当に離れるなんて考えてもみなくて、移住なんて言ってもいつか帰るのだろう…とそんなことばかり考えながら読んでいた。

    行き着いた所は、確かに海はあるけれど、無人島(漁師さんがいるけれど)で、住む場所にするためのみんなの努力は悉くダメになって、漂流とか、遭難とかそんな言葉ばかり浮かんでくる。(でも
    、ママの言葉だとピクニックで毎日が日曜日みたいだって。)

    何かと思うようにはいかなくて、でもその分、みんなが自分自身と向きあって暮らした時だったのかな、と思った。


    「やあ、思い出したよ。おれたちは、ぼうしをまちがえてたね」の場面は本当に嬉しかった。

    ムーミンは、もう小さな男の子ではなくて、ママは「春のめざめ」と言ってたけれど、そのことにまだパパは気づいてないところとか、おかしいような、切ないような。

    そして、この物語の大事な大事な登場人物、モラン。暗くて、悲しくて、寂しくて…なんか不吉で陰惨なものが付きまとうモラン。絶対に友達になんてなれない存在。
    そんなモランをずっと見守るムーミン。
    モランって何なのだろう。
    なんだか、すごく考えさせられる。

  • ムーミン谷を出て新たな生活を始めるムーミン一家。モランの不気味さが何とも言えないけど、モランって本当は誤解されやすいだけで悪い人じゃないんじゃないかなぁなんて思ったり。明るく前向きなムーミンママは本当に素敵。ムーミンは少しずつ変わってきてる気がする。ミィだけは変わらずミィのままだけど。2012/058

  • ママがパパにサンドイッチを作ってあげる場面が好き。
    ママがいてこそパパは自由に生きられるのだ。

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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