スパイになりたいハリエットのいじめ解決法 (世界の子どもライブラリー)

  • 講談社
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本棚登録 : 21
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061947306

感想・レビュー・書評

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  • 「人生を変えた本と、本屋さん」で紹介されていたアメリカの児童書。

    こまっしゃくれた裕福な家庭の一人娘ハリエット(小6)は、将来小説家になる為に、学校や身近な人、近隣住民を文字通りスパイして、自分のノートに書きつけている。読み始めは、鋭いながらもトゲのある彼女の筆致に少々ゲンナリしたが、そのノートが、クラスメイトの手に渡ってしまってからのストーリー展開に惹きつけられた。
    好き放題書いていたため、親友も遠ざかり、クラス中が敵となり、いじめられるようになる。
    学校に行きづらくなり、休んでしまったり…という展開は日本とそう変わらないのだが、ハリエットはそこでへこたれず、立ち上がり、巻き返しを試みるところが秀逸だ。

    彼女の芯の強さは、忙しい両親に代わって幼い頃から住み込みで世話をしてくれたオール・ゴーリーという女性によって培われた。ハリエットがピンチに陥る前に、退職して遠方へ行ってしまうのだが、オール・ゴーリーのそれまでの言葉と愛情がハリエットを奮い立たせる。

    このサリバン先生のようなオール・ゴーリーの言葉と生き方は、大人が読んでも心に響く。

    『すぎたことは、すぎたこと。わたしはどんなものも、だれも恋しがりはしません。みんなすばらしい思い出になっているのだから。わたしは自分の思い出をだいじに守り、いつくしむけれど、その中に入りこんで、ぬくぬくと寝そべったりはしません。』p.298

    1964年に出版されたというが、片親や格差、いじめなど、今読んでも古さを感じない。児童書という枠を超えている物語だと思う。2016.8.22

  • 「いじめ」と言うキーワードでこの本を借りました。
    変に子供の心をファンタジー化やピュア化していないので、そういうところが良いです。なんと40年前のくらいの作品だそうです。でも、心に響くものがあります。
    会話のリアル性、子供が大人や周囲を見る目、そういう生な感情を思い出させてくれるので、いろんな意味でどきどきします。この本でのいじめ解決法は、アメリカらしいけど、日本人にとって参考になると思います。また、いじめがあったとき、一番大切なのは良き大人がいるかどうか、そういう繋がりに行く場所に子供がちゃんと持っているか、そういうことだと思いました。いじめを無くそうと言う運動はもちろん良いけど、いじめ自体が起きたとき、それと向き合える大人がいるかどうか、子供が拠り所としてちゃんとその拠り所からまた立って歩けるような場所があるかどうか、そこが本当は一番大事なような気がします。

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