小説太平洋戦争(1) (山岡荘八歴史文庫)

著者 : 山岡荘八
  • 講談社 (1986年12月1日発売)
3.98
  • (21)
  • (23)
  • (22)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :172
  • レビュー :23
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061950924

小説太平洋戦争(1) (山岡荘八歴史文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 全9巻。

    坂の上の雲で、司馬遼がやたら陸軍バッシングしてたので。
    ついにずっと読むの拒否してた昭和へ。
    しばらく司馬遼が続いたので、
    久しぶりの山岡先生ってワクワクして読んでみる。
    が。
    少しびっくり。
    自分の知ってる山岡作品ではなく、
    司馬遼タイプの先生が語る感じ。



    ご本人が報道班員として従軍されていて、
    まだ戦後から25年。
    硫黄島が返還されて、まだ沖縄が返還されていない。
    いつもの時代小説として書くには、
    あまりにも身近な出来事だったんだと思う。

    正直、いつもの山岡作品のような楽しみ方はできなかった。
    が。
    すごく考えさせられる。
    だって歴史と呼ぶには近すぎる、
    身近に体験者がいる世代だもの。
    まだ。



    自分が祖父母や学校から聞かされて来た戦争は、
    「戦争はダメな事」という教訓のための、
    道徳教材な昔話でしかなかった。
    「欲しがりません勝つまでは」
    「神風特攻隊」
    「強制労働」
    「原爆」
    自分の持ってたイメージなんてそんなもん。
    なんで戦争始まって、なんで日本は負けたかなんて知らない。
    昔の日本がヒステリックで非合理的だったからでしょ?みたいな。



    すごく驚いたのが、サムライだったんだってこと。
    日本人が。
    昭和でも。

    明治までのサムライな空気の残る日本と、
    自分が生まれた昭和の日本は別の国だと思ってた。
    だって自分が育った昭和にはサムライなんていなくて、
    カメラで眼鏡で出っ歯のいじられキャらだもの。

    サムライがいなくなったのは、
    時代の流れで国が変わったんじゃなくて、
    戦争に負けてサムライが淘汰されたからって印象を受けた。
    インディアンみたいに直接的じゃなく、
    少しずつ時間をかけて洗脳するみたいに。

    大戦まで、日本は確かに認められ、恐れられる部分が
    世界に対してあったように思えた。



    自分が育って来た日本は
    アメリカに教育し直された日本で、
    だから過去の戦争で日本は悪く、愚かで、悲惨で、
    一流になるには外国と同じようにしなければいけないって
    教育して来たんじゃないかと思った。

    アメリカはじめ、白人国があの戦争でどんなことをして、
    何をしようとしたか。
    そこで行われた事が、
    本当に彼らが胸を張れる正義だったのか。
    彼らの文化で日本の文化をキチンと計ることはできてたのか。

    白人達は有色人種を認めないっていう時代の中で、
    有色人種代表として、ただ1国で有色人種の解放を訴えた、
    日本人の、日本人らしいロマンチックな誠意ってのがあったことを、
    自分は全く知らなかったし、教わっていない。




    もちろん小説だし、氏が戦争に近すぎるし、
    かたよった感想かもしれないけど、
    今まで持っていたイメージをガラリと変えられる事が多かった。
    戦争はくり返してはいけないけど、
    右な人間を無条件で認めようとは思わないけれど、
    今の日本が過去の日本に胸張れるのか分からんくなった。

    戦争を知らない、自分たちの世代は、
    ちゃんと勉強してみた方が良い気がした。





    ちなみに...............。

    後書きが個人的にかなり好きだった。
    山岡先生の年譜が、エッセイみたいになってる。

    吉川英治、村上元三、海音寺潮五郎、富田常雄....
    自分の大好きな作家達との交流がチラホラと。

    小説しか読んでこなかったので、
    経歴とか知らなかった。
    凄くびっくり。
    この時代すげえ。

    吉川先生と、若い頃の氏とのエピソードが特に好き。
    にやっとした後、鳥肌立った。

  • あの戦争を「愚か」だと思っているのであれば、騙されたと思ってもいい、ぜひ冒頭だけでも立ち読みしてほしい。

    なぜ「愚か」に至ったのかの経緯が、「真珠湾強襲」、までが、この第一巻には書かれている。

    昭和天皇はもちろん、東条英機さえ、戦争を回避したかった。
    それが痛いほどわかる内容が克明に、しかも小説という読みやすい形をとりながら書かれている。

    読み進めれば進めるほどに、そこに至る経緯は必然であり、歴史の流れの無情さを思い知るだろう。

    あの戦争が決して「愚か」ではなく、植民地支配が当然であり、白人至上主義であった当時、有色人種で唯一独立を勝ち得た我々日本人の、ギリギリの迷走と葛藤を痛いくらい思い知らされるであろう。

  • 第一巻は、開戦前夜まで。前半では、近衛文麿がいかにダメダメな政治家だったか、「気の弱いありふれたインテリ」、絵にかいたような優柔不断、怯懦な政治家だったかが印象的。読んでいてガッカリ。後半は、何とかして戦争を回避したい天皇の意を受けて急遽担ぎ出された東条英機首相とその閣僚達の虚しい奮闘。「天皇絶対」、律儀で几帳面、単純で率直な東条という人物は、戦前の日本人の典型かな?
    当時、英米の指導者達は、有色人種を蔑視し、自らの白欧文明を維持・発展させるために植民地から搾取することを当然と考える、白人至上主義に凝り固まっていた(この思想、今でも欧米人の根底には脈々と流れているんだろうなあ)。はなから叩き潰そう、懲らしめようと思っている相手に対して、必死に妥協点を探そうともがいていた日本外交の姿が悲しい。

  • 教科書レベルでしか知らない第2次世界対戦の大まかな流れを知るための入門書として本書を手に取りました。
    が、入門書としてはかなり重い内容でした。
    この戦争の開戦に至るプロセスから、ポツダム宣言の受諾、東京裁判、満州国の解体までを全編に渡り
    深く、詳しく、多少日本擁護な部分もありましたが、基本的に中立で、
    なのに筆者の、戦争を実際に体験した日本人としての、悔しさや怒りが伝わってくるような
    そんな内容でした。

    本編、かなり長かったです。
    なので、正直なところ読むのが辛くなる部分もあり、読了まで随分時間がかかってしまいましたが、
    読んでよかったと思います。
    兵器の知識や、当時誰がどんな謀略からそういう結論となったかという話はWikipediaや
    図解~~シリーズで保管すれば良いのですが、当時の日本人がどれだけ悲惨であったか、
    また、どれだけ勇猛果敢でサムライであったかを知るために、
    本著は非常に素晴らしい教科書となりうると思います。

  • 如何にして、日本が太平洋戦争に足を踏み入れていったか(アメリカによって戦争する以外の退路を断たれた)か分かる一冊。
    あの戦争が良かったとは思わないが、戦争しなければ、軍部の内乱や内紛等で日本は内部崩壊していたと思われる(少なくとも当時、山本五十六はそう見ていた)。
    今の日本は、あの戦争があったからここまで繁栄したとも言える。

  • まず一巻は、三国同盟締結後から真珠湾攻撃まで。人物を中心に描きながら、丁寧に背景事情を説明しているので、止むに止まれず日米開戦に至った当時の空気がよく伝わってくる。

  • 小学生のころ父親の本棚にあったので何度か読んでいた。最近、近現代史の本をよく読んでいるので、感じ方も違うだろうということで、何十年ぶりかに読み返してみることにした。

    この作品はかなり日本側に同情的に書かれている。最近は「日本善玉論」的な居丈高な論調も多いが、この本が書かれたのは、昭和30~40年代。戦前の日本のすべてが悪い、と考えられていた時代である。かなり思い切った作品だと思う。

    山岡荘八は従軍作家として実際に戦場に赴いている。その15年後の作品だけに、筆致に迫力がある。文庫版で全10巻の大作なのでゆっくり読もうと思う。

  •  「あの戦争は悪だ」「あの過ちを二度と繰り返してはならない」……貴方はどれほど「あの戦争」の事を知っていますか?無知ゆえの軽薄な敗戦意識こそ、最も恐ろしいと私は思うのです。「戦争は、なぜ、起こしてはならないのか。」「何故あの戦争は引き起こされてしまったのか。」とかく戦争の話題は、客観的な評価が難しく、本書にも著者の考えがある程度含まれています。しかし、私たちが知るべき大切な事実も、数多く記録されています。長いですが、日本人として一度は読む価値のある本だと思います。

    (請求記号:開架 913.6/1358/ヤソ)

  • マニラの図書館でみつけた一冊。まえから読んでみたかった。

    山岡さんの作品についてはこれまで「徳川家康」全26巻を読んだことがあるのですが、本作は書きっぷりが違いました。どちらかというと大河絵巻的な家康にくらべ、実際に山岡さんが報道官として従軍した太平洋戦争についての本作は、史実を丹念に拾いつつ、かつ物語として後世に自分の経験を残そうという姿勢が強く感じられます。

    全9巻ですが、さっそく全部読みたくなりました。

  • 「小説 太平洋戦争〔1〕 十二月八日前後」山岡荘八
    歴史小説。茶色。
    全九巻の一巻。

    中学生のとき以来、本格的な長編歴史小説を読み始めました。
    (あのとき読んだのは確か義経本だったと思うのだけど、散々ネットで探しても該当のものが出てきません。。15巻〜くらいある文庫でした。)
    案外読みやすくて、題材もメジャーなところなのですいすい読んでいます。

    1巻は、日ソ不可侵条約から真珠湾攻撃まで。
    (3)

    -----
    以下メモ

    大義名分
    通州事件

    確かにおそらく欧米の人にとって、東洋の何を考えているかわからないような、不気味さ、不快感、みたいなものはあるのかもしれないな。

    p122.l8
    天皇は、国民にとって真・善・美の象徴であり、慈父慈母の愛の具現であった。

    p183.ll3
    したがって、戦おうと考えた者は一人もいなくとも、充分戦にはなり得るものだというこの大きな事実を、われわれは肝に刻んでおかなければならない。

    p245.l3.
    大衆はいつの時代にもインテリではない。インテリはその知識の仕入れ先次第で根こそぎ判断力を狂わせられる弱点を持っている。が、大衆はそうした知識の呪縛の外にあって、本能的に正邪を嗅ぎわけるふしぎな嗅覚を持っている。

    p271.
    男は天下を動かし、女はその男を動かす (山本五十六)

全23件中 1 - 10件を表示

小説太平洋戦争(1) (山岡荘八歴史文庫)のその他の作品

山岡荘八の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

小説太平洋戦争(1) (山岡荘八歴史文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする