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Amazon.co.jp ・本 (390ページ) / ISBN・EAN: 9784061960343
みんなの感想まとめ
テーマは明治時代の文豪、永井荷風の独自の生き方と作品への深い洞察です。著者は、荷風の軌跡を丹念に辿り、彼の個人主義や厭世観、そして父との関係などを通じて、彼の文学的背景を鮮やかに描き出します。荷風の作...
感想・レビュー・書評
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明治の文豪永井荷風の軌跡を丹念になぞる、磯田光一
渾身の評伝であり作品論である。研ぎ澄ました論考は彼を明治の大作家夏目漱石や森鴎外に並立させる。
秋山駿は巻末の解説「磯田さんの志」で書いている。彼は子供を作らなかった、その奥にある彼の心棒は「なるべく、死んだもののように生きること」‥、人を撃ち作家作品を解析する彼のメスはいつも冴えて明敏かつ果断であった‥背後に、或る悲しさの音調がありそれは一種「生の断念」を思わせた。それは青年期の結核による挫折、戦後の15歳から22-3歳にかけて、父親のこと、何かは知らないが沈黙の志は感じた。
そんな彼の記念碑が『永井荷風』であり、ここには
磯田光一の何も彼もがある。・・・と。
明治文壇における永井荷風の立ち位置、偉大な父親との関係、アメリカで心を通わせた女性とのいきさつ、アメリカとフランスの経験をへて日本文化への回帰、
江戸・深川・墨東へのこだわり、花柳界と結婚問題‥‥時代に沿って彼の精神世界を分析しそれぞれの作品への思考を深める。
作者は書いている、「荷風の厭世と現実侮蔑、過激な個人主義、相互不可侵相互自主責任の論理、理念に合致しない現実を呪い友人たちの些細な裏切りに対しても苛酷な絶交をもって処断せざるをえなかった。‥江戸期の最後の体現者であった荷風は敗者のストイシズムにみられる近代性において日本で最初の近代人の風貌を露わにする」
「父・久一郎の国家への献身が自己を抑制するストイシズムに裏づけられていた。典雅かつ優婉な様式美、鴎外の『舞姫』『即興詩人』以降豊麗な文語文を書いた者が他にあったであろうか」等々。
永井荷風のことを読むのは初めてであった。
彼の作品は読んだことはないが、この評論を通して親しみが湧き、今更ながら日本近代文学を象徴する必読の作家であることを教えられる。
それにしても磯田の論考は迫力がある。読み手に息もつかせず深く引き込み様々な論点に誘い鮮やかな思考回路を体験させる。
読み終わり、緊張が解けてホッとへたり込む。
永井荷風を垣間見、磯田光一を齧り出した「読書の広がり」になんとも言えない満足感を覚えた。
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磯田光一 評伝形式の 永井荷風 論、
日記(断腸亭日乗)より、小説から永井荷風論を展開。著者は 西欧の個人主義、父への反発、イデスとの愛、隅田川の神話性に目付けして 各小説の執筆時の永井荷風の心情を説明している。
人間としての永井荷風には共感できない。もっと快楽主義者だと思っていたが 徹底した個人主義だった
*徹底した個人主義〜友情の本質は 異郷で病んで餓死する場合でも 互いに助け合わないこと
*荷風の半生の結論「人間は互いに不可解の孤立にすぎない」
*有用の観念によって国家に奉仕した父に反発し、あえて国家に対して無用であることを意欲
*荷風の子孫否定論〜彼の生の本質を貫く中心概念
読んで見たいのは「腕くらべ」「下谷叢話」 -
13/11/02、神保町・澤口書店で購入(古本)。
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